ブリッジをお勧めしないもう一つの理由 

歯を失った場合の選択肢として、入れ歯、ブリッジ、インプラントが挙げられます。

ネットで調べれば、それぞれのメリット・デメリットはすぐに分かります。

こちらも参考にどうぞ↓

ブリッジ・入れ歯・インプラントどれがいい?

 

今回はブリッジについてお話しします。

ブリッジは失った歯の両隣を削って、橋(ブリッジ)を架けるように被せる治療方法で固定性の歯です。

ブリッジのデメリットとして検索結果でよく挙がってくるのが、

①両隣の歯を削ることで、歯の寿命が短かくなる。

②2本の根っこで3本の歯を支えるので、支えている両隣の根っこが過重負担で悪くなる。(3本のブリッジを入れる場合)

です。

これは本当にその通りで、特に②については、支える歯の神経が無い場合、ブリッジが10年持つ確率は54%程度というデータもあります。

ブリッジが持たなくなるというのは、ブリッジが外れてしまうなどもありますが、一番多いトラブルは、両隣の歯の神経の無い歯が過重負担に負けて、折れてしまう(歯根破折といいます。)により抜歯なることです。

ブリッジがダメになるというより、支えている歯がダメになって抜歯になるので、再度ブリッジにすることが出来なくなります。

歯根破折

 

今回、ブリッジをお勧めしないもう一つの理由として挙げるのは、

ブリッジは不潔になりやすい。

という点です。

一番不潔になるのは、ダミーといわれる歯の根がない歯の下の部分です。

下の画像の黄色い部分ですね。

ここはどうしても歯垢(プラーク)が残りやすくなります。

しかも、残ったプラークを取り除くのが簡単ではないのです。

ダミーの部分にフロスや糸ようじが入らないからです。

また、隙間が狭いので、歯ブラシも入りません。

下図の赤矢印部分をご覧ください。ブリッジは繋がっているので、フロスや糸ようじが歯と歯の間の上から入らないことがお分かりになると思います。

 

このようなブリッジでは、スーパーフロス(商品名プロキシソフト)をいう特殊なフロスを歯と歯の間の下の部分(黄色矢印)から挿入して、ダミー部分を掃除することが出来ます。

スーパーフロスの使い方の詳細は商品ページのビデオ部分をご覧ください。(Amazonの商品ページへのリンクです。)↓

https://amzn.asia/d/glD1Gmz

私は今まで、多くのブリッジを治療のために除去してきました。

そして、ブリッジを裏返して、ダミーの汚れが取れない部分がどうなっているのかを見てきましたが、ほとんどのブリッジのダミーの下はたくさんの古い歯垢が付着していました。

下の画像は除去したブリッジを裏返して撮影したものです。

ダミー(真ん中の歯)の表面の白くなっている部分は全部歯垢です。

これは金属のブリッジですので、本来この部分は全部銀色なんです。

以前見た歯医者さんのブログで、このような画像を載せた後に「私はこの被せ物が入ったコップの水は飲めません。」「だから自分の歯にはブリッジは入れません。」と書いている記事がありました。

なかなか攻めたことを書くブログだなと思って見ていましたが、気持ちは分からなくもありません。

とにかくダミーの下に残ったままの歯垢があることで、お口の中で細菌の供給源になり、周りの歯に影響を与える可能性はありますし、口臭の原因になる可能性もあります。

ブリッジの下の汚れを取るには、毎日スーパーフロスを通すことが一番良いのですが、これはなかなかハードルが高い作業です。

一か所のブリッジのために、毎日通常の歯磨きやフロスに加えて、スーパーフロスも行わなければならないということです。

もちろん、他の通常に歯に使用しているフロスや糸ようじを辞めて、スーパーフロスに統一することも出来ます。

スーパーフロスは、ブリッジ以外の普通のフロスしても性能の高いフロスとして使えます。

しかし今度はコストの問題が発生します。

スーパーフロスはAmazonで計算しても1本27円します。

これは普通フロスと比べて、かなり割高です。

しかもスーパーフロスは、1回使い捨てです。

1日26円なら1か月で約800円、年間9600円と約1万円になってしまいます…。

もう一つの解決方法として、ブリッジの素材を金属からジルコニアという素材に変えるのも良いです。

ジルコニアブリッジ↓

ジルコニアは表面が非常に滑沢(ツルツル)で歯垢が付きにくいです。

ブリッジの形態によりますが、ジルコニアで出来たブリッジのダミーの下は、ほとんど歯垢が残っていません。

以上の事から、お口の中を常に清潔に保ちたい方にはブリッジ(特に金属製のブリッジ)はお勧めしません。

歯根破折などで歯を失うことも怖いですが、ずっと取れない汚れが残っていることもいい気分ではありません。

以上「ブリッジをお勧めしないもう一つの理由」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

歯の根の治療。何度治療しても良くならない場合の選択肢

1本の歯の根の治療に3か月以上かかることは、ほぼありません。

なかなか痛みが取れない、治療中の歯に物が当たると痛い。

すごく痛いまでいかないけど、何か他の歯と違う痛みがずっとある。

長期間このような状態が続く場合は、いつまでも同じ治療を繰り返すことは効果がありません。

何度も何度も消毒と称して、薬交換をするだけといった代わり映えのしない治療です。

稀に、仮のお薬を詰めて、数か月様子をみることもありますが、とてもレアなケースです。

では、そういった痛みは続く場合は、どうしたらいいのでしょう?

 

その説明に入る前に、日本の歯科医療の歯の根の治療についてお話しします。

歯の根の治療はとても大切な治療なのですが、日本の保険診療の歯の根の治療は、非常に費用が低く評価されています。

先進国でも、これほど低い費用で歯の根の治療を受けられる国はありません。

安くて質も高ければ最高にコスパが良いのですが、現実はなかなか厳しいです。

語弊があるかもしれませんが、時間をかければかけるほど、全く採算の合わない赤字治療です。

ですので、最近では歯の根の治療を丁寧におこなうために、自費治療でおこなう歯医者さんも増えてきています。

自費治療では、歯の根の治療に使う材料や器具、治療にかけられる時間などが大幅に変わります。

かといって、自費の根管治療ならすべてが良い結果になるとはいえません。

根本的な診断力や技術力は、自費にしたからといって上がるわけはなく、普段からきちんと診断と治療を積み重ねてきた歯科医のみが持つものです。

マイクロスコープやニッケルチタンファイル、MTAセメントといった器具や材料を使えば、上手くいくものではありません。

保険では質の高い治療は難しく、自費だからといって必ず上手くいくわけでもない。

結局どうすれば?

と思ってしまうかもしれません。

日本では歯の根の治療専門で開業する歯科医院が徐々に増えつつあります。

根管(こんかん)治療専門の医院です。

基本的に歯の根の治療以外は、一切行わない歯科医院です。

治療はすべて自費診療になりますが、根の治療を自費だけ専門でおこなう場合、結果が全てですから、治療費に伴う結果はある程度保証されていると思います。

それくらいの技術がないと、根管治療だけで医院経営を成り立たせるのは難しいからです。

まだまだ根管治療専門医院の数は少ないのですが、これからの時代は、一般開業医では難しい親知らずの抜歯を病院の口腔外科に紹介するように、歯の根の治療もケースによっては根管治療専門医院に紹介する時代になってゆくと思われます。

当院でも根の治療は難しい、なかなか良くならない場合は、患者さんとご相談の上、専門医に紹介するようにし始めています。

なかなか治らない歯の根の治療を延々と続けるのは、患者さんの貴重な時間を奪うことになるからです。

治療中の医院で、なかなか治らない時は、すぐに根管治療専門医院に行くのも選択肢としてはありますが、まずは一般開業医でセカンドオピニオンを受けるのがいいかと思います。

なぜかというと、治らない理由がシンプルな場合があり、専門医院に行くまでもなくも、他の一般開業医で解決出来てしまう場合があるからです。

一般開業医でセカンドオピニオンを受けて、その歯医者さんの診断でも、根の治療で治すのは難しいと診断された場合に、根管治療専門医院で診断を受けてみるのもいいと思います。

いつまでも終わらない治療、歯の根の手術とは?

以上「歯の根の治療。何度治療しても良くならない場合の選択肢」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

歯が痛いのに歯医者さんに「何ともありませんね。」と言われた時にしてはいけないこと。

長いタイトルになってしまいました(-_-;)

歯が痛いから、歯医者さんに行って、レントゲン写真を撮ったり、色々調べてもらったけど、「何ともないようです。」といわれてしまった。

でも痛い…。

そんな時に考えられることがいくつかあります。

①誤診、見過ごし

同業者としては耳の痛い話ですが、やはり虫歯や歯周病など痛みの原因になりやすい病気を見過ごしてしまう可能性はゼロではありません。

定期検診を受けているのに虫歯を見逃された話

②親知らずの炎症

埋まってまま生えてこなかった親知らずも、歯ぐきのポケットと交通している場合があり、歯ぐきの中で炎症を起こす場合があります。

この場合、親知らずの1本前の奥歯が虫歯や歯周病のように痛くなることがあります。

親知らずを抜歯するリスクアセスメント

③顎関節症

奥歯で硬い物を噛むと痛い時などは顎関節症になっている場合があります。

顎(あご)の痛み 顎関節症? 症状・原因・治療・セルフケア 

④副鼻腔炎(蓄膿)

上の奥歯の歯の根は、副鼻腔に近いので、上の歯が痛い時は副鼻腔炎の痛みの可能性もあります。

⑤食いしばりによる歯根膜炎(しこんまくえん)

歯根膜は目では見えない歯の根を覆っている膜です。食いしばりや歯ぎしりが強いと歯根膜が圧迫されて痛くなることがありますが、歯の根なので、歯そものものが痛くなります。

虫歯でも歯周病でもない歯の痛みの原因

⑥筋・筋膜痛

これは複雑ですので、詳しく書くとかなり長くなります。シンプルにいいますと、口の周りの筋肉などの痛みにより、歯が痛く感じることがあります。

⑦心因性の歯痛

精神疾患や心理社会的要因による歯痛。

⑧神経性の歯痛

歯や歯に関わる神経がなんらかのエラーを起こし、歯に問題がないのに、歯痛が起こる。

⑨歯にヒビが入っている。

マイクロクラックといって、歯の表面に肉眼で確認できないようなヒビが入り、そこから歯の痛みが起こる場合があります。

 

ここまで、いくつか考えられる原因を書きましたが、

歯が痛い時に、歯医者さんで患者さんにして欲しくないことを書きます。

痛みの原因の診断がついていないのに、治療を受けてしまうことです。

噛むと痛いと伝えて、原因が分からないのに、先生が「とりあえず、咬み合わせを削れば楽になりますよ。」といって歯を削ってしまったり、

虫歯でも歯周病とも診断はつかないけれど「とにかく歯が痛いからどうにかして下さい!」と伝えると、先生が「歯の神経を抜けば、痛みは治まるかもしれませんから、抜きましょう。」

診断がつかない時に、これらの治療をおこなうべきではありません。

痛みが辛い時は「とりあえず、この痛みをなんとかして欲しい。」と思われるお気持ちはよく分かりますが、とりあえずの治療を受けたことで、痛みが治らないだけでなく、更に他の問題が発生することがあるのです。

私の医院にも、前の歯医者さんで咬み合わせが悪いからといって、歯を削られて、余計に咬み合わせが悪くなったといって来られる方が数年に一度くらいの割合ですがいらっしゃいます。

これは下手すると、顎関節症など重い病気に発展するかもしれない行為です。

私も噛み合わせの調整のために、歯を削ることはありますが、とりあえず削るということは絶対にしません。

先生の診断がつかないことは仕方がないので、早めにセカンドオピニオンを受ける事をお勧めします。

私も診断がつかない時は、他の医療機関に紹介状を書いて、セカンドオピニオンを受けにいって頂くことがあります。

診断がつかないことは、恥ずかしい事ではなく、患者さんのためを考えると、とりあえず治療するという行為を慎んで、セカンドオピニオンを受けてもらうことが大切だと考えています。

以上「歯が痛いのに歯医者さんに「何ともありませんね。」と言われた時にしてはいけないこと。」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

定期検診を受けているのに虫歯を見逃された話

Googleマップで歯医者さんの口コミを見ていると、

「歯が痛くなってかかりつけの歯医者に行ったら、かなり大きな虫歯があって、神経を抜く羽目になった。定期検診を欠かさず受けていたのに、見逃されて許せない!」

のような口コミを見ることがあります。

定期検診では虫歯のチェックで発見していれば、小さな虫歯のうちに治せたかもしれないのに!とお怒りのコメントですね。

まずなんですが、検診を受けていても、発見の難しい虫歯があります。

たとえば、歯の噛む面に穴が空いていたら、すぐに見つかると思います。

見つかりにくい虫歯の代表は、

歯と歯の間の虫歯です。

これに関しては視診(目で見る)だけでは、発見が難しいものも存在します。

レントゲン写真を撮って、初めて見つかる場合も結構多いです。

たとえば歯と歯の間の虫歯でも、下のレントゲン写真のように、大きな穴があいていれば、歯と歯の間が欠けており、明らかに虫歯であると分かります。

しかし、この虫歯も、最初は歯と歯の間から小さな虫歯が始まります。その段階での発見は難しいです。

虫歯が大きく進行して、歯が脆くなると、歯と歯の間の部分の上にある歯が欠けます。

天井が落ちるようなイメージですね。

そうすると、はじめて歯と歯の間の上から見ても分かるの穴が空いて、見た目でも分かります。

患者さん自身も歯の上まで穴が繋がるので、そこに食べ物が挟まったり、冷たいものが凍みたりするようになり、虫歯を自覚するようになります。

正直に申し上げますと、当院でも定期検診を受けていらっしゃったのにも関わらず、虫歯を発見できなかったことはあります。

では、どうしたら歯と歯の間の虫歯の発見を早めることが出来るのか?

これは検診のたびにレントゲンを撮るのが、もっともその可能性を減らせる方法だと考えます。

すべての患者さんに検診のたびにレントゲンを撮影するのは、非現実的ですし、頻繁なレントゲン撮影を嫌う患者さんがいらっしゃるのも事実です。

私の医院では、過去に歯と歯の間の虫歯の治療歴が多い患者さんに関しては、定期的に歯と歯の間の虫歯を調べるのに最適な撮影方法で、レントゲン検査をおこなっています。

ちなみにパノラマレントゲン写真をいわれる全ての歯が1枚のレントゲン写真を写る撮影方法で、歯と歯の間の虫歯を発見するのは、難しいです。

パノラマレントゲン写真の1例↓

歯と歯の間の虫歯を発見するために望ましいのは、

咬翼法(こうよくほう)

というレントゲン撮影方法です。

この撮影法ですと、歯と歯の間の虫歯を発見する可能性が高くなります。

しかし、それでもレントゲン写真はあくまで影絵ですので、完璧に発見できる方法は存在しません。

また、レントゲン写真を読みこむ診断力も必要で、読み込むことを読影(どくえい)といいます。

読影力のある歯科医と、そうでない歯科医では、同じレントゲン写真を見ても、見えている世界が違います。

というわけで、検診で見逃されやすい虫歯は、歯と歯の間の虫歯というお話でした。

歯と歯の間の虫歯を見逃されたくない方は、かかりつけの歯医者さんで咬翼法でレントゲン撮影をお願いするといいかもしれません。

3か月に1度では少し頻度的に多いので、半年に一度くらいの撮影がいいかと思います。

ただ、繰り返しになりますが、検診で絶対に虫歯を見逃さないというのは、不可能です。

虫歯は自然に出来る物ではありませんので、セルフケア次第で予防可能です。

まずは、虫歯が出来ないようにしましょう。

歯と歯の間の虫歯については、こちらも参考にどうぞ

歯と歯の間の虫歯 自覚症状が無いケース

歯を磨いているのに虫歯が出来る理由 

歯と歯の間に虫歯ができる原因

以上「定期検診を受けているのに虫歯を見逃された話 」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

 

 

 

 

子供のうちに治すべき歯並びについて

先週の日曜日は東京にいました。

大好きなラーメン二郎の本店に行くためです。

というのは冗談でして、

講演会に参加しました。

 

東京タワーや慶応義塾大学、ラーメン二郎本店のある港区三田が講演会の会場です。

ラーメン二郎の本店は昔よく行ったので、講演前に立ち寄ってみました。開店前なので、シャッターは閉まっていました。

セミナーの開始前の会場はこんな感じ↓

8年前に大阪で4回コースで開催された「子どもたちを健全歯列に導くコツ」というセミナーに参加して以来、子どもの矯正治療を続けてきました。

この日は、その復習と再確認のために参加してきました。

講師の先生ももう70歳近くなられて、今年で講演は終わりになるとのことで

参加できて良かったです。

8年前にコースに参加した後も、講師の先生が定期的にフォローアップの勉強会を開いて下さったり、症例相談にも乗って頂きました。

大変お世話になった先生です。

子どもが歯並びが悪いまま大人になってしまうと様々な弊害が出ます。

虫歯や歯周病、顎関節症になりやすくなる可能性があります。

歯並びが良くても上記になる可能性があるのですが、

子どものうちに歯並びや咬み合わせを治しておくだけで、随分とそのリスクが減ります。

最近ではマウスピース矯正が大流行りですが、クラシックな矯正治療は完成されており、良い点がたくさんあります。

今後も引き続き勉強を続けていきたいと思います。

当院がおこなっている子どもの矯正治療↓

子供の歯並び矯正 床矯正・拡大床ってどんな治療?

子供の歯並び。様子を見ていちゃいけないケース。

子供の歯並び。様子を見ていちゃいけないケース②

 

以上「子供のうちに治すべき歯並びについて 」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院