いつまでも終わらない治療、歯の根の手術とは?

歯の根の治療をおこなっても、なかなか良くならない場合があります。

理由は様々ですが、

場合によっては、手術で歯の根に出来た病巣を切除することで治ることもあります。

下は術前のCT画像で、顔を横からみた画像です。青と緑のラインが交わる十字の部分の黒い影が大きな病巣です。そら豆位の大きさですが、ここまで大きくなると、歯の根の治療で治る可能性は低いです。

 

病巣を取り除き、歯根端切除術という方法で、汚染された根の先を切除して、MTAという薬を逆根管充填という方法で、歯の根の切断面に埋め込みました。

根の切断面の下に大きな骨の陥没があるのが分かると思います。これが病巣を取り切った後です。

 

術後1年のCT画像です。病巣が消失し、新しい骨で埋まっています。

かなり根の短い歯ですが、隣の歯数本と連結しているので、抜けることはありません。

患者さんには「歯を抜かずに済んだ。」と喜んで頂きました。

根の治療は奥が深く、なかなか治らない症例もあります。

その場合、いたずらに同じ治療を繰り返すのではなく、診断や治療方針が間違っていないか検証したほうが良いです。

歯の根の治療の専門医は通常1~3回で歯の根の治療を終えます。

私は根の治療の専門医ではありませんが、大体そのくらいの回数で終わるようにしています。

大体の目安ですが、根の消毒だけで6回以上通院するのは考えものです。

こちらも参考にどうぞ↓

歯科CTの活用 歯の根の治療編 何度通っても良くならない根の治療

いつまでも治らない歯の根(神経)の治療

以上「終わらない歯の根の治療、歯の根の手術とは?」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

虫歯を強力に予防する歯磨き剤

虫歯を強力に予防する歯磨き剤のご紹介です。

チェックアップルートケアというライオンから販売されている歯磨き剤ですが、今回リニューアルされて虫歯予防効果がアップしました。

日本の歯磨き粉に含んでよいフッ素の濃度の上限は1450ppmですが、ルートケアは上限の1450ppmまで入っているだけでなく、歯の表面に残るフッ素滞留量も3倍になったとのことです。

虫歯予防効果がアップしたチェックアップルートケア↓

 

虫歯予防効果だけでなく、知覚過敏を防ぐ成分や、歯肉炎を予防する殺菌成分も入っていますので、歯周病予防にも効果があります。

1点だけ注意事項があります。こちらは歯磨き粉ではなく、歯磨きジェルなので、研磨剤が一切入っていません。

研磨剤は日常の飲食による歯の着色を防ぐ効果があります。

コーヒーや紅茶、濃い色のお茶などをよく飲まれる方は、研磨剤が入っていないジェルだけを使っていると、歯に着色が溜まってしまいます。

その場合は、1日3回磨くなら1回は通常の歯磨き粉を使って下さい。

姉妹品のチェックアップスタンダードですと、低研磨剤ですので、歯に傷がつくこともほぼありません。

歯磨き粉であるチェックアップスタンダード↓

画像 / Check-Up standard チェックアップ スタンダード

 

歯ぐきが痩せて、歯の根が出ている人が研磨剤の強い歯磨き粉を使うと、歯の根がけずれてしまう恐れがあります。

そういった方にも、チェックアップルートケアをお勧めします。

当院ではチェックアップスタンダード、チェックアップルートケア共に取り扱いがありますので、気になる方は気軽にご相談ください。

こちらも参考にどうぞ↓

すぐ効果の出る虫歯予防法

 

ルートケアについて、更に詳しく知りたい方はライオン公式YouTube動画も参考にどうぞ↓ *音量注意

以上「虫歯を強力に予防する歯磨き剤」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

ポートピアデンタルショー

先日の休日に神戸で開催されたポートピアデンタルショーに参加してまいりました。

ポートライナーの市民広場駅で下車すぐの開場です。

デンタルショーに行くときは混雑を避けて朝一で行くようにしています。

朝一なので、まだ人は少ないです。昼頃が一番混みます。

 

お馴染みのチェックアップ歯磨き粉。フッ素の滞留量が3倍にアップしてバージョンアップしたルートケアを宣伝していました。

 

歯を抜く道具です。歯医者さんのYouTubeで「これがあれば、どんな歯でもスポスポ抜けます!」と紹介されていました。ブースにいるメーカーの人に聞いてみたところ「いや、そこまでは…。」との事でした(笑)

午前中いっぱいで各メーカーのブースを回りました。

朝一に入場した際に、先着順で会場周辺のキッチンカーで使えるお食事割引券を貰えましたので、それを使って、食べたことのない物を選びました。

ルーローカレーのビリヤニ。注文視した時に、店員さんから「+200円でライスをビリヤニに変えられますけど、どうしますか?」 私(ビリヤニ?)「じゃ、それでお願いします。」何だかよく分かりませんが、美味しかったです。

今回は収穫の多いデンタルショーでした。

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歯医者ってどうやって手術の練習をしているの?

皆さん、意外にご存じないのですが、抜歯は歯を抜く手術です。

患者さん「抜歯って手術なんですか?」

私「麻酔をして、歯を抜いて、血が出ますし、場合によっては縫合もしますので、手術ですよ。」

患者さん「そういわれれば、そうですね。」

抜歯は歯医者さんで日常的におこなわれているので、難しい親知らず抜歯などを除けば、日々抜歯手術を続けているうち自然と上手くなります。

もう初めて抜歯した時の記憶はありませんが、勤務医の頃に、グラグラで指で引っ張っても抜けるくらいの簡単な抜歯からさせてもらった気がします。

しかし歯ぐきの手術(形成外科や歯周病の手術)やインプラント手術は、特別な歯科医院でない限り、日常的におこなっているものではありません。

やっているうちに上手くはなりますが、最初のハードルはかなり高いです。

簡単なインプラント手術というものは存在しないからです。

やったことがない手術をいきなり患者さんで実践するわけにもいきませんので、一般的には講習会に参加して、実習を通じて練習します。

実習といっても、練習で人間の歯ぐきや骨を削るわけにはいきません。

練習用模型で実習する場合もありますが、模型ではリアリティーに欠けます。

そんな時、よく使用されるのがこちらです。↓

ブタの下顎です。精肉店さんで購入可能です。

もちろん人間とは違いますが、同じ哺乳類ですので、基本的な構造は一緒です。

歯も歯ぐきも骨もちゃんとあります。

手術を学ぶセミナーでは、解凍されたブタを使って、本物のメスやハサミを使って、練習をすることがあります。

 

先日参加したセミナーの様子。

講師の先生がレクチャー動画を見ながら、手技を教えてくれます。

私も手術形式のセミナーでは、過去に何度もブタで何度も練習してきました。

ブタのおかげで手術が出来るようになった部分もありますので、ブタに感謝です。

勤務医の頃にも勤め先の院長先生が手術の勉強会を開くのに、ブタを揃えて実習させてくださったことがあります。

今考えると、凄く手間のかかることをやっていただいたことが分かるので、感謝です。

今回受けたセミナーでは、骨が少なくなってインプラントが出来ない場合に、人工の骨を補ってインプラントが出来るようになる手術方法を学んできました。

GBRという方法です。

当院では既に導入している方法で、過去に他の先生のセミナーも何度か受けていますが、色んな先生の方法や考え方を学んで、より安全で確実な手術が出来るようになるために受講しています。

大阪で受けたのですが、四国や九州からも参加者がいて、とても人気のあるセミナーでした。

こちらも参考にどうぞ↓

インプラント手術は痛いですか?

以上「歯医者ってどうやって手術の練習をしているの?」でした。

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高倍率ルーペはマイクロスコープの代わりにならないの?

専門的な内容です。

私は普段の診療では3倍のルーペを使用していますが、ハイネの6倍、カールツァイスの8倍(製造中止品)も所有しています。

今年、カールツァイスのマイクロスコープを導入して、今毎日使っています。

まだまだ使いこなせてはいないのですが、

マイクロスコープを導入する前は、今回のタイトルのように

「高倍率ルーペは、マイクロスコープの代わりにならないの?」

と思っていました。

もちろん、マイクロスコープは20倍以上まで拡大することが出来ますので、ルーペよりも明らかに高倍率です。

しかし、マイクロスコープで実際に20倍を使用することはあまりなく、根管や破折線の確認などに用いるなど、静止状態における確認に適していると思います。

実際に20倍キープしながら動的な治療することは、なぜなら20倍まで倍率を上げると、患者さんが少し動いただけでも、ピントが合わなくなったり、視界がずれて、診ているところが見えなくなるからです。

マイクロスコープと高倍率ルーペの決定的な違いは、ピントを調整できることだと思います。

高倍率ルーペを使えば、髄床底付近、根管口などは低倍率ルーペよりも詳しく観察出来ます。

しかし、根尖付近は見えません。ピントを合わせることが出来ないのです。

マイクロスコープであれば、ピントを合わせることと、ライトの光量を調整することで、根尖孔まで見ることが出来、根管内壁の汚染状態もしっかり見えます。

これはマイクロスコープを導入する前から分かっていたことですが、実際に使い始めて、驚きでありましたし、感動すら覚えました。

マイクロスコープがないと根管治療が出来ないわけではありませんが、根管を拡大形成した後、根管内部をマイクロスコープで覗くと、根管を綺麗にしたつもりでも、汚染物質やガッタパーチャが意外に残っているのがはっきり見えます。

また、カリエス除去についても、高倍率ルーペより明らかにハッキリと見えます。

根管の汚れやカリエスをハッキリと見ながら、除去できることは、とても大きなメリットだと思います。

また、歯肉縁下に入り込んだ接着性レジンの余剰セメント除去にも適しています。

マイクロスコープはもっともっと使い方があるのですが、現段階では、私の使い道は限定的で感想もこの程度です。

では、もう高倍率ルーペは使っていないのかといわれると、使っています。

やはりまだ、マイクロスコープを使いこなせていないので、臼歯の充填や形成は難しいです。

特に下顎臼歯はミラーテクニックを使う上に、反転した動きになりますので、マイクロスコープを使って、削るのは超高難度です。

下顎の仕上げ形成にはハイネの6倍のルーペを用いています。

 

最後にマイクロスコープを導入したほうがいいか否かについてです。

私はマイクロスコープを導入するのに3年ぐらい迷いました。

マイクロスコープ導入セミナーをいくつも受けて、書籍もたくさん購入して、多くのメーカーのショールームにも通い、数社からデモ機もお借りして診療で実際に使ってみました。

どの機種にするのかも迷いましたが、一番迷うのは、

使いこなせるのか?

ということです。

ここで金額は書けませんが、歯医者さんなら、どれくらいの価格の機材かはご存じだと思います。

導入を検討する中で、色々なメーカーの方に話を聞くと、やはり導入したもののホコリを被っていいるユーザーさんは結構いらっしゃるようです。

なぜそうなってしまうのか?

導入して実際に感じたことは、やはり言われていた以上に相当練習しないと使いこなせないということです。

最初は、ポジションを合わせるのも一苦労で、ルーペなら10分で終わる治療に2倍以上の時間が掛かったりしていました。

マイクロスコープセミナーでは、

100時間の壁

という言葉をよく聞きます。

「100時間くらい使わないと、普通に使えるようにならないよ。」ということです。

慣れないうちから日々の治療のすべてにマイクロスコープを使うには、時間的にも無理があります。

1日最低1回は使うように、朝に当日の予約状況を見て、マイクロスコープを使う患者さんを決めておきます。

そうして最低1回~2回を毎日おこなっても100時間となれば、相当時間がかかると思います。

多くのユーザーは、そこにたどり着くまでに心が折れてしまうのではないかと思います。

私もまだまだですが、前歯のCR充填など録画しながら診療して、後で患者さんに診て頂くと

「こんなの初めてみました!」

「こんな風に治療してるんですね。よく分かりました。」

など、とても良い反応が返ってきますので、

患者さんに歯の大切さを理解していただくためにも、精密でやり直しの少ない治療をご提供するためにも、もっと使いこなせるように引き続き頑張りたいと思います。

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