高倍率ルーペはマイクロスコープの代わりにならないの?

専門的な内容です。

私は普段の診療では3倍のルーペを使用していますが、ハイネの6倍、カールツァイスの8倍(製造中止品)も所有しています。

今年、カールツァイスのマイクロスコープを導入して毎日使っています。

まだまだ使いこなせてはいないのですが、

マイクロスコープを導入する前は、今回のタイトルのように

「高倍率ルーペは、マイクロスコープの代わりにならないの?」

と思っていました。

もちろん、マイクロスコープは20倍以上まで拡大することが出来ますので、ルーペよりも明らかに高倍率です。

しかし、マイクロスコープで実際に20倍を使用することはあまりなく、根管や破折線の確認などに用いるなど、静止状態における確認に適していると思います。

実際に20倍キープしながら動的な治療することは、難しいです。なぜなら20倍まで倍率を上げると、患者さんがほんの僅か動いただけでも、ピントが合わなくなったり、視界がずれ診ているところが見えなくなるからです。

つまり20倍で動的治療をすることは、あまり意味がないのです。

マイクロスコープと高倍率ルーペの決定的な違いは、ピントを調整できることだと思います。

高倍率ルーペを使えば、髄床底付近、根管口などは低倍率ルーペよりも詳しく観察出来ます。

しかし、根尖付近は見えません。そこにピントを合わせることが出来ないのです。

マイクロスコープであれば、ピントを合わせることと、ライトの光量を調整することで、根尖孔まで見ることが出来、根管内壁の汚染状態もしっかり見えます。

これはマイクロスコープを導入する前から分かっていたことですが、実際に使い始めて、驚きでありましたし、感動すら覚えました。

マイクロスコープがないと根管治療が出来ないわけではありませんが、根管を拡大形成した後、根管内部をマイクロスコープで覗くと、根管を綺麗にしたつもりでも、汚染物質やガッタパーチャが意外に残っているのがはっきり見えます。

また、カリエス除去についても、高倍率ルーペより明らかにハッキリと見えます。

根管の汚れやカリエスをハッキリと見ながら、除去できることは、とても大きなメリットだと思います。

また、歯肉縁下に入り込んだ接着性レジンの余剰セメント除去にも適しています。

マイクロスコープはもっともっと使い方があるのですが、現段階では、私の使い道は限定的で感想もこの程度です。

では、もう高倍率ルーペは使っていないのかといわれると、使っています。

やはりまだ、マイクロスコープを使いこなせていないので、臼歯の充填や形成は難しいです。

特に下顎臼歯はミラーテクニックを使う上に、反転した動きになりますので、マイクロスコープを使って、削るのは超高難度です。

下顎の仕上げ形成にはハイネの6倍のルーペを用いています。

 

最後にマイクロスコープを導入したほうがいいか否かについてです。

私はマイクロスコープを導入するのに3年ぐらい迷いました。

マイクロスコープ導入セミナーをいくつも受けて、書籍もたくさん購入して、多くのメーカーのショールームにも通い、数社からデモ機もお借りして診療で実際に使ってみました。

どの機種にするのかも迷いましたが、一番迷うのは、

使いこなせるのか?

ということです。

ここで金額は書けませんが、歯医者さんなら、どれくらいの価格の機材かはご存じだと思います。

導入を検討する中で、色々なメーカーの方に話を聞くと、やはり導入したもののホコリを被っていいるユーザーさんは結構いらっしゃるようです。

なぜそうなってしまうのか?

導入して実際に感じたことは、やはり言われていた以上に相当練習しないと使いこなせないということです。

最初は、ポジションを合わせるのも一苦労で、ルーペなら10分で終わる治療に2倍以上の時間が掛かったりしていました。

マイクロスコープセミナーでは、

100時間の壁

という言葉をよく聞きます。

「100時間くらい使わないと、普通に使えるようにならないよ。」ということです。

慣れないうちから日々の治療のすべてにマイクロスコープを使うには、時間的にも無理があります。

1日最低1回は使うように、朝に当日の予約状況を見て、マイクロスコープを使う患者さんを決めておきます。

そうして最低1回~2回を毎日おこなっても100時間となれば、相当時間がかかると思います。

多くのユーザーは、そこにたどり着くまでに心が折れてしまうのではないかと思います。

私もまだまだですが、前歯のCR充填など録画しながら診療して、後で患者さんに診て頂くと

「こんなの初めてみました!」

「こんな風に治療してるんですね。よく分かりました。」

など、とても良い反応が返ってきますので、

患者さんに歯の大切さを理解していただくためにも、精密でやり直しの少ない治療をご提供するためにも、もっと使いこなせるように引き続き頑張りたいと思います。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

お問い合わせの件「削らない治療はやってますか?」

最近お問い合わせのあった件です。

「かかりつけの歯医者で虫歯が6個も見つかったんです。ネットで調べたら、MI治療っていう削らない治療があったのですが、そちらではMI治療をやってますか?」

MI治療のM.Iとは『ミニマルインターベンション(Minimal Intervention)』の略で、歯の治療において、健康な歯を削らずに、本当に悪くなったところだけを削除して修復する治療法です。

「え?虫歯だけ削るのが普通じゃないの?健康な歯を削っちゃダメでしょ!」

という声が聞こえてきそうです。

たとえばです。下のような銀歯を入れるの場合の話です。

実は、銀歯に置き換わった部分が、すべて虫歯だったわけではありません。

銀歯を作るには、銀歯が入りやすい歯の形に削る必要があり、虫歯ではない健康な歯も一部削ることがほとんどです。

逆にコンポジットレジン修復では、健康な歯はほとんど削らずに虫歯だけを削って詰めることが出来ます。

コンポジットレジンについてはこちら↓

1回で治せる白い詰め物 *治療画像あり

ですので、コンポジットレジンはMI治療といえるのです。

ただ、コンポジットレジンはプラスチックですから、強度では銀歯に劣ります。

白い詰め物のデメリット コンポジットレジンとセラミックの比較画像

広範囲の虫歯をコンポジットレジンで治しても、割れたり、欠けることがおおいので、お勧めしません。

MIにこだわり過ぎる弊害もあるのです。

 

それでは全く削らないMI治療はあるのでしょうか?

極々軽度のC0~浅いc1程度の虫歯なら、削らずにフッ素コーティングしたり、虫歯の進行止めを塗ることで、進行を抑えることが出来る場合もあります。↓

また、レーザーを照射して、削らずに虫歯だけを取る治療もあります。しかしレーザーで虫歯全部しっかり取り切るためには、虫歯の全体像を把握する必要があり、ある程度は従来からある回転切削器具で削る必要があります。

同様にカリソルブといわれる虫歯を削らずに溶かして取る方法も、全く削らずにというのは難しいです。

ですので、極々初期の虫歯(Co~C1)以外に関しては、削らずに治療するというのは、かなり難しいと思われます。

当院では虫歯と健全な歯の境界を確認する場合は、高倍率ルーペやマイクロスコープを用いて、強拡大視野で確認するようにしています。

虫歯を取り残さないため、健康な歯をなるべく削らないためには、まず虫歯の部分がしっかり見えていければ、MI治療は出来ません。

当然、肉眼でそれらを完全に区別することはほぼ不可能です。最低でも3倍以上のルーペを使わなければ、MI治療は出来ません。

6倍のルーペ(形成の仕上げやCRで使用)

 

3倍ルーペ(常時装着。当院では肉眼での治療はおこなっていません。)

 

マイクロスコープ(CR、根管治療、形成の仕上げで使用)

なるべく歯を削りたくないお気持ちは、どなたも同じだと思います。

歯医者さんで、いきなり多くの虫歯を指摘された場合で、ご自身でまったく自覚出来なかったり、説明を受けても納得できない場合は、セカンドオピニオンを求めることをおススメします。

急に虫歯がたくさん その理由は? 歯医者を変えたら虫歯が10個も?

 

以上「削らない治療は出来ませんか?」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

歯科拡大鏡(ルーペ)選び。サージテル、カールツァイス、ハイネどれがいい?その他最新ルーペは?2025年ver

院長の笹山です。

日々の治療で常にルーペを着用して治療しているのですが、先日新たなルーペを導入しました。

ハイネというドイツのメーカーのルーペで倍率は6倍です

現在、ハイネ1台(2.5倍)(今回の6倍で2台目)とカールツァイス1台(8倍)、サージテル2台(3倍と6倍)を所有していますので、歯科医の方でルーペ選びで迷っている方に、少し参考なるかと思いブログ記事にしました。

それでは3社の良い点と気になる点をそれぞれ示します。(感想は個人の主観です。画像はデモ機も含みます。)

①サージテル (オークリーフレームタイプ)

良い点

1)フレームが樹脂製のため、軽く、装着感が一番良い。倍率が上がって重くなっても、フレームで耳や鼻が痛くなりにくい。

2)見た目が洗練されていてカッコいい(結構大事な要素です)

3)販売代理店が日本にあり、修理など対応は比較的早いと思われます。

気になる点

1)サージテルは低倍率2.5か3倍なら、正直他の安いメーカーとそれほどの違いを感じられない。

2)アジア人は、鼻の眉間より下の部分が低いので、欧米人用に作られたオークリーフレームではノーズパッドを別途購入しないと、覗き込む姿勢(上顎臼歯を見る時など)鼻からずり落ちやすい。

3)倍率の基準が独自。倍率についてはメーカ統一の規格性がありません。例えばサージテルの6倍だと数字上は高倍率に感じるのですが、カールツァイスに換算すると3.6倍くらいに相当します。

サージテルの10倍は使ったことがないのですが、多分ハイネの6倍より少し大きく見える程度だと思います。

4)値段がややお高い…。

5)私はTTLタイプ(上記のサージテル画像)を所有しているのですが、現在、サージテルはフリップアップタイプしか販売していません。

サージテルフリップアップタイプ↓

フリップアップタイプは、目からレンズまで距離があるため、実際の倍率より低く見えることと、視野が狭くなります。

やはりメガネにレンズに直接埋められたTTLタイプの方が視野も広く見やすいです。

ただし、TTLはゴーグルに接着剤でレンズを固定していますので、いつかは接着剤が劣化してレンズが外れてしまいます。

サージテルでは、それを付け直す修理サービスをおこなっていましたが、TTLの販売終了と共にそのサービスは終了となりました。

ですので、私の所有するTTLはレンズが取れてしまったら、使えなくなるのです( ;∀;)

サージテルのTTLはもう無いのですが、他のメーカーならTTLの販売はあります。レンズとゴーグルがくっ付いていることで、見やすく、視野が広いことがメリットとお伝えしましたが、実はそれが欠点でもあります。

なぜなら、ゴーグルに致命的な傷が入ると、ルーペ全体を預けての修理になるからです。

フリップアップタイプはゴーグルとレンズが分離出来ますので、ゴーグルだけを買い替えれば、預けることもなく、修理費用よりもゴーグル購入の方が安く済む可能性があります。

*2024年12月追記↓

2024年、サージテルは販売終了していた2.5倍のTTLを新たに販売開始しました。やはりTTLユーザーから要望が多かったのだと思います。

倍率的には物足りなさを感じますが、着け心地については他の追随を許さない文句なしの快適さがあります。

このくらいの低倍率のルーペは、基本1日中付けっぱなしになりますから、ルーペを選ぶうえで着け心地は、とても重要です。やっぱり着け心地が悪いと、次第に耳や鼻が痛くなりますので…。

https://www.surgitel.jp/surgitel-ttl/

 

②カールツァイス

フレームタイプ1 (3.6倍)

ヘッドバンドタイプ (4.5倍)

フレームタイプ2 (8倍 現在は販売終了)

良い点 

1)他の2社と比べて明らかに視野が広い。視野が広いと、隣在歯もよく見えるので、周りの歯とのバランスを見る時に非常に分かりやすい。

2)レンズが他の2社より明るい。また、2社と比べて視野が広い分、レンズの外枠が視界に入りにくいので使用中に気にならない。

気になる点

1)ヘッドバンドタイプは、上顎前歯舌側や上顎臼歯口蓋側を覗き込んだ時に、少し安定が悪く、ルーペがずれることがあります。

バンドをきつく締めても起こるので、こまめにズレを元に戻さなければならないことがあります。

ミラーテクニックを使えば覗き込まなくてもいいのですが、どうしても覗き込んで直視で確認したい時ってありますよね?

マイクロスコープに比べて、ルーペの良い所は、機動性と直視出来る範囲が広いことです。

2)フレームタイプの場合、レンズがケプラー式で重いので、長時間(私は30分)装着すると、鼻のノーズパッド部分が痛くなります。

フレームタイプの総重量は約150gあり、これはゆでたまご3個分に相当しますので、結構な重さであることが、ご理解いただけると思います。

ルーペの実際に重さの多くを占めるのが、レンズ部分ですので、ルーペの前後の重さのバランスが悪いです。

また、本体が重いので、装着しない時は首にぶら下げておくのですが、ユニット間を移動する時など、ルーペの重さで胸の前で揺れるので少し気になります。

サージテルは軽いので、首からぶら下げて移動しても気になりません。

ぶら下げたまま移動する時は、メガネ用コードを首の下辺りまで短くすると、揺れが気にならなくなります。(上のカールツァイスの画像のフレーム2に付けたような別売りメガネコードです。)

 

③ハイネ(ヘッドバンドタイプ)

良い点

1)ヘッドバンドの安定性が抜群によい。顔を傾けても、覗き込んでも、ずれない。(カールツァイスのヘッドバンドより、確実に安定します。)

2)ライトが明るく、ライトを照らす範囲や明るさもヘッドバンドで調整できる。

3)倍率が6倍まである。サージテルの8倍程度に相当すると思いますが、サージテルは、基本的にゴーグルタイプ(ヘッドバンドも一応あります。)になるので、レンズの重みで前後バランスが悪くなり、鼻や耳が痛くなりそうです。

ハイネのヘッドバンドタイプは、後頭部にあるライト用のバッテリーと、前のレンズ部の前後の重量バランスを考えて設計されているので、そのようなことがありません。

4)専用のスタンドタイプの充電スタンドを使うと、スタンドに置くと同時にライトも充電されるのでとても便利。

ただし置き場所をとるので、勤務医の先生にはちょっとハードルが高いかもしれません。勤務先のクリニックに、場所を取るハイネのヘッドバンドを置くのは、ちょっと気を遣いそうですね。

気になる点

1)最初のセッティングが難しいです。

動かせる調整用の関節が多いので、細かく調整出来、自分仕様に合わせることが出来るのですが、どこを調整したらちょうど良いのかコツが掴めるまで非常に時間がかかります。

この調整が上手くいっていなくて「どうもよく見えないな。」と誤解されている先生もいるかもしれません。ちなみに私は1時間半くらいかかりました…。

2)ヘッドバンドタイプは重量があり、ゴツいので、常時頭に着けたまま、使用するには向かないと思います。

これを装着したままユニット間を移動したりするのは、ちょっと邪魔になります。

今回ハイネの6倍を購入した理由としては、

「姿勢を変えて覗き込んでも、ルーペがズレずに安定性がある高倍率のルーペが欲しかったから。」という理由が一番です。

 

3社の中でバランスが良くてビギナーにも向いているのは?

3社の中での初めてのルーペを選ぶとしたら、お勧めはカールツァイスのフレームタイプの3.6倍×350㎜または3.5倍×400㎜です。

ちなみに3.5と3.6は、倍率が0.1倍しか変わらないのですが、作業距離が50㎜違うので、3.6倍の方が数値上よりも歯が大きく見えます。

ただしその分、患者さんとの距離は近くなり、覗き込むような姿勢になるので、首の負担は350mmの方があります。

50mmは5㎝ですから(当たり前ですみません)5㎝違うとだいぶ姿勢が変わります。

ユニットを上げれば距離は縮まるのですが、患者さんの地上高が高くなると、アシスタントが口腔内を見づらくなります。これはアシスタントが可愛そうですし、アシストの精度も落ちるので、良くないかもしれません。

ユニットが高すぎたり、低すぎたりはアシスタントに負担をかけます。

倍率はそこそこで良くて、軽さと快適さを重視するならサージテルのTTLですね。

話が逸れたので、戻します。

次は視野に関してです。

私が見え方を比較して確認する時は、視野に自分の指が何本見えるかを記録して確認しています。

ルーペ越しに、閉じた状態の指の本数を数えます。

私の場合、3.6倍だと指4本、3.5だと指4本半と違いは指半本ですが、見え方はだいぶ違います。(ちなみに私の所有する8倍は指1本)

ツァイスの3.6や3.5はデモ機を借りただけですが、レンズの明るさ、本体の重さ(少し難ありですが)、装着感の全てのバランスが良くとても使いやすかったです。

ツァイス純正のコード付きのライトもありますが、他社のコードレスライトをつける方が使いやすいと思います。マイクロテック社のバタフライ2など。

*コードレスはバッテリーが含まれているので、その分全体の重さが重くなるデメリットがあります。コード有りは、コードが煩わしい分、バッテリーが別になる分(胸ポケットなど)、重さは楽になります。

ツァイスの価格は決して安くはないですが、後悔はないと思います。

デメリットで述べた、重さについては、私の個人感覚ですので、デモ機を借りて体感してみてください。

そこまで費用を出せないのであれば、後で紹介するCiメディカルのルーペをお勧めします。

いきなり買わないでデモ機を借りましょう

3社ともデモ機の貸し出しが可能ですので、色々借りて試してから決めるのがいいと思います。

カールツァイスは、材料屋さん経由で無料で借りられます。

ハイネも材料屋さん経由で5,000円程度で1か月近く借りられるので良心的です。

サージテルは1週間で16,500円です。メーカー直販ですので、オーラルケア社のHPから貸し出し依頼が可能です。

*貸し出し価格は2022年8月13日 調べ

その他のルーペ

3倍以下の倍率なら3社から選ばずに、Ciメディカルのルーペで十分だと思います。

私も普段はCiメディカルの3倍ルーペがメインです。

高倍率のルーペを常時使用すると目を消耗します。目は消耗品ですので、大切にしなければなりません。低倍率と高倍率を上手く使い分ける方がいいと思います。

普段使いの低価格の色々なルーペを試してきましたが、このCiのルーペは本当にコストパフォーマンスがいいです。

軽いし、視野も広いし、明るいです。

そのためサージテルやハイネの低倍率はお蔵入りになりました。

ただし、ノーマルではフレームやノーズパッドの当たりがやや強いので、デリケートな人は、気になるかもしれません。

ノーズパッドとフレーム部分が少し硬いので、市販の眼鏡用アクセサリーを追加して当たりを弱めると更に使いやすくなります。

また、倍率はメーカー独自の基準で定めていますので、カールツァイスの3.5倍と、Ciの3倍では、数値だけで見ると0.5倍しか変わりませんが、実際の見え方は全然違います。カールツァイスの方が、圧倒的に大きく見えます。

ただ、重さはカールツァイスの半分近く(80g)ですので、機動性、装着感ななどは圧倒的にCiに分があります。

Ciメディカルのお勧めルーペ↓

クリアビュールーペ TTLタイプ 3.0倍(ウエリントン) 

こちらもデモ機の貸し出しが出来ます。

TTLタイプ(スルーザレンズ)は瞳孔間距離を合わせなければならないのですが、52ミリ~62ミリまでの6種全サイズをまとめて3日間程度無料で貸し出してくれるので、自分にあった瞳孔間距離を選べるというありがたいサービスがあります。

最後までお読みいただきありがとうございます。

少しだけお得な情報です。

お得な買い方

ハイネのルーペはCiメディカルが何処よりも安く販売しています。

年3回くらい、セール価格になるので更に安く購入できます。

Ciメディカルさんのハイネルーペセールの一例↓

上記は2022年ぐらいの価格です。2024年は円安でだいぶ値上がりしてしまいました😭

*2024年追記↓

最近歯科医に人気のルーペを2つ紹介します。

その1。

xenosys(ゼノシス)のLooks

というルーペです。

外科の実習付きの研修会に参加すると、装着している先生をチラホラ見かけるようになりました。

2024年のデンタルショーに初出展されていましたので、ブースで試着しましたが、軽くて高倍率で視野も広かったです。

フルオーダーでお高いですが、これからもっと普及していくと思われます。

https://mp-ltd.jp/surgical-telescopes/looks-3200/

 

その2。

アドメテック エルゴTTLルーペ

こちらは、ルーペがフレームより斜め下方向についていますので、正面を向いて治療をすると、口腔内が見えます。首の負担が少ないので、体に優しいルーペです。私もお試しで装着して見たことがありますが、慣れるとなかなか良さそうです。年齢を重ねると、段々体にガタが来て、回復も遅くなりますので、次はこのタイプのルーペを買うつもりです。

こちらもフルオーダーでお高いです。

http://www.micro-t.jp/custom64.html

*Ciメディカルに別メーカーですが、お安くて似た形状のルーペが購入可能です。

 

こちらも参考にどうぞ↓

高倍率ルーペはマイクロスコープの代わりにならないの?

以上「歯科拡大鏡(ルーペ)選び。サージテル、カールツァイス、ハイネどれがいい?その他最新ルーペは?2025年ver 」でした。

ルーペ選びの参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

患者さんにご指摘いただき改善したこと

院長の笹山です。

今年も細々とブログを書いていきます。

今回は患者さんにご指摘いただき改善したことの話です。

いきなり話は変わりますが、私は去年から、ほぼ全ての治療においてメガネタイプのルーペ(拡大鏡)を装着して治療しています。

こんな感じです↓

ルーペを装着すると、歯やお口が拡大して見えますので、正確な診断や精度の高い治療が可能となります。

たとえば、ルーペを使うと、歯がよく見えるので虫歯が発見しやすくなり、虫歯を治療する時も健康な歯を削らずに虫歯だけを綺麗に取りきることが出来ます。

小さな穴の虫歯を削ると、神経ギリギリまで到達する虫歯だったケース↓

ルーペは今までも要所要所で使っていたのですが、去年からは例外を除いてほぼ全ての治療に使っています。

その理由は…

実は私が担当した患者さんから、歯石を取り残していたことをご指摘いただいたことがありました。

確認させていただいたところ、確かに取り残しがありました。

私は元々目が良いほうで、普段は裸眼で過ごせるくらいですので、歯石取りに関してはルーペをほとんど使っていませんでした。

自分の視力を過信していたのだと思います。

やはりこういうことではいけないと思い、歯石取りにもルーペを使うようにしました。

それからは、一部の治療だけでなく、被せ物の調整や、歯型採りなど、今まで使用しなかった治療においても、使用するようになり、結局ほぼ全ての治療に使うようになりました。

使用頻度がどんどん増えた理由としては、やはりどのような治療においてもルーペの方が良く見えると実感したからです。

3年くらい前まではルーペを長時間使うと、頭がクラクラしたり、目が痛くなったりすることがあったのですが、今はその時と同じルーペを使っても、そんなことはありません。

やはり「もうルーペを使わないとダメだよ。」ということなんだと思います。

実は、年配の歯医者さんの引退理由で意外と多いのが

「目が良く見えなくなった。」

なんです。

人間ですので、視力も年と共に衰えていきます。日常生活での視力に問題はないのですが、歯医者の仕事は、数ミリ単位、細かくはミクロン単位の仕事です。

元々、光が届きにくく、暗く狭いお口の中で「良く見えない。」というのは歯科医にとって致命的なことです。

「見えなくなる」という、キャリアを積んだ歯科医なら誰もが直面する問題をルーペで補うことが可能な時代になりました。

更に高倍率のルーペを使用すれば、”補う”以上の効果があります。

高倍率ルーペは肉眼では見えないものを見ることが出来ます。

そこで新たに高倍率のルーペも導入しました。

カールツァイスという一眼レフやビデオカメラ、双眼鏡に使用されるレンズメーカーのルーペで倍率は8倍です。

もはやルーペといいますか、メガネに双眼鏡をつけたような外観になっています。

レンズ部にかなり重みがありますので、ただメガネをかけるように装着しただけですと、鼻の下にずり落ちるので、後ろの紐でしっかり後頭部に固定し、耳の後ろにゴム製の引っ掛けをつけなければなりません。

こちらの8倍モデルは今は製造中止になっており、特注でも5倍までしか販売していません。

その理由は、倍率の高いルーペは扱いが難しく需要が無いからだそうです。

なぜ高倍率のルーペだと扱いが難しくなるかといいますと、倍率が上がると、よく見えるようになる反面、ピントの合う範囲が狭くなります。

この8倍ルーペではピントの合う範囲は1㎝ぐらいなので、術者の顔が少し動くとピントが合わなくなり、視野がぼやけます。そんな感じですので、使いこなすには結構な訓練が必要そうです。

ですので、こちらのルーペは、今のところ、従来のルーペでは確認しづらい部分を確認するために使用しています。

たとえば、歯のヒビの有無や、細かい虫歯の取り残しの有無、歯の根の治療の際の根管の確認など肉眼では確認しづらい部分です。

この8倍のルーペのレンズを通して歯を見ると、どんな感じに見えるかといいますと、1本の歯は岩のようにそびえ立って見え、肉眼では見えない歯の凹凸や細かい溝など表面性状が見え、歯ぐきをみると、細かい毛細血管まではっきり見えます。

とにかく良く見えます。

少しずつこちらの8倍ルーペの使用頻度も増やして、より良い診断や治療に繋げられるようにしたいと思います。

以上「患者さんにご指摘いただき改善したこと」でした。

今回もご覧いただきありがとうございました。