いつまでも治らない歯の根(神経)の治療

新規で来院される患者さんで

「歯の根の治療がいつまでも治らないので診てほしい。」

と来院される方が年に数人いらっしゃいます。

「いつまでも」という期間ですが、大体2~3か月以上、同じ歯の根の治療を継続して受けていらっしゃる方が多いです。

歯の根の治療がいつまでも治らない(痛い)のは何故なのか?

今回はそれについて触れていきます。

歯の根の痛みが取れない主な理由は、

① 根の中や根の周囲に感染源が残っている。

② 歯の根にヒビが入っていたり、割れている。

③ 歯の根につめた仮の薬が刺激している。

④ 歯の根の中を治療器具で過剰に刺激している。

⑤ 治療されていない根管(神経の入っている管)がある。*歯の神経の管が複数ある歯があり、未発見の極細の神経の管が存在する場合があります。

などが考えられます。

私の経験で一番多いのは②です。

私も今まで多くの難治性の歯の根の治療をしてきました。

その中にはどうしても治らなくて、患者さんの同意を得て、抜歯することがあります。

その際、抜いた歯を良く観察すると、ほぼ全ての歯にヒビや割れが確認出来ます。

割れていた歯↓ 歯の根に縦の亀裂があります。

亀裂に沿って、器具を入れると2つに割れていました。根の中の金属は土台です。↓

*体の骨のヒビや割れ(骨折)は時間が経てば治りますが、歯のヒビや割れは自然にくっつくことはありません。

薪を斧で割ったように完全に2つに分離して割れていれば、歯を抜く前に通常のレントゲンやCTレントゲンでもある程度診断は可能ですが、根の先の方のヒビや割れはなかなか発見されません。

歯の根の上の方のヒビを発見することはあります。

歯の根の上部に”割れ”を発見したケース↓

拡大画像↓

歯の根の痛みや違和感が数か月続く場合は、

とにかく歯の根の中に感染源を徹底して取り除き、刺激の少ない仮の薬を入れて、緊密に仮の蓋をして、しばらく何もせず、数週間様子をみる。

これでも変わらなければ、歯の根の周囲の炎症(これは根の中の治療で治らない場合があります。)やヒビか割れ(歯根破折)を疑います。

いずれにしても、歯の根の治療というのは長くても4~5回までで診断を定めるのが良いと思われます。

原因を特定せずに数か月以上薬の入れ替えをおこなっても、良くならないことが多いです。

では「これは通常の根の治療では治らないな。」と診断した場合、その次はどうするのでしょうか?

抜歯しかないのでしょうか?

これについてはまた別の機会にUP予定です。

以上「いつまでも治らない歯の根の治療」でした。

ご参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

神経を抜いたのに歯が痛い…。

宝塚市 宝塚南口の笹山歯科医院 院長の笹山です。

今回は歯の神経を抜いたのに歯が痛い理由についてです。

まずは歯の神経を抜いた時期によって、痛みの理由は異なります。

1⃣神経を抜いたのは最近。

①虫歯など歯が痛くて神経を抜いた。

歯が痛くて神経を抜いた場合は、歯の根の周りまで炎症が広がっている場合があります(歯根膜炎)。歯の根の周りは、歯の神経の司っている部分ではないので、神経を抜いても痛みが続くことがあります。これは安静にしていると時間の経過と共に落ち着いてきます。(数週間から数か月かかる場合があります。)

②歯の神経が残っている。

神経は非常に複雑な形をしていて、スポンと1本の管のように抜けるわけではありません。少し神経が残る場合があります。これは後日の治療で再度麻酔をして抜くことがあります。

③神経の入っていた管に出血がある。

神経の入っている管には血管も入っています。これも神経を抜くときに一緒に抜けるのですが、炎症が大きい場合などには歯の中で再出血して、管の中で血液が充満し痛くなることがあります。

歯の中の歯髄と言われる部分には神経以外に血管も入っています↓

 

2⃣神経を抜いたのはずっと前。

過去に神経を抜いた歯でも、歯の根の外に感染源が残っていると根の周りに膿が溜まったりして、痛みが出ることがあります(根尖性歯周炎)。②で書いたように、神経は非常に複雑ですので、どんなに丁寧に神経を抜いても、一部の感染した神経が残ってしまう場合があります。その残った神経が感染源となり歯の根の周りが痛くなります。歯の根の周りが痛いと、歯の中の神経が無くても、歯そのものに痛みがあるように感じます。

もう一つの理由は歯の周りが歯周病になっている場合です。

この場合は、歯に神経が無くても、歯の周りの炎症によって、歯が痛く感じる場合があります。

以上「神経を抜いた歯が痛い。」理由についてでした。実は他にも多少の原因はあるのですが、今回は可能性が高い理由を主に説明しました。

もしかしたら、「神経を抜いたのに痛い。何で?あの歯医者さん下手?」と腹が立ったり、不安になることもあるかもしれませんが、神経を抜いた歯が痛くなるのは、それほど稀なことではありません。

まずは治療してもらった歯医者さんに相談してみるのが良いと思います。

歯科CTの活用 歯の根の治療編 何度通っても良くならない根の治療

前回の歯科CTの活用、親知らず編

に続いて有効なCTの活用方法である”歯の根の診断””についてお話します。

まずは下のレントゲン写真をご覧ください。

赤丸の部分に根尖病巣といわれる黒い影の像がみられます。上の画像はCT画像ではなく、従来からある2次元のレントゲン画像です。

上の画像で歯の根に病巣があるのは間違いないと思われますが、根の治療をするにあたり、この部分を更に深く診断するためにCTを撮影します。↓

黒い影が大きく見えます。

更にスライスカットした画像で歯を横ではなく、正面から見ます。

この画像は3Dの立体画像であるCTでしか見ることができない画像です。

病巣はかなり大きなことが立体的にも診断できます。

治療の方法としては、従来からあるスタンダードな歯の治療をおこなうのですが、CT画像により病巣の大きさや歯の根の管の出口などの細かい情報があると、治療の精度はより確実になります。

当院では歯の根の診断や治療の精度を高めるため、必要に応じてCT撮影をおこなっています。

特に歯医者さんで根の治療を何度もしているのに良くならない場合、歯の根そのものが割れているケースなどもあります。

その場合は歯の根を治療しても良くなりません。抜歯になるケースがほとんどです。そのような場合の診断にも3次元で確認できるCTが有効です。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院