セラミックの10年後

11年前に医院を継承した時に購入した口腔内撮影用カメラ。

NIKONのD3200の歯科仕様です。今も壊れることなく現役で使えています。

購入してしばらくした時にに、セラミック治療をした患者さんの写真を撮影しました。

先日その患者さんが定期健診でいらしたので、そのセラミックの11年後を撮影しました。

上の前歯6本をセラミックです。

2012年

 

2023年

セラミックと歯ぐきの境目に部分の歯ぐきが少し下がって、歯の根が見えていますが、経年的変化の範囲内といえます。その他に問題はありません。

患者さんにも、このビフォーアフターをモニターで見ていただきました。

患者さん「もう10年経ちましたか~。」

私「あっという間ですね~。」

患者さんは、父の代から通われていて、50年近く当院に通っていらっしゃいます。

初めて当院に来た時は、お子さんがまだ赤ちゃんで、色々大変な時期だったそうですが、父の医院は「予約通りに診療してくれて、待たされない。」と聞いて、来院してくださったそうです。

当時の昭和40年代の歯医者さんは、予約制はまだまだ浸透しておらず、来た順に診るのが普通でした。

虫歯が多かった時代なので、1時間待ちは当たり前だったようで、その頃に予約制で予約時間を守るというのは、斬新だったのかもしれません。

当時は、今の医院から車で20分くらいの場所で開業していたのですが、現在地に移転したあとも、車で通って下さっています。

いつもメンテナンスに欠かさずお越し頂きありがとうございます。

これからも歯の健康を少しでも長く維持できるようお手伝いさせて頂きます。

以上「セラミックの10年後」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

*当院への受診を検討されている方のメール相談はこちらから↓

https://www.sasayama-dc.com/information/index.html

自費治療は何年持ちますか?

院長の笹山です。

今回は自費治療についてのお話です。

当院は保険診療がメインのクリニックですが、治療の流れの中で自費治療について説明する機会はあります。

その時多くの患者さんが聞かれるのが、ブログのタイトルにある

「何年くらい持ちますか?」

というご質問です。

色々な種類の自費治療がありますが、今回はセラミックやジルコニア、自費の入れ歯について、どれくらい持つかについてお答えします。(インプラントは含みません。)

インプラントについては、別の機会に書くつもりです。

 

自費治療は保険適応治療と比べて費用がかかりますので、

「どれくらい持つか聞いておきたい。」と思うのは当然だと思います。

その際に私がどう答えているかといいますと、

「保険治療に比べて長持ちするとは思いますが、何年とは言えません。」

とお答えしています。

質問の答えになっていないと言われそうですが、そうしか答えようがないのです。

なぜなら、お口の条件は人それぞれ違うからです。

例えばセラミックの歯を1本入れるにしても、人それぞれです。

・そのセラミックの歯が前歯なのか?奥歯なのか?

・神経はあるのか?ないのか?

・歯周病はあるのか?ないのか?

・今、歯が全部で何本残っているのか?

・嚙み合わせは強いのか?弱いのか?

・虫歯や歯周病のなりやすさは高いのか?低いのか?

・歯ぎしりや食いしばりの癖があるのか?ないのか?

・定期的に検診は受けているのか?いないのか?

・歯磨きは上手なのか?あまり上手じゃないのか?

上記のような様々な因子が関わって、治した歯がどれくらい持つのかが決まります。

また「どれくらい持ちますか?」の質問の解釈も、

「持つ。」というのが、何を指すのかにもよって変わります。

たとえば

① 欠けたり、外れたりするまで。

② 治療した歯が虫歯になるまで。

③ 歯そのものが抜けてしまうまで

などです。

そういうことを考えていくと、「何年持ちます。」とは軽々しく言えないのです。

ただ、患者さんが何年持つか聞いておきたいという気持ちはよく分かりますので、

「少なくとも5年は持ちます。」

とお答えしています。

この5年はどこから出てきた数字かといいますと、

自分の治療結果の蓄積によるものです。

私は医院を先代から引き継いで10年が経ちました。

その間、多くの自費治療をおこなってきました。

10年前におこなった自費治療で今でも普通に機能している歯はたくさんありますが、5年前におこなった自費治療は、まだ5年しか経っていません。

この先どれくらい持つかは、まだそれ以上の年数が経過しなければ分からないのです。

私は自分のおこなった自費治療が何年持つかを把握しておきたいと思っていますので、この10年の自費のカルテはすべて保管しています。

医院を引き継いで10年が経ち、最長10年持っているものもあり、9年前、8年前、7年前…と経過観察しているものもたくさんありますので、間をとって「自分がおこなった自費治療なら5年と言っても差し使えないかな。」と認識しています。

決して5年しか持たないのではなく、まだ結果が出ていないので、そこまでしか言えませんということです。

自分がおこなった自費治療を振り返ると、セラミックやジルコニアなどの被せ物や詰め物に関して、5年持たなかったケースは1%以下と認識しています。

これは私が上手いとか下手だとかそういうことを言いたいのでなく、適切に治療すれば、「極端に硬い物を噛んでしまった。」とか、「定期検診にやクリーニングなどのメンテナンスを全く受けなかった。」などを除けば、普通は5年は持つのではないかという一つの意見です。

自費の入れ歯に関しては、少し違います。

入れ歯はジルコニアやセラミックのような硬い素材ではありませんし、そもそも接着剤で固定して取れなくなる被せ物と、取り外しできる入れ歯は構造が全く違います。

入れ歯は自費でも壊れることもありますし、後で周りの歯が抜けてしまって、修理が必要になることは結構あります。

ただ、修理すれば使えますので、5年で使えなくなった入れ歯というのは、ほぼありません。

根拠もなく「〇年ぐらいは持ちますよ。」というのは伝えるのは何か違う気がしますので「何年持ちますか?」というご質問には、私は自分の治療結果をベースに「少なくとも5年は持ちます。」とお答えしています。

また、私は今までに「セラミックは何年持つ。」という具体的な統計や論文を一度も見たことがありません。最初に書いたように歯がどれくらい持つかは、様々な因子が影響するので、何年持つという統計を出すことは不可能なのです。

ですので私は患者さんに

「自費治療は、今ある歯に対してベストな治療を施すことです。」

とお伝えしています。

「絶対〇年は持ちます。」とはっきりと言えませんが、

それなりの費用を頂くことで、保険治療ではかかってしまう様々な制限が解除されます。

制限とは、

材料や時間、歯を作る歯科技工士さんの技術です。

①保険治療では使えない材料や器具を使うことで、より精度の高い歯を作ることが出来ます。

②保険治療では確保できない治療時間を十分に取ることで、今自分が持っている治療技術を最大限発揮することが出来ます。

当院での自費治療は基本全てDr対応で1時間の治療時間を確保しています。

Dr対応とは、治療の説明はもちろん、歯の色を合わせる写真撮影、仮歯の製作、噛み合わせ採り、歯型採り、完成物の調整と装着、装着後のセメント除去などスタッフに任せず、私自身で全ての過程を3~6倍のルーペで歯を見ながら治療しています。

③歯を作る歯科技工士さんに保険で作る歯の何倍もの制作料をお支払いするので、歯科技工士さんも時間をかけて丁寧に歯を作ることが出来ます。

この3つが長持ちする治療において重要な要素です。

ジルコニアやセラミックや自費の入れ歯の素材や材質が良いことは間違いないのですが、それは自費治療のメリットの一部であり、どちらかといえば、上記のように”制限がない状態”で治療や製作が出来ることの方が、自費治療がどれくらい持つかに影響すると私は考えています。

もちろん患者さんの歯磨きなどのセルフケア、食生活、定期的な検診やクリーニングなども長持ちさせるための大切な要素です。

以上「自費治療は何年持ちますか?」でした。

皆様のお口の健康に少しでも参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

歯にトラブルが多い人、少ない人*昭和世代

院長の笹山です。

虫歯が減っています。

毎年、小学校や保育園の検診に行きますが、ほとんど虫歯はありません。

その一方で昭和世代の方は、未だに治療が減りません。予防のために定期的にクリーニングを受けている方々でも例外ではありません。

理由は治療した部分が、また虫歯になったり、神経を抜いた歯が割れて抜歯になったり、差し歯や詰め物が取れてしまったりと様々ですが、基本的には過去に治療した歯の再治療が必要になっているということです。

今、虫歯の治療跡の無いお子さん達は、このまま虫歯無しで大人になれれば、虫歯に関しては心配なく、歯周病を予防すれば大丈夫だと思います。

しかし昭和世代の方々は、まだ予防が浸透する前の世代の方々です。昔は「痛くなったら歯医者に行く。」というのが普通で、子供の頃に定期検診やクリーニングを受けていた方は少ないと思います。また、歯磨き粉にも、今のような虫歯予防に効果的な高濃度フッ素は配合されていませんでした。

ですので、既に治療されている歯がたくさんある方が多いのです。

その方々へのアドバイスとしては、悪くなった歯をちゃんと治すということです。

「虫歯の再発」「詰め物や差し歯が取れる」「神経のない歯が割れる」

などは、治療によって再発リスクを減らすことが出来ます。

「歯にピッタリとフィットし隙間から虫歯になりにくい被せ物」

「抗菌性が高く、磨き残しが溜まりにくい被せ物」

いわゆるセラミックやジルコニアという材料です。

保険適応外治療となりますが、予防効果は高いです。

歯科医として経験の浅かった頃は「セラミックが虫歯になりにくいなんて本当だろうか。」「もし数年後に虫歯になったら患者さんからクレームが来るかもしれない。」などと思いながら、恐る恐る治療した記憶があります。学問ではセラミックの優位性を学んでいても、自分でした治療の数年後の予後を追った経験がないので、自信が持てなかったのです。

しかし、歯科医になって20数年が過ぎ、数多くのセラミックやジルコニアを患者さんに施術し、5年後、10年後の経過をみると、明らかに保険治療の銀歯より長持ちすることを今は確信しています。

この流れをご覧ください。

治療した歯が数年後にトラブルが起きる↓ 2次虫歯です。

 

何度も治療した歯が弱くなって割れてしまい抜歯になる↓

 

小さなブリッジや入れ歯を入れる↓

ブリッジの平均寿命は?】長持ちさせる4つの方法&再治療時のポイント | 北戸田COCO歯科インプラント専門サイト 

 

ブリッジや入れ歯を入れることで、周りの歯に過重負担をもたらし、周りの歯が更に悪くなり、抜けてしまい、更に大きな入れ歯を入れる↓

 

入れ歯では噛みにくいので、入れ歯以外の歯で噛むことが多くなり、その歯が過重負担で弱り、抜けてしまう。

そして最後には↓ 総入れ歯になる可能性もあります。

この負のスパイラルは、歯を少しずつ失っている昭和世代に本当に多いです。

歯は無くなれば、無くなるほど、残っている歯の負担が増して、弱っていきます。

怪我で例えると、小さな傷のうちに再発しないように治しておくことが大切です。あちこちに傷が出来て、どこからも出血していたら、収拾がつかなくなります。

入れ歯やブリッジは歯を痛めやすいので、インプラントが一番良いのですが、歯が抜けるたびにインプラントをしていては、手術や費用負担がかなり大きくなり、きりがありません。

以上をまとめますと

歯に治療跡の多い方、歯に頻繁にトラブルが起きて歯医者さんに行く方は、いわゆる定期検診やクリーニングという予防だけではなく、過去に治療した歯を再発しないように適切な材料で治すことも、ご自身の歯を出来るだけ残すために大切な予防といえます。

以上「歯にトラブルが多い人、少ない人 *昭和世代」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

セラミックの5年後

院長の笹山です。

先日メンテナンスにお越しになった患者さんです。

5年前に装着したジルコニアセラミッククラウンの経過観察もおこないました。

5年前の装着時↓ 上の歯の真ん中の前歯2本です。

5年後↓

経過良好です。

詰め物や被せ物に関してセラミックやジルコニアは、保険診療のレジン前装冠やCADCAM冠に比べて長持ちという点で優位性があります。

レジンといわれるプラスチックは、材質の特性による変色や劣化、プラークの堆積による歯肉の炎症など避けられません。

「古くなったら何年かおきにやり替えて新しくすればいいのでは?」

たしかにそういう考え方もあります。

しかし被せ物を外す時には、削って壊して外すために、被せ物の中にあるご自身の歯も一定量削る必要がありますので、段々とご自身の歯が小さく弱くなっていきます。

そして保険診療というものは、病気に対して適応されるものですので、被せ物の隙間から虫歯なってしまった時の「虫歯」や、隙間が出来て合わなくなった時の「不適合」などの病名がついて治療が可能となりますので、厳密には「古くなった、変色した。」という理由ではやり直しできません。

お口の中は意外に過酷な環境です。

歯は唾液などの水分で常に濡れており、レジン前装冠やCADCAM冠に使用されるレジンといわれるプラスチックは吸水性があるので、経年的に表面の劣化が進みます。また、吸水して軟らかくなったプラスチックは、歯磨きなどでも細かい傷がついてしまいます。

プラスチック表面に傷や劣化が進むことで、微細な凸凹が出来、その段差にプラークが残りやすくなります。

そして被せ物や詰め物と、ご自身の歯の境目にプラークが残るようになると、歯肉が腫れて歯周病が進行したり、歯と被せ物の境目から虫歯になったりします。

レジンというプラスチックは、お台所でいうタッパーのような物性です。

タッパーは買った時は綺麗ですが年数が経つと、表面が劣化して、透明に近かった色が、曇ったように変色し、汚れもだんだん落ちにくくなり、ふやけて変形するので、蓋も閉まりにくくなります。

セラミックやジルコニアは吸水性もなく、表面も硬いので歯磨きで傷がつくこともほとんどありませんので、装着して年数が経っても劣化しません。

その結果、歯が長持ちします。

また材質的に変色もしませんので、装着当初のままの歯の色をキープすることが可能です。

費用はかかるけれど長持ちする歯、一方で費用は安く済むけれど長期的に不安定な歯。

出来るだけ長くご自身の歯を使うために一考する価値はあると思います。

こちらも参考にどうぞ↓

セラミックの10年後

以上「セラミックの5年後」でした。

皆様のお口の健康維持の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

進化するフルジルコニアクラウン

院長の笹山です。

ジルコニアという被せ物を診療に取り入れて10年以上が過ぎました。

初期のジルコニアは色が不自然、硬いのはいいけれど調整しづらいなど、脆さを持つセラミックの代替え材料として期待が大きかった分、まだまだと感じる部分も多かったです。 初期のフルジルコニアクラウン↓

懐かしのチェルシーヨーグルトスカッチ味みたいな見た目でした。

しかしここ数年のジルコニアの材質のアップデートは目覚ましいものがあり、色の問題で前歯に使うのは無理だと思われていたのが、そうでは無くなってきました。

こちらはフルジルコニアを装着した患者さんです。画像の中に3本のフルジルコニアが装着されました。どれがそれか分かりますでしょうか?

こちらが治療前の写真です。

上の前歯1本と下の前歯2本を治療しました。

厳しく見れば、ジルコニアにセラミックを築盛するジルコニアセラミックといわれるクラウンと比べると、まだ少し色調再現性が足りない部分もあります。

しかしフルジルコニアクラウンが文字通り100%ジルコニアですので、ジルコニアセラミックのようにジルコニアとセラミックの2種類の材料をくっ付けていない分、セラミック部分が欠けてしまうというリスクはありません。

これは患者さんにとっても、私達医療側にとってもとても大きなメリットです。

歯科技工士さんが手間をかけて完全カスタムメイドで作り上げるジルコニアセラミッククラウン。まるで天然の歯と区別のつかないような工芸品レベル出来上がっても、数年後に欠けたり、剥がれたりしてしまったら、元も子もありません。

白い被せ物は「美しい」「変色しない」「壊れない」が大切です。

今後も新しい技術を取り入れながら、確実で長持ちする治療を心掛けたいと思います。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院