院長の笹山です。
毎年春に医院のエントランスに育てているチューリップが見頃を迎えました。
2月頃から毎朝、私がせっせと水をやりました。





このエントランスの雰囲気、すごく好きです。


院長の笹山です。
結構前の話です。
以前から一度はやってみようと思っていたことを実践してみました。
歯医者のワンオペです。
病院にいるのは自分1人で、スタッフゼロでの診療です。
たまたまスタッフが事前に休みを申請していて、人手が手薄な日があったので、他のスタッフの出勤も調整して、その日をワンオペする日に決めました。
1人っきりでは、いつも通りにはいきませんので、普段より大幅に予約患者さんの数を絞って診療しました。
朝出勤したら、診療所のシャッターや駐車場のポールを外して、洗濯機を回して、暖房を入れたり、照明をつけたり、診療機器やパソコンの電源を入れます。前日の診療後に滅菌した器具を滅菌器から取り出して、所定の位置に戻します。
この辺りは日頃から自分も結構やるので慣れています。
診療が始まり、来院された患者さんの診察券や保険証をお預かりし、カルテを院長デスクに移動し、患者さんを診療椅子にご案内し、治療をおこない、治療が終わったら、お会計をし、次回のアポイントをおこないます。そして次の患者さんがいらっしゃる前に、使用した器具を片付け、診療椅子を消毒し、次の治療に必要な器具を準備します。
文章にすると数行で表現されるのですが、全て自分でやるのはなかなか大変です。
患者さんから「お1人ですか?先生も大変ですね~」と言われたり、
長年通ってくださってるご高齢の患者さんに「先生、お一人ですか?おさみしゅうございますね。」とお気遣いのお声をいただきました。
午前中の治療が終わっても、カルテの片づけ、器具の洗浄や滅菌、診療椅子や待合室の清掃、洗濯後に乾燥機にかけていた洗濯物を畳んだりと休む暇はありません。
昼休みも電話対応をおこなうので、診療室で待機です。昼寝も出来ません。
午後は診療開始前に来られる歯科技工所の営業の方に歯型を渡したりして、その後に午後診療の準備を進めます。
午前同様、治療以外の全ても一人で行い、午後の治療が終わったら、医院全体の清掃、器具の滅菌、受付の締め作業など盛りだくさんです。
最後はシャッターを閉めます。
そんな感じで、ほぼ休憩することもなく、1日を終えました。
初めてのワンオペなので、予約を絞って入れてはいたのですが、当日に予約外の急なお痛みの患者さんや、今日定期健診を受けたいという患者さんもいらして、お二方とも対応したので、割と忙しかったです。
ワンオペにチャレンジしたのは以下のような理由からです。
①当院は小規模医院で元々スタッフ数も少ないので、色んなアクシデントが重なるとワンオペになる可能性もあるかもしれません。そうなった時に慌てて患者さんにご迷惑をおかけしないように、事前にワンオペの実際を体験してみたかった。
②普段スタッフに任せていることを全て自分でやることで、何か得られるものがないか確かめたかった。
そして実際にワンオペをした感想は…
①やはり治療中に電話が鳴るのが気になりました。治療中に電話が鳴ると、治療の手を止めて電話に出るので、治療の再開まで時間を結構ロスしますし、治療中の患者さんにもご迷惑をおかけします。
②ほとんど治療は一人でも出来なくはないのですが、内容によっては、ワンオペでは難しいものをあると感じました。やはりアシスタントがいた方が断然楽です。
③今回は急患対応も出来ましたが、予約状況によっては、急患対応が難しくなります。当院は「痛い。」「取れた。」「腫れた。」でお困りの患者さんは原則当日拝見すると決めていますので、それが出来なくなるかもしれません。
そんな感じでワンオペを体験して気づいたことが沢山あるので、これからの診療に生かしていきたいと思います。
ただ以前から、もしワンオペになったらどうしようという思い(不安?)が頭の片隅にちらついていたので、今回実際にワンオペを体験したことで、無理ではないことも分かったので、そういう小さな不安は減ったと思います。
ただ、スタッフに手伝ってもらうことは、やはり大切なことだということも良く分かりました。
美容室ではワンオペは割と多いようなのですが、歯医者のワンオペはなかなか難しいです。
今回は自らワンオペに挑戦しましたが、やむを得ずワンオペにならないように気を付けたいと思います^^

院長の笹山です。
去年末に治療した患者さんのお話です。
出来上がった被せ物を装着する予約日だったのですが、ほんの僅かですが、被せ物のフィットが悪い所がありました。
このまま装着すると、何年か過ぎた後にそこから接着剤が漏れ出て、外れてしまったり、虫歯になる可能性がないともいえません。
そこで患者さんにお詫びして、再度歯型を取らせて頂いたのですが、再度の歯型も良い歯型が取れませんでした。
そこで更に2回目の歯型を取ったのですが、それでも100%納得出来る歯型を取ることが出来ませんでした。
「もしかしたら問題が無いかもしれないけれど、もし次回またフィットが悪かったら…。」
患者さんに「何度も申し訳ないのですが、100%納得できるレベルの歯型が取れませんでしたので、もう一度だけ取らせてください。」とお願いして、この日3回目の歯型を取りました。
そして3回目でやっと100%満足できる歯型が取ることが出来ました。

この時点で治療時間は1時間ほど経過していました。
歯医者の治療の中で歯型取りは、患者さんにとって苦痛な部類に入ります。
口の中の歯型採りの材料が入って、固まるまで最低3分(当院は7分)は動けないですし、呼吸もしづらいです。
今日は歯が入ると思って歯医者に来たのに、歯は装着出来ず、歯型も3回取り直す。
普通でしたら「この先生、技術大丈夫?」と思われたり、お叱りを受けてもおかしくなく、信頼を失ってしまう可能性さえあります。
ですので歯科医側も歯型の取り直しを何度も提案するのは、とても心苦しいことなんです。
それでも再度歯型を取り直すことをお伝えした時、患者さんは快く「大丈夫ですよ。」と言って下さいました。
3回目の歯型を取り終えた時には「納得できる歯型は取れましたか?」と言って下さり、私が納得できる歯型だったことお伝えすると「良かったです!」と言ってくださいました。
お帰りの際には受付で「先生、皆さん、長時間ありがとうございました。」とまで言ってくださいました。
本来ならば、去年末に歯が入って、年末年始のお食事を快適に過ごせるはずでしたので、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、温かい対応をして下さり、本当に感謝しています。
同じ歯型を取るにしても、歯の位置やお口の状態によって、簡単な歯型取りと難しい歯型取りがあります。
今回は色々な条件が重なり、難しい型取りでしたが、さすがに3回も歯型を取るというのは数年に1度のことで、プレッシャーと緊張で神経をすり減らしました。
長持ちする詰め物やかぶせ物を作るために、歯型の精度というのは本当に大切で、そこを少しでも妥協してしまうと、結局数年後にやり直しになるなど、もっと大きな問題が起きる可能性があります。
そうなってしまうと患者さんには歯型を取り直すことより、取り返しのつかないご迷惑をおかけすることになります。
当院では製作段階で必要だと判断した時は、躊躇せず患者さんにお話して、やり直しや手直しをさせて頂いています。
「やり直さないためにやり直す。」
これからも続けます。
院長の笹山です。
年末年始と年明け最初の連休を使ってカルテ整理をおこないました。
カルテの保存期間は法律で5年と決まっており、保存期間を過ぎたカルテは整理していかないと溜まる一方で、医院に保管するスペースが無くなってしまいます。
カルテを整理するなかで、保存期間をとうに過ぎている昔のカルテが入った保管ケースをいくつか発見しました。
飛び飛びですが、平成の初期だったり、古いものでは昭和50年代のものもありました。
カルテというものは治療の記録だけでなく、患者さんの保険証の情報も記載されています。
当院には先代の頃から通われている高齢の患者さんが多くいらっしゃるのですが、その方々が過去にどんなお仕事をしていらしたのかが、カルテの保険証欄を見るとある程度分かります。
「あの方、学校の先生だったんだ。」とか「あの企業にお勤めだったんだ。」「看護師さんだったんだ。」などです。
そんな感じがするなぁと思う方もいらっしゃれば、失礼ながら意外だなと感じる方もいらっしゃいました^^
皆さん仕事を何十年も続けられて、今のお姿があります。おじいちゃん、おばあちゃんの患者さんとしてだけでなく、人生の先輩としての尊敬の気持ちを忘れてはいけないとあらためて感じました。
こんな経験を思い出しました。
私がまだ勤務医だった時、20代の終わりくらいの話です。
勤務先で高齢者の男性患者さんに叱られたことがあります。
「説明が足りない。年寄りだと思って説明をはしょるんじゃない!」
自分では普通に説明したつもりだったのですが、どこかで「おじいちゃんの患者さんだから…細部まで詳しく説明しなくてもいいんじゃないか。」と思っていたのかもしれません。
後で院長先生に「あの患者さんは、昔会社経営をされていて、それなりの立場にあった人だから、そういう接し方は良くない。」と叱られました。
そんなことで、高齢者の方をおじいちゃん、おばあちゃんではなく、人生の先輩として接することの大切さを知りました。
もちろん、おじいちゃんやおばあちゃんとして接したほうが、患者さん自身が楽な場合もありますが、そうでない場合もあるということです。
カルテ整理の話に戻ります。
カルテは大きなみかん箱12箱分くらいを休診日を4日間利用して整理しました。
重さにして何キロでしょう。多分全部合わせて、60キロぐらいあったと思います。整理が終わって、なんとなく医院が軽くなったような気がします。
普段使わない筋肉を使ったので足腰が筋肉痛で2,3日痛みましたが、カルテ整理をして、心も整理された気がします。
院長の笹山です。
当院を先代から引き継いで来年で10年を迎えます。
10年近く継続して患者さん拝見させていただいた中で、最近よく思うことについて書きます。
それは、以前は歯を上手く磨けていなかったけれど、だんだん上手く磨けるようになって、虫歯がほとんど出来なくなり、歯周病の進行も停止するか、穏やかな進行に変わった患者さんが増えてきたという事です。
ある患者さんは、歯ぐきの腫れが酷く、歯ブラシや歯間ブラシをしただけで口の中が血だらけになるくらいでしたが、今は歯磨きも上手になり、全く血が出なくなりました。
ある患者さんは、定期健診は欠かさずいらっしゃるのですが、検診のたびに虫歯見つかって治療していました。その後、歯間ブラシを毎日するようになり、虫歯がほとんど出来なくなりました。
また、ある患者さんは、元々歯周病があり、少しずつ歯が抜けていき、入れ歯になってしまいましたが、今では治療ではない日でも、歯間ブラシやうがい薬だけを買いに来られ、歯磨きも熱心にされるようになりました。
この患者さん方に対して、当初は何度も予防の大切さを説明したり、歯磨きや歯間ブラシの使い方を指導してきましたが、その効果はあまりなく、口の中がどんどん悪くなっていったのです。
この磨けなかった患者さん方が何故だんだん良くなっていったのかと考えたのですが、私は3つの要因があると思います。
①気づき
②継続
③時代
です。
①気づき
まずは「気づき」です。私もそうですが、自分が困ってもいないのに、人から何かをするように押し付けられても継続するのは難しいと思います。
歯を磨かなくても、普通に食事や会話が出来れば困りません。
本当に歯がグラグラして噛めなくなったり、歯が抜けてしまったり、虫歯で痛い思いをしたり、口臭を指摘されて気になったり、そういう色々なことが積み重なって「これじゃいけないかも…。」と気づきがあって、初めて自ら自分の歯の健康について考えるのだと思います。
ですので、この患者さん方にも、この10年の間に「ちゃんと磨こう。」と自ら思えるきっかけが何かあったのかもしれません。
ちなみに私自身の恥ずかしい話なのですが、私は昔から就寝時にマウスピースを必ずしなくてはいけないほど、噛み締めや歯ぎしりが酷いのですが、自分で作ったマウスピースを持ってはいたものの、ほとんど使っていませんでした。
理由はシンプルに面倒だったからです。
そしてマウスピースをしなくても、それまで困ることが無かったからです。
しかし、ある時に歯ぎしりによって歯にヒビが入り、そのヒビから虫歯菌が入って、虫歯になってしまい、3本の歯を治療しました。
医者ならぬ、歯医者の不養生です。
歯医者なのに虫歯が出来てしまったことが、悔しくて、ショックで、それからはマウスピースをずっと継続しています。
②継続
次に「継続」です。先ほど書いた3人の患者さんに共通することが1つあります。それは定期健診を継続して受けていらっしゃったことです。歯が磨けていなくても、歯が悪くても、欠かさずに定期健診で歯医者さんに来られることで、歯の健康に意識が向く機会が何度もあったということです。
人と人が親しくなる方法の一つに、会う回数や話す回数が増えれば増えるほど親しくなるというのがあるそうですが、あまり磨けなくても、とりあえず定期健診で歯医者さんに行っていれば、歯の健康について考えるきっかけはあります。磨き方をチェックされたり、クリーニングでサッパリすることで、予防に対する意識が高まることもあると思います。
③時代
最後は「時代」です。少し大袈裟な話になりますが、この10年で患者さんの歯の健康に対する意識が高くなっていると感じます。
テレビやネット、新聞で歯の健康が全身の健康に深く関係すること取り上げることが増えました。誰もがスマホを持つ時代になりましたので、お口のことで気になることがあれば、サッと検索も出来ます。
患者さんからも「歯周病と糖尿病って関係あるんですね。」「歯磨きのあとはあまりゆすがない方がいいって、テレビでやってました。」など、ひと昔前では患者さんから聞かれなかったようなことをおっしゃる患者さんが増えました。
以上の3つが私の考える要因です。
だんだんと良くなる患者さん方について思うのは、何かを改善するには時間がある程度必要だということです。
虫歯や歯周病は生活習慣病です。
いくら治療をしても、普段の歯磨きや食生活が良くないと、また再発して悪くなります。
毎日生活していると色々大変なことがあります。
ストレスでつい甘い物ばかり食べてしまったり、子育てや仕事で疲れて歯磨きまで気が回らないなど、仕方ない時期は誰にでもあります。
ですので、指導しても磨けない患者さんには寄り添いながらメンテナンスしていき、患者さんが気づくきっかけを待つことも大切だということを患者さんから教わりました。
私の尊敬する歯科医の先生の言葉に「最良の先生は患者さん」という言葉がありますが、患者さんから教わることは本当に多いです。
これからも患者さん1人1人に向かい合い、寄り添った診療を出来るように頑張ってまいります。
以上「だんだん良くなる患者さん」でした。
今回もご覧いただきありがとうございました。