親知らずを抜歯するリスクアセスメント

スタッフが「親知らずが痛いんです。」と言ってきました。

お口を見てみると、親知らずは生えていません。赤丸部分に歯ぐきの下に埋まっているようです。

 

レントゲン写真を撮影しました。 親知らずは、横に向いて埋まっています。

 

精査のためにCTレントゲン写真を撮影しました。 左下の親知らずは、ほとんどが骨に埋まっています。

 

 

更に詳細を分析します。

赤いチューブのような線は、下顎管といわれる動脈と神経で、親知らずの根の先と、かなり距離が近いです。

 

CTの角度を変えて、親知らずと下顎管の距離を計測します。

その距離、およそ2.3mm

ここまで下顎管との距離が近いと、親知らずを抜く際に、神経や動脈を損傷するリスクがあります。

神経を損傷すれば、麻痺が残る可能性がありますし、

動脈を損傷すれば、大量出血の可能性があります。

この親知らずの場合は、そこまでの超ハイリスクではないのですが、

親知らずのほとんどが骨に埋まっていることなど総合的に判断すると

「うちで簡単に抜けるよ。」とは言えないレベルです。

餅は餅屋。

外科のスペシャリストである口腔外科医に依頼することにしました。

本人も口腔外科に行ったことがないので、かかってみたいとのことでした。

親知らずの抜歯をされるのは、歯科衛生士としていい経験になると思います。

いつもインプラントや抜歯などの外科アシストについてもらっていますが、自分がされると、色々と分かることがあると思います。

無事を祈っています!

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

歯科CTの活用 歯の根の治療編 何度通っても良くならない根の治療

宝塚市の歯医者、笹山歯科医院 院長の笹山です。

前回の歯科CTの活用、親知らず編

に続いて有効なCTの活用方法である”歯の根の診断””についてお話します。

まずは下のレントゲン写真をご覧ください。

赤丸の部分に根尖病巣といわれる黒い影の像がみられます。上の画像はCT画像ではなく、従来からある2次元のレントゲン画像です。

上の画像で歯の根に病巣があるのは間違いないと思われますが、根の治療をするにあたり、この部分を更に深く診断するためにCTを撮影します。↓

黒い影が大きく見えます。

更にスライスカットした画像で歯を横ではなく、正面から見ます。

この画像は3Dの立体画像であるCTでしか見ることができない画像です。

病巣はかなり大きなことが立体的にも診断できます。

治療の方法としては、従来からあるスタンダードな歯の治療をおこなうのですが、CT画像により病巣の大きさや歯の根の管の出口などの細かい情報があると、治療の精度はより確実になります。

当院では歯の根の診断や治療の精度を高めるため、必要に応じてCT撮影をおこなっています。

特に歯医者さんで根の治療を何度もしているのに良くならない場合、歯の根そのものが割れているケースなどもあります。その場合は歯の根を治療しても良くなりません。抜歯になるケースがほとんどです。そのような場合の診断にも3次元で確認できるCTが有効です。

歯科CTの活用 親知らず編

宝塚市の歯医者、笹山歯科医院 院長の笹山です。

本日は当院のレントゲン設備であるCTについてお話しします。

親知らずの抜歯手術を計画を立てる時に、CTを撮影することがあります。

撮影する理由は、親知らずとその近くにある神経や動脈との位置関係や距離を調べるためです。

その距離があまりに近い場合は、親知らずを抜く際に、神経や動脈を損傷するリスクがあります。

下の画像は親知らずのCT画像をソフトで解析した結果です。

このケースでは、親知らずと神経や動脈との距離が1ミリ程度しかない場所がありましたので、当院での抜歯はリスクが高いと診断し、近隣の病院口腔外科へ紹介することとなりました。

当院では親知らず抜歯や難治性の歯の根の治療、インプラント手術の際に安全で確実な診断をするために、必要に応じてCT撮影をおこなっています。