歯を強くする方法

「先生、歯を強くする方法ってないんですか?」

患者さんから時々聞かれる質問です。

また、患者さんから

「歯を鍛えるために、硬い物をよく食べているんです。」

「歯を強くするために、カルシウムを摂るようにしています。」

と言われることもあります。

結論を言いますと、残念ながら

大人になってから、歯を強くすることは出来ません。😢

カルシウムを摂っても、歯は丈夫になりません。

硬いものを食べても、歯は鍛えられないどころか、歯が欠けたり、割れたりする可能性があります。

大人になったら、

歯を守ることしか出来ません。

歯を強くしたいというお考えの方は、

「いつまでも歯を失いたくない。」

「入れ歯になりたくない。」

「自分の歯で何でも食べられるようにしたい。」

色々な思いがあると思います。

歯を強くすることは出来ませんが、歯を守ることは出来ます。

歯を守るために、

「歯磨きを頑張りましょう!」

では、ありきたりですので、違う視点でお話しします。

まず、歯を守るためには、

歯を大切に扱うことです。

「そんなに分かってる~。」

と聞こえてきそうですが、

意外に皆さんが出来ていないことがあります。

歯を大切に扱うためには、

歯が、

①擦り減ったり、

②溶けたり、

③欠けたりしないようにします。

 

①歯が擦り減るのは、歯ぎしりや噛みしめを防止することで減らせます。

歯のすり減り 歯ぎしり? 咬み合わせ? マウスピース

 

②歯が溶けるのは、酸蝕症(さんしょくしょう)といって、酸性度の高い、飲食物を控えることで防げます。

酸蝕症についてはこちらのサイトが分かりやすいです。(神奈川県歯科医師会HPより)

歯が溶ける!?「酸蝕症」とは?

 

古い記事ですが、酸蝕症の治療についてはこちらをどうぞ↓

酸蝕症のシミュレーションワックスアップ 

 

③歯が欠けるのは、硬い物を噛まないことです。硬いというのは、お肉とかではなく、ガリっと噛むものです。

硬いせんべい、飲み物の氷、硬い軟骨などです。

歳と共に、歯に内部の水分は減り、脆く、欠けやすくなります。

欠けた歯の神経を保存しました。

 

あとは、乱暴な歯磨きなどを続けているのと、歯の表面に目に見えない細かい傷が出来てしまい、そこに磨き残しが残りやすくなります。

歯の表面のミクロの傷を修復することは、可能といわれています。

ミクロの傷を修復するためのリナメルトリートメントペーストという歯磨き粉があります。

リナメル トリートメントペースト

https://www.oralcare.co.jp/product/post.html

私もリナメルを使用したことがありますが、確かに歯の表面がツルツルになります。*特に宣伝したいわけではありません、個人の感想です(笑)

大切なことは、歯磨きを一生懸命することだけでなく、フッ素入りの歯磨き粉やトリートメントペーストを正しく使用することと、歯の表面を傷めないようにすることです。

以上「歯を強くする方法」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

銀歯が虫歯になる理由 

銀歯の隙間から虫歯になってしまった時に、

歯医者さんから、

「保険の銀歯を歯にピッタリ作るのは、難しいので、隙間から虫歯になりやすいんですよ…。」

と言われたことはありませんか?

すき間から虫歯になっている銀歯を外した治療↓

歯医者さんの言っている、

銀歯は「隙間が出来やすい。」「外れやすい。」は本当です。

間違いではありません。

しかし、上の画像の虫歯もそうなんですが、実はあまり説明されないもう一つの理由があります。

それは、

「銀歯の大きさが良くないから。」

です。

どういうことかといいますと、今回の銀歯の隙間が出来ている部分の虫歯の原因は、隙間から虫歯菌が入ったからなんですが、その入る原因の隙間は、銀歯だから出来たものではなく、

嚙み合わせにより歯が欠けたことにより、発生した隙間によるもの。

だと思われます。

上の画像の赤丸で囲んだ部分は、機能咬頭(きのうこうとう)といって、噛みあう相手側の歯と一番よく当たる部分です。

下の歯の機能咬頭はマーク部分で歯の外側(ほっぺた側)の凸部分です。

この部分に銀歯と歯の境目がくると、境目の歯が欠けてしまうことあります。

 

逆にその部分に境目っがない被せ物なら、そういう心配はなくなります↓

下の図のような、詰め物(インレー)↓ではなく、被せ物(クラウン)で直すということです。

詰め物(インレー)↓

 

被せ物(クラウン)↓

そうなると、

「最初から被せ物にすればいい。」

と思いそうですが、

すぐに被せ物にしない理由が主に2つあります。

1つ目は、

詰め物で済む大きさの虫歯を、被せるために削るということは、健康な歯も削る必要があります。

2つ目は、

被せ銀歯は見た目が目立つので、患者さんからも不評です。

やはり奥の歯でも、銀歯は目立つから入れたくないという方が増えています。

少し話は逸れますが、近年は世界的な金属価格の高騰により、保険の銀歯でも、医療財政を圧迫するようになりました。

そこで、数年前は保険適応でなかった奥歯も、現在は白い歯を入れられるようになりました。

銀歯と比べて、見た目は非常に良いのですが、材質はほぼプラスチックですので、天然の歯でも欠けてしまう奥歯には、硬さが十分とはいえず、割れたり、外れたりする可能性が高い材料です。

また、割れにくくするため、プラスチックの厚みを確保することが必要です。

厚みを確保するためには、歯を通常より多く削って、厚みを確保する必要があります。

保険の白い奥歯には、そういうデメリットもありますので、かかりつけの歯医者さんからメリットとデメリットをよくお聞きなってから、選ばれると良いと思います。

耐久性だけでいえば、明らかに銀歯に分があります。

耐久性も、見た目も欲しいということでしたら、

ジルコニアが一番良いと考えます。

というわけで今回は、

「銀歯が虫歯になる理由」でした。

銀歯だから虫歯になりやすいというだけでなく、

嚙み合わせを考えた銀歯の大きさも、虫歯になりにくくするための大事な要素ということなんですね。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

 

噛むと痛い時  疑われる病気

食事で噛むと痛い。

食事で噛むと痛い。

食事じゃないけれど、上下の歯を合わせるだけでも痛い。

そんな時に疑われるのが以下の6つです。

①歯周病

歯がグラグラの酷い歯周病ではなく、初期の歯周病でも噛むと痛い時があります。

また、歯周病が急性発作を起こすと、歯が浮いたようになり、少し歯が当たるだけでも、強い痛みを感じることがあります。

②歯根膜炎(しこんまくえん)

歯根膜は、歯と顎の骨に介在しているセンサーのような膜です。

噛んだ物が、硬さや軟らかさを感じる感触を司どっています。

食いしばりや噛みしめで、歯根膜が炎症を起こして痛むことがあります。

虫歯でも歯周病でもない歯の痛みの原因

③虫歯

虫歯が酷くなると、噛むだけで神経を刺激して痛くなります。

④歯根破折(しこんはせつ)

歯の根が割れてしまった歯で噛むと痛むことがあります。

歯根破折

⑤食片圧入(しょくへんあつにゅう)

歯と歯の間に食べ物が挟まったままになると、歯ぐきが炎症を起こして、噛むと痛くなることがあります。

「食事をすると歯が痛い。」連続写真で見る虫歯治療 

 

⑥歯冠破折(しかんはせつ)

歯ぐきより上に見えている歯の一部が欠けたり、割れてしまうと、エナメル質の下の象牙質が露出して、噛むと痛くなることがあります。

神経を抜いた前歯は被せないといけないの?

以上の6つが疑われるのですが、噛むと痛くても、しばらくすると治ることもありますが、病気がある場合は再発することも多いので、噛むと痛いが続いたり、繰り返す場合は、早めに歯医者さんに受診することをおススメします。

以上「噛むと痛い時  疑われる病気」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

銀歯が取れた時、歯医者に行くまでに気を付けること

食事をしていて

「ガリっ。」

「えっ、何か入ってた?」

「異物混入!?」

と口から出してみたら、銀歯や差し歯。

 

でも忙しくてすぐに歯医者に行けない、そんな時どうすれば良いのでしょうか?

今回は「銀歯が取れたらどうする?」についてお話します。

まず第一に出来る限り歯医者さんを予約しましょう。

すぐに行けなくても、最短で行ける日を予約することが大事です。

何故出来るだけ早いほうがいいかといいますと、接着剤が緩んで取れただけなら、つけ直しで済むことがあるからです。(虫歯で取れた場合は不可能です。)しかし、それも時間が経つと、隣の歯が少し動いたりして、つけ直し不可能になります。3日以内がベストです。長くとも2週間くらいですね。

まれに数か月前に取れた差し歯を持参して頂く場合もあるのですが、ほとんどは、つけ直し不可能になっています。

また、取れてから日にちが経つと、歯の一部が欠けてしまったりして、つけ直し出来なくなるばかりか、更に大きな治療が必要になることもあります。

ですので、食事は取れた歯の側とは、反対側でなるべく噛みましょう。

 

次に歯医者さんの予約日までの対処ですが、

まず、外れた物を歯に戻さないでください。

一度取れた歯ですので、食事の時に付けていると、また外れたり、外れた上に飲み込んでしまったり、最悪の場合ですと、飲み込んだ差し歯が、気管に詰まって窒息なんてこともありますので、絶対にやめましょう。

寝る時も歯ぎしりなどで外れる場合がありますので危険です。歯に戻してはいけません。

ただし、前歯を含む大きなブリッジなどで、外れたままだと、見栄えが悪くなってしまう場合は、かかりつけの歯医者さんに電話して、予約の日まで歯に戻していてもいいかを、確認してみて下さい。

かかりつけの歯医者さんですと、過去にレントゲン写真と撮っていれば保管してある可能性もありますので、レントゲンやカルテを見て、戻してもいいか指示してくださると思います。

稀に患者さんご自身で、差し歯をアロンアルフアなどでつけ直してしまう強者の方もいらっしゃいますが、これは絶対ダメです。

市販の接着剤はどうしても厚みが出てしまうので、ほとんどの場合、差し歯は浮き上がってくっ付いてしまい、噛み合わせが高くなります。

 

次に取れた歯が凍みてしまう場合です。

神経のある歯で、酷い場合は息を吸っただけで凍みるという場合もあります。

この場合は食事の時はなるべく、冷たい熱い物を避ける。歯磨きで口をゆすぐ時は人肌のぬるま湯でおこなうなど、なるべく歯を刺激しないことが大切です。「そんなこと当たり前!」と思われるかもしれませんが、気にせず冷たい熱いの刺激に晒し続けると、何もしなくても痛くなるほど炎症が強くなってしまうこともあります。

そうなると最悪の場合、歯の神経を抜かなければならないこともあるので、極力刺激しないことは大切なんです。

また、凍みるのが辛くても、取れた歯に何か代わりの物(ガムなど)を詰めておくことは、歯の痛みを悪化させる場合がありますのでやめましょう。

ここまで歯医者さんに行くまでに気を付けることを書きました。

 

次に、やっと歯医者さんに行ける日にすべきことがあります。

それは、取れた銀歯を忘れずに持っていくことです。

理由は2つあります。

①つけ直し出来る可能性がある。

②つけ直し出来なくても、その差し歯のどこが悪くて取れたか診断し、新しい差し歯を作る時の参考になる。

です。

こちらも参考にどうぞ↓

不適合な銀歯の中身はどうなっていたか?

銀歯が取れる・外れる理由 ガム食べちゃダメ?

以上「銀歯が取れた時、歯医者に行くまでに気を付けること」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

「食事をすると歯が痛い。」連続写真で見る虫歯治療 

「食事をすると歯が痛い。」といらした患者さんです。

歯と歯の間が虫歯で欠けて、食片(食べカス)が挟まっています。

 

食片を取り除くと、茶色い虫歯が見えてきました。

 

エナメル質の下の象牙質は柔らかいので、ひとたび虫歯がエナメル質を超えて、その下の象牙質に進行すると、あっという間に虫歯は広がっていきます。

 

虫歯菌の酸によって溶けた象牙質は、ボロボロと取れてきます。

象牙質も元々は硬いのですが、酸によってこれほどにまで溶けてしまいます。

 

ほぼ虫歯を取り切った状態です。虫歯はかなり深く神経付近まで進行していました。

 

赤丸の部分の歯と歯の間には、詰まったままで取れなくなった食片(食べカス)が残っています。このまま放置すると、歯ぐきが炎症を起こして、歯周病になる可能性もあります。

 

食片を取り除きました。詰まっていた部分の下の歯ぐきが赤く腫れています。

 

このぐらいの大きさでも銀歯にしません。特殊な器具を使って、コンポジットレジンという白い樹脂で治します。

「食事をすると歯が痛い。」原因は、虫歯と歯ぐきの炎症と両方でした。

コンポジットレジン(保険診療)にて治療した後です。治療により、食片や虫歯が取り除かれ、歯と歯の間に細菌がいなくなると、歯や歯ぐきの痛みはなくなります。

コンポジットレジンの治療時間は約20分。

健康な歯を削らずに、虫歯だけを選択的に削りますので、痛みはほぼありません。無麻酔です。

当院では治療の視える化に力を入れており、このように患者さんが見えづらい部分の治療では、写真を撮影します。

「虫歯って言われたけどよく見えない、分からない…。」と不安に思ったまま治療を受けて頂きたくないので、出来るだけ写真を撮って、お見せするようにしています。

このような写真を患者さんが見ることで、少しでもご自身の歯を大切に思って頂ければと思ってお見せしています。

歯と歯の間の虫歯は、ご自身で気づくのが難しく、痛くなったり、凍みたりするような自覚症状出る頃には、かなり進行していますので、日頃の歯間ケアが大切です。↓

歯間ケアのススメ

以上「 「食事をすると歯が痛い。」連続写真で見る虫歯治療」でした。

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