歯科外来診療医療安全対策・歯科外来診療感染対策の対応施設として認可されました。*当院で実際に起こったヒヤリハット事例報告

長い記事のタイトルになってしまいました。

このたび当院は、

歯科外来診療医療安全対策

及び、

歯科外来診療感染対策

を実行している施設として、

厚生労働省より認可されました。

簡単にいいますと、

来院される患者様が

安全安心の診療を受けられる医療機関の施設基準

を満たしたということです。

以前から同様の施設基準はクリアしており、その認可を受けてはいたのですが、新たな施設基準が設けられたので、あらためて申請しました。

さて、表題の

歯科外来診療感染対策とは、

院内で患者さんが不潔な器具で他の患者さんの感染症がうつったりしないように、消毒や滅菌を徹底し、院内で感染が広がるようなことないように管理することです。

歯科外来診療医療安全対策とは、

AEDや酸素マスクなど緊急時に対応できる器材を揃え、患者急変時にもすぐに対応出来るように対策を講じるこです。

私自身も過去に米国心臓協会認定BLSヘルスケアプロバイダーの試験を受け、AEDの実習などおこない、資格を取得しています。

私が大学を卒業した頃は、まだまだ歯科医院における院内感染予防対策や安全対策は進んでいませんでした。

治療用グローブは手洗いして再利用したり、歯を削る器具も滅菌せずに消毒のみで対応していた医院が割と普通にありました。

 

また、治療中に誤って患者さんが銀歯を飲み込んでしまったりしても「問題ないですよ。」と、そのまま帰したりしていたこともあったようです。

過去に当院でも治療中に銀歯の中の虫歯を治すために、銀歯を削って外す治療をしていたところ、削った勢いでポンと外れた銀歯が、患者さんの喉の奥に転がってしまったことがあります。

その時、私が声掛けしてピンセットで銀歯を取り出す前に、ビックリした患者さんが起き上がって吐き出そうとした拍子に喉に落ちた銀歯を飲み込んでしまいました。

すぐに近隣の内科にコンタクトを取り、患者さんに行っていただきました。

内科ではレントゲンで銀歯の位置を確認後に、静脈鎮静法で軽く眠った状態にして、口から内視鏡を入れて取り出してもらいました。

銀歯を飲み込んでも、通常は食道から胃や腸を経由して、自然に排出されるのですが、万一どこかに引っ掛かったまま出てこないということも可能性としてはゼロではないので、当院ではそのような対応をしています。

これは特別な対応ではなく、今ではどの歯科医院でも当たり前におこなうべき対応です。

今回の施設基準の更新に伴い、

公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部 歯科ヒヤリハット事例収集等事業

という事業にも登録を申請し、ヒヤリハット事例を共有して、学ぶことになりました。

 

➀清潔であること。

②安全であること。

➂何か問題が起きてもちゃんと対応出来ること。

診療をおこなううえで、診療内容云々の前に、上記3つに関しては、必ず押さえておかないといけない大切なことです。

このたび厚生労働省から頂いた認可が形骸化しないよう、引き続き患者さんが安心して通院していただけるよう、万全の衛生管理と安全対策を講じて診療をおこないます。

以上「歯科外来診療医療安全対策・歯科外来診療感染対策の対応施設として認可されました。*当院で実際に起こったヒヤリハット事例報告」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

自費料金のお問い合わせについて。

時々ですが、

「インプラントはいくらでやっていますか?」

「セラミックの費用を教えてください。」

などのお問い合わせを電話やメールで頂きます。

結論から申しますと、当院はメールやお電話で自費の治療費についてお答えしておりません。

保険診療については国で定められた費用がありますので、それに診察料や検査費なども含めた概算についてお答えはしています。

なぜ自費の料金についてお答えしないかといいますと、当院では自費は治療方法や治療期間などを説明した後に、費用をお話しすると決めているからです。

自費は保険診療と比べて費用がかかります。

それだけの費用差が出る理由は、診断から治療に至るまで、すべての工程において時間とコストがかかるからです。

全く同じものを同じクオリティで提供されるなら、当然皆さんは安い方を選ばれると思います。

家電や洋服などは、その部類に入ると思います。

しかし安いセラミックと高いセラミックでは明らかに差があります。

同じ品質の治療であれば、患者さんは高い方の歯医者さんには行きませんので、歯医者側は高く設定するメリットはないと思います。

それでも安くしていない(出来ない)のには理由があります。

自費治療は患者さんと歯科医院との個人契約です。

品質の低い物を入れて、長持ちしなければ、患者さんに迷惑をおかけします。

例えばインプラント治療ですが、当院は日本の歯科医院におけるインプラント1本の平均費用と同じぐらいの費用でおこなっています。

また、当院の使用しているインプラントメーカーは世界で一番シェアがあり、論文や検証データも世界で一番多いメーカーを使用しており、一般的なインプラントメーカーと比べると、原価が1・5倍くらい高いです。

体に入れる物ですから「安全で信頼性の高いメーカーを」という考えから選んでいます。

昔、安いインプラントメーカーを使用している先生に「品質に不安はありませんか?」と聞いたことがあります。

その先生の答えは「もし抜けたら、また入れ直せばいいよ。」でした。

そういう考え方もあるのかと驚きました。

高いインプラントメーカーなら何でも大丈夫というわけではありませんが、長持ちさせる可能性を上げられることは、出来るだけしておくという意味でメーカーにこだわっています。

また、インプラントのかぶせ物を作るのも日本有数の歯科技工所に製作してもらっています。これも一般的な歯科技工所より1・5~2倍くらい製作費がかかります。

インプラントの被せ物は、デザインや細かい嚙み合わせなど、天然の歯に被せる物よりもシビアに作りこむ必要があります。細部まで考えてデザインし、精密に製作しなければ、長期の安定に影響します。

安いインプラントメーカーを使用し、安い歯科技工所で被せ物を作成すればコスト削減は可能です。

しかし医療ではコストカットしてはいけない部分があります。そこに関しては、妥協しないように心がけています。

賛否両論ある話だと思います。

「料金ぐらい電話で答えてくれてもいいのに…。」

お気持ちは理解できます。

私が医療従事者でなく、患者さんならそう思うかもしれません。

最近ではHPに自費料金表を掲載している歯医者さんが増えているのも知っています。

ただ、当院での自費治療のスタンスは前述の通りですので、当院で自費治療を検討される方には、ご予約の上ご来院頂き、お口を拝見してから、治療方法や治療期間など説明してからの費用説明とさせていただいております。

なぜそれだけコストがかかるのか、保険診療との違いは何なのかなど、ご理解いただいたうえで診療を受けて頂きたいのでそのようにしています。

ちなみに当院は基本的に保険診療がメインの歯科医院であり、自費治療はあくまで治療の一つの選択肢としての提示です。

保険診療と自費治療の違いをご理解いただき、患者さんに選択していただく。

ただそれだけです。

しつこく自費を診療を勧めたりすることは一切ありません。

保険と自費のどちらを選ばれても、精一杯治療させていただいております。

ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

だんだん良くなる患者さん

院長の笹山です。

当院を先代から引き継いで来年で10年を迎えます。

10年近く継続して患者さん拝見させていただいた中で、最近よく思うことについて書きます。

それは、以前は歯を上手く磨けていなかったけれど、だんだん上手く磨けるようになって、虫歯がほとんど出来なくなり、歯周病の進行も停止するか、穏やかな進行に変わった患者さんが増えてきたという事です。

ある患者さんは、歯ぐきの腫れが酷く、歯ブラシや歯間ブラシをしただけで口の中が血だらけになるくらいでしたが、今は歯磨きも上手になり、全く血が出なくなりました。

ある患者さんは、定期健診は欠かさずいらっしゃるのですが、検診のたびに虫歯見つかって治療していました。その後、歯間ブラシを毎日するようになり、虫歯がほとんど出来なくなりました。

また、ある患者さんは、元々歯周病があり、少しずつ歯が抜けていき、入れ歯になってしまいましたが、今では治療ではない日でも、歯間ブラシやうがい薬だけを買いに来られ、歯磨きも熱心にされるようになりました。

この患者さん方に対して、当初は何度も予防の大切さを説明したり、歯磨きや歯間ブラシの使い方を指導してきましたが、その効果はあまりなく、口の中がどんどん悪くなっていったのです。

この磨けなかった患者さん方が何故だんだん良くなっていったのかと考えたのですが、私は3つの要因があると思います。

①気づき 

②継続 

③時代

です。

①気づき

まずは「気づき」です。私もそうですが、自分が困ってもいないのに、人から何かをするように押し付けられても継続するのは難しいと思います。

歯を磨かなくても、普通に食事や会話が出来れば困りません。

本当に歯がグラグラして噛めなくなったり、歯が抜けてしまったり、虫歯で痛い思いをしたり、口臭を指摘されて気になったり、そういう色々なことが積み重なって「これじゃいけないかも…。」と気づきがあって、初めて自ら自分の歯の健康について考えるのだと思います。

ですので、この患者さん方にも、この10年の間に「ちゃんと磨こう。」と自ら思えるきっかけが何かあったのかもしれません。

ちなみに私自身の恥ずかしい話なのですが、私は昔から就寝時にマウスピースを必ずしなくてはいけないほど、噛み締めや歯ぎしりが酷いのですが、自分で作ったマウスピースを持ってはいたものの、ほとんど使っていませんでした。

理由はシンプルに面倒だったからです。

そしてマウスピースをしなくても、それまで困ることが無かったからです。

しかし、ある時に歯ぎしりによって歯にヒビが入り、そのヒビから虫歯菌が入って、虫歯になってしまい、3本の歯を治療しました。

医者ならぬ、歯医者の不養生です。

歯医者なのに虫歯が出来てしまったことが、悔しくて、ショックで、それからはマウスピースをずっと継続しています。

②継続

次に「継続」です。先ほど書いた3人の患者さんに共通することが1つあります。それは定期健診を継続して受けていらっしゃったことです。歯が磨けていなくても、歯が悪くても、欠かさずに定期健診で歯医者さんに来られることで、歯の健康に意識が向く機会が何度もあったということです。

人と人が親しくなる方法の一つに、会う回数や話す回数が増えれば増えるほど親しくなるというのがあるそうですが、あまり磨けなくても、とりあえず定期健診で歯医者さんに行っていれば、歯の健康について考えるきっかけはあります。磨き方をチェックされたり、クリーニングでサッパリすることで、予防に対する意識が高まることもあると思います。

③時代

最後は「時代」です。少し大袈裟な話になりますが、この10年で患者さんの歯の健康に対する意識が高くなっていると感じます。

テレビやネット、新聞で歯の健康が全身の健康に深く関係すること取り上げることが増えました。誰もがスマホを持つ時代になりましたので、お口のことで気になることがあれば、サッと検索も出来ます。

患者さんからも「歯周病と糖尿病って関係あるんですね。」「歯磨きのあとはあまりゆすがない方がいいって、テレビでやってました。」など、ひと昔前では患者さんから聞かれなかったようなことをおっしゃる患者さんが増えました。

以上の3つが私の考える要因です。

だんだんと良くなる患者さん方について思うのは、何かを改善するには時間がある程度必要だということです。

虫歯や歯周病は生活習慣病です。

いくら治療をしても、普段の歯磨きや食生活が良くないと、また再発して悪くなります。

毎日生活していると色々大変なことがあります。

ストレスでつい甘い物ばかり食べてしまったり、子育てや仕事で疲れて歯磨きまで気が回らないなど、仕方ない時期は誰にでもあります。

ですので、指導しても磨けない患者さんには寄り添いながらメンテナンスしていき、患者さんが気づくきっかけを待つことも大切だということを患者さんから教わりました。

私の尊敬する歯科医の先生の言葉に「最良の先生は患者さん」という言葉がありますが、患者さんから教わることは本当に多いです。

これからも患者さん1人1人に向かい合い、寄り添った診療を出来るように頑張ってまいります。

以上「だんだん良くなる患者さん」でした。

今回もご覧いただきありがとうございました。

40年通われている患者さん 

院長の笹山です。

今回は40年以上当院に通院されている女性の患者さんのお話です。

その最初の通院のきっかけは「顎関節症が酷くて、何処の歯医者さんにも診てもらえない。」でした。

前の歯医者さんで顎の不調を訴えたところ、咬み合わせを削って調整され、顎に余計に負担がかかるようになり、口が開きにくくなり、顎の痛みや異音、肩や手まで痺れるようになり、他の歯科医院に転院するものの、数軒の歯医者さんに治療を断われ、歯科大学病院を受診するも、そこでも治療を断られてしまったそうです。

その後、顎の症状の悪化により、口がほとんど開かなくなり(開口障害といいます。)食べ物は流動食的な物を、僅かに開いた口の横から流し込んで食事を取っていたそうで、体重は30㎏代前半まで落ちてしまったそうです。

あまりに辛くて毎日死にたいと思っていたそうですが、当時中学生のお子さんがいらして、まだ死ぬわけにはいかないと、人づてに当院を聞いて来院されたそうです。

患者さんがおっしゃるには、最初は先代の院長である父にも「これは難しい。」と言われて断られたそうなんですが、診察後も待合室に居残り「何とかしてください。」と何度もお願いしたそうです。

結局父が「どこまで良くなるか約束できないけど。」と折れて治療をスタートしたようです。

その後、数々の治療を経て、多くの不定症状は改善し、軽度の開口障害が残るまでに改善したとのことでしたが、その当時の話を父に聞くと「最初の数回は治療をせずに30分から1時間毎回話を聴くだけにした。」とのことでした。

私の想像ですが、父も治療するとは言ったものの、まだ手を付けるかどうか迷いがあったのかもしれません。

それくらい重度の顎関節症の治療は難しいのです。

現在、顎関節症はストレスによる歯ぎしりや、噛み締めが主な原因と言われており、患者さんの訴えを十分に聴く事でストレスが緩和されたり、時間の経過も症状の改善に繋がったのではないかと思います。

私がこの患者さんを引き継いでから、10年近く経ち、患者さんは80台半ばになられましたが、今もお1人で電車に乗って、定期健診を受けるために来院されます。

「私は歯の大切さを誰よりも分かっているので、歩けなくなっても、タクシーで来ます。」とおっしゃり、私自身は、父から引き継いだ後、特に大きな治療をすることもなく、メンテナンスをおこなっているだけなのですが「大先生にも若先生もいつも感謝しています。」と言ってくださいます。

今回の患者さんに限らず、先代からの患者さんで、引き続き通って下さり、私にまで感謝してくださる方が多くいらっしゃいます。

私もそう言って頂けて、本当にありがたいですし、励みになります。

こんなことを言っては語弊があるかもしれませんが、過去に皆さんが笹山歯科医院にお支払いした診察費で、私は歯科大学に進学出来、今こうやって先代の医院を引継ぎ、皆さんを引き続き診察することが出来ています。

ですので私が最後まで責任を持って皆さんを診続けることは当然のことなんです。

今、先代からの患者さん達は皆さんご高齢になられました。今後いつまで通院して頂けるかは分かりませんが、笹山歯科医院に通っていて良かったと思って頂けるように引き続き頑張ってまいります。

歯医者を変えない患者さん

院長の笹山です。

お盆休み明け初日は静かなスタートでした。

少し前の話です。

大阪の南方面から2時間半電車に乗り継いで当院に通院されていた90歳代の男性。

この患者さんは、元々当院のお近くにお住まいで、先代の父の時代からご家族皆さんで通われていたのですが、大阪に引っ越しされたあとも、電車を乗り継いで通院してくださっていました。

90歳を過ぎた頃に、さすがに通院は体力的に大変なのではと思い「大阪の歯医者さんを紹介しましょうか?」と提案したのですが、「ここがいいから、ここに来る」とおっしゃいました。

その後、数年お見えになっていませんでしたが、先日娘さんから「父がそちらで診てほしいと言っている。」と連絡があり、娘さんに連れられ、しばらくぶりに来院されました。

久しぶりにお会いすると、数年前と比べて、足腰が弱くなり、歩くのもやっとのような感じででした。。

お話をお聞きすると、体調を崩され、長い入院生活を送られていたとの事でした。お口を拝見すると、元々弱くなっていた歯が更に悪くなり、入れ歯を作り直さなけらればならない状況になっていました。

患者さんを連れてこられた娘さんは、大阪にお住いのお父様とは真反対の所にお住まい(車で2時間半以上)ですが、通院するとなるとお1人で通院できないお父様を毎回大阪まで送り迎えして通院しなければなりません。

入れ歯は1回では完成できないので「この場合3~4回かかってしまいます。」と娘さんに説明したところ「父の希望なので、私が連れてきます。」とおっしゃいましたので、急遽その日に入れ歯の歯型採りをおこないました。

その後、何とか3回の通院で入れ歯も完成し、患者様にも娘さんにも喜んでいただけました。

患者さんは「大先生(先代)の時から、お世話になって…。」と声を詰まらせ、涙を流されました。

長く通い続けて下さる患者さんの全てが、当院を気に入って下さってるなどと思い上がった気持ちはありません。

長く歯医者を変えない理由は「特に理由はない」「近所だから」「歳を取って病院を変えたくない」「自分の口の事を良く分かってくれている。」など様々です。

理由が如何なるものでも、長く通って頂くことはありがたいことですし、その分、患者さんのお口の健康に責任を持たなければならないと考えています。

今後も引き続き、1人でも多くの方に「笹山歯科医院に長く通って良かった。」と思って頂けるよう、毎日コツコツ一生懸命頑張ります。