スタッフと勉強しました。

「電動歯ブラシってどうなんですか?」

「手で磨くのと、どっちが歯垢が落ちますか?」

患者さんから時々聞かれる質問です。

予防メンテナンスに関わる歯科衛生士は、患者さんから電動歯ブラシについて聞かれる機会が多いので、最新の知識と経験を得てもらうために、メーカーさんにZoomでセミナーを開いてもらいました。

ZOOMを利用して、約30分電動歯ブラシについてレクチャーを受けます。

 

事前にメーカーさんから、電動歯ブラシを体感できるキットが送られています。

 

電動歯ブラシ「ソニッケアー」の最新バージョンの最上位機種。

 

ブラッシングコーナーで鏡を見ながら、電動歯ブラシを体感。

体感キットは1週間借りられるので、返却までに期間、私もスタッフもお昼休みの昼食後の歯磨き時に使ってみることにしました。

私は普段、普通の歯ブラシと電動歯ブラシの両方を使っているので、どちらにも、それぞれメリットがあると感じています。

こちらも参考にどうぞ↓

電動歯ブラシ・超音波歯ブラシ どうなんですか?

 

以上「スタッフと勉強しました。」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

インプラントのルール

入れ歯をやめてインプラントにする患者さんのケースです。

画面左側に部分入れ歯が入っています。入れ歯の違和感が強く、食事の時は、ほとんど反対側の入れ歯ではない歯で噛んでいるそうです。

 

入れ歯を外すと、こんな感じです。このまま入れ歯を使い続けると、画面左下の銀歯が折れるリスクがあります。

 

治療する場所のレントゲン写真。

 

インプラントを入れる時には、隣の天然の歯との距離、インプラント同士の距離に、最低必要な数値が決まっています。

インプラントと天然の歯の間は、最低1.5mmの距離が必要です。

インプラントとインプラントの間は、最低3.0mmの距離が必要です。

この距離を侵すと、隣の天然の歯にダメージを与える可能性や、入れたインプラントが長持ちしないリスクがあります。

今回のようなケースで、距離のルールを守りながら、2本のインプラント入れることは、そう簡単ではありません。

1本目のインプラントが、左右どちらかにずれて入ってしまうと、2本目のインプラントとの距離のルールを守るのが、難しくなります。

例えるなら、

2台ギリギリ入るぐらいの場所に、2台の縦列駐車をおこなう感じです。

どちらか1台が変な方向に停めてしまうと、もう一台が停めにくくなるか、最悪停められない状態になります。

 

そこで、ここに入れたいという位置に確実にインプラントが入るように、

ガイド

というものを作ります。

まずは、院内でCTレントゲンを撮影をし、ガイド製作会社にCTデータを送信し、シミュレーションソフト用に変換してもらいます。

 

私がPC上で、骨や血管・神経を確認しながら、2本が丁度よく安全な位置に入るようにガイドの設計をおこないます。

 

出来上がって納品されたガイド↓

 

手術より前の日にお越し頂き、ガイドの適合に問題がないかを確認します。

画面左側に2つの穴があるのが分かりますでしょうか?

この2つの穴に、ドリルを入れることで、入れる位置がずれないようにします。

 

ガイドを使うことで、計画した位置にインプラントが入れやすくなりますが、どんなものでも、完璧はないので、手術途中で方向に問題がないか、レントゲン写真を撮影して、確認します。

 

無事、計画した位置にインプラントを入れることが出来ました。

 

最終の被せ物は入った時の確認レントゲン写真です。画面右の銀歯も問題がある歯でしたので、この機会に治療しました。

 

術前

 

術後 部分入れ歯がなくなり、固定性の歯になりました。

すべてのインプラント手術にガイドが必要なわけでありませんが、ここぞという時には頼りになるのがガイドです。

ガイドにも色々な種類があり、

① 左右前後の位置だけをガイドするもの。

② 左右前後の位置だけでなく、インプラントを入れる深さ(垂直的)までガイドするもの。

③ ①②に加えて、事前に計画した太さや長さのインプラントが入るガイド。

ガイドのグレードを上げると、より早く安全に手術が出来ます。

しかし、ガイドが使いづらいケースや、ガイドだけではカバーできないケースもありますので、ケースに応じて、ガイドの有り無しや、使う場合は目的に応じたグレードのガイドを選ぶ必要があります。

以上「インプラントのルール」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

歯を失うリスクが高い人 抜歯になる可能性が高い歯

最近は予防歯科が浸透して、若い人(10代~30代前半)の歯を抜歯することは、ほぼ無くなりました。

虫歯もあるといえばありますが、歯を抜くに至るような崩壊した虫歯は見かけなくなりました。

虫歯治療や抜歯で可能性があるとしたら、歯ブラシが届きにくい親知らずが虫歯になってしまったか、将来の問題に備えて、親知らずをあらかじめ抜歯するくらいです。

それくらい若い世代の方々の歯は良くなりました。

今後歯を失うリスクが高いのは、

今、40~60歳代くらいの方です。

この年代の方も、歯を抜くようなことは、昔と比べて減っていますが、

若い人との違いは、既に治療済みの歯が多いということです。

この年代の方が若い頃には、まだまだ予防歯科は浸透していませんでしたので、成人するまでに虫歯で治療された歯が多いのが特徴です。

お口を拝見すると、白いプラスチックや銀の詰め物、被せ物がある場合が多いです。

同じ歯を4回治療すると抜歯になる可能性が高いといわれています。

1回目は、小さな虫歯を詰め物で治療。

2回目は、その歯の詰め物が外れたり、隙間から虫歯になって治療。

3回目は、神経に到達するような虫歯で、神経を抜いて被せ物をいれる。

4回目は、歯の根の病気が再発したり、歯の根が割れてしまって抜歯に至る。

という流れです。

問題は3回目の神経を抜く治療ですが、この治療をすると、歯の寿命は短くなります。

神経を抜かない虫歯治療

神経を抜いた歯は、根尖病巣といわれる歯の根の病気や、歯根破折といって、歯が割れてしまうことで抜歯になることが多いのですが、神経を抜いてからの期間が長いほど、その問題が起きやすいです。

特に、神経のない歯に、歯ぎしりや噛みしめなど強い力が持続的に加わると、歯根破折を起こしやすくなりますので、神経を抜いた時期が早ければ、早いほど、歯を失うリスクが高くなります。

画像で見る歯根破折

そして、歯を失う可能性が一番高い歯は、どの歯かといいますと

6歳臼歯

です。

下の図、赤マークが6歳臼歯、第一大臼歯とも言われます。

 

奥から2番目に生えている歯(上の図は親知らずも含んでいるので、上の図では、奥から3番目)で、その名の通りで6歳くらいに生える、最初の永久歯の奥歯です。

この歯を小学生くらいに虫歯で治療してしまうと、その後に何度か治療することで、30~40歳くらいで神経を抜く治療を受け、40~60歳くらいで、前述のような根の問題(根尖病巣・歯根破折)で抜歯に至ることが多いです。

なるべく抜歯に至らないようにするには、

➀長持ちする治療を受けて、次のやり直しまでの期間を出来るだけ延ばす。

➁セルフケアの向上と、定期健診を欠かさない。

の2つが重要です。

30代からは色々と忙しくなり、歯医者さんに行く時間を確保するのが難しい場合もあると思いますが、忙しい中でも、歯の健康のために、セルフケアを頑張ったり、定期検診に来院されている方は、50~60代になっても、歯がしっかり残っている方が多いです。

だんだん良くなる患者さん

人生100年時代といわれ、仕事や子育てを終えた後の人生がとても長くなりました。

やっと落ち着いて、これからは自分の時間も!という時に、

➀歯で困らない。

➁自分の歯で何でも美味しく食べられる。

➂歯の治療費に悩まない。

ためにも、歯の健康について今一度見直してみてはいかがでしょうか?

以上「歯を失うリスクが高い人 抜歯になる可能性が高い歯」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

長持ちするジルコニアクラウン

10年以上前に歯科界にジルコニアという新たな材料が加わりました。

それまで被せ物で白い歯といえば、プラスティックかセラミックが主流でした。

ジルコニアの最大のメリットは、割れにくいということです。

従来のセラミックは、白く美しいのですが、欠けたり、割れたりするリスクがありました。

ジルコニアが導入された当初は、ジルコニアは硬すぎて、噛みあう相手側の歯を傷めるとか、擦り減らせてしまうという懸念がいわれていました。

6年前に書いた過去記事はこちら↓

フルジルコニアクラウンのデメリット

 

そして出始め当初のジルコニアは、ただ白いだけで、色調は天然の歯と程遠く、白が悪目立ちするので、目立たない奥歯にしか適応できませんでした。

あれから10年。

500ケース以上のジルコニアクラウンを入れてきました。

その経験から言えることは、

現代の歯科材料で一番良い被せ物はジルコニアということです。

一番良いというのは、材質、持ち、見た目などのトータルバランスで良いということです。

本当に天然の歯と全く見分けがつかない程の被せ物に関しては、今でもセラミックの方が勝ります。

私の治療でも、究極の審美性を求める場合は、セラミックを用いますが、

ほとんどがジルコニアで十分なケースが多いです。

現代のジルコニアは、最初に述べたような、硬すぎて歯を傷めることもなく、色調もかなり良くなり、普通に見れば天然の歯と見分けがつかないほどです。

近年の進化したジルコニアでおこなった治療例↓

フルジルコニアで審美歯科治療をおこないました。

 

ジルコニアは抗菌性が高いので、プラークが付きにくいため、隙間から虫歯になったり、周りの歯ぐきが歯周病になるリスクも低いです。

500ケース以上のジルコニア治療をおこなってきましたが、割れてしまったのは2例だけで、そのケースに関しては、割れるリスクを最初から把握していたケースでしたので、割れたのは想定範囲内であり、驚きはありませんでした。

また、ジルコニアが硬いせいで、噛みあう相手側の歯が極端に擦り減ったなどの経験もありません。

ジルコニアは保険外治療となり、決して安くはありませんが、適切におこなえば、金額に見合った価値を得られる治療と考えます。

適切におこなえばというのは、誰が治療しても同じ結果が出せるわけではないということです。

ジルコニアを被せるという行為は、歯の治療の最終的な段階であって、

➀術前の診断

➁歯の削り方

➂歯型の採り方

➃歯を作る歯科技工士さんの熟練度

➄歯の装着の仕方

⑥嚙み合わせの調整の仕方

など、すべてが揃って、ジルコニアのメリットを最大限発揮されます。

自費診療は歯医者さんによって、価格設定が異なりますが、相場より安いところは、何かしら省略されている可能性があります。

「それでも安い方がいい」と選択して、結局長持ちしないとなると、本末転倒です。

ジルコニアに限らず、自費診療で長持ちを期待されるのであれば、歯科医院選びが重要な要素になるといえるでしょう。

以上「長持ちするジルコニアクラウン」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

*当院への受診を検討されている方のメール相談はこちらから↓

https://www.sasayama-dc.com/information/index.html

大人になって矯正って遅いですか?

当院に来院されている患者さんから時々受ける質問です。

「先生、今さら矯正ってどうですか?遅いですか?」

質問される年代としては、40歳代~70歳代くらいまでの方で、ほとんどが女性の方です。

私は「大人の矯正は、時間と費用が許すならした方がいい。」と考えています。

歯並びが悪いと、磨き残しが残りやすくなり、虫歯や歯周病になりやすくなり、噛み合わせが悪いと、歯や顎関節に負担がかかります。

しかし、大人で矯正を検討している方で、上記のような理由で矯正としようと考えている方は、ほとんどいらっしゃらず、

実際には、

「見た目を良くしたい。」

という気持ちでいる方が多いと感じます。

最近は、ルッキズムという言葉が盛んにいわれるようになりましたが、いい意味で、見た目はとても大事だと思います。

凸凹の歯並びや、出っ歯や受け口がコンプレックスであるのなら、矯正で綺麗な歯並びになると、自己肯定感も上がるので、とても有効な治療だと思います。

矯正治療を受けたい最初の動機は、見た目の改善だとしても、矯正治療を受けることで、歯並びや噛み合わせが良くなり、結果的に上述したような、虫歯や歯周病のリスクの軽減、歯や顎関節の負担も軽減も出来ます。

また、歯並びや噛み合わせが良くなることで、発音がしやすくなったり、食事がしやすくなる可能性もあります。

費用は高額になりますが、矯正治療は健康で長生きするための、価値ある自己投資だと考えています。

ですので、患者さんから「今更、矯正治療ってどうですか?」と聞かれた時は、基本的には「遅くないです。いいと思います。」とお答えすることが多いです。

最近では、従来のワイヤー矯正ではなく、インビザラインようなマウスピース矯正も多くなってきたので、症例によっては、針金をつけずに矯正を出来るようになっています。

よく聞かれる質問で、

「大人のなってからの矯正って、しても大丈夫なんですか?」

この「しても」という質問の意味は、ある程度年齢がいっていても、ちゃんと歯が動くのか?とか、歯や歯ぐきに悪影響はないか?という意味の質問です。

たしかに重度の歯周病があったり、被せ物が多かったり、既に失っている歯があったり、インプラントが入っているといった要素があると、矯正が難しくなる場合もあります。

そこは、矯正専門医の先生がどう判断するかにもよりますが、それなりの妥協点はあったとしても、「出来ない。」ということは、ほとんどないと思います。

最近も60代の女性から

「矯正して噛み合わせを治した方がいいですか?」

と相談されました。

実際に、その方は噛み合わせが悪く、このままだと好ましくないと診断しましたので、「した方がいいと思います。」とお答えして、連携している矯正専門医のクリニックにご紹介しました。

先日その後の経過をお聞きしたところ、現在検査を受けているとのことでした。

矯正専門医でカウンセリングや検査を受ければ、ご自身の歯並びや噛み合わせがどうなのか?や具体的な治療方法、治療期間、治療費用も分かりますので、より現実的に矯正治療を受けるか考えることが出来ると思います。

先ほどから、矯正専門医という言葉を何度も書いていますが、

大人の矯正の場合は、矯正専門のクリニック(矯正しかしない医院)で、主治医の先生が日本矯正歯科学会の認定医のクリニックで受けられることを推奨します。

矯正は歯医者の免許を持っていれば、専門医でなくても、治療してもいいのですが、なぜ私を含めて、多くの一般開業医が矯正をしないか、そして矯正専門のクリニックが存在するのかといいますと、矯正はそんなに簡単じゃないからです。

特に大人の矯正は、相当な知識と経験を必要とします。

私は、かつて2年間矯正のセミナーを受けましたが、学べば学ぶほど、専門医領域の治療だと思いましたので、大人の矯正はやっていません。

当院から矯正専門医のクリニックを紹介する場合でも、日本矯正歯科学会の認定医の先生が在籍しているクリニックをご紹介しています。

少し話が逸れましたが、

大人の矯正は、健康なお口を維持するために、とても有効な治療ですので、

迷われている方は、矯正専門医に相談することをおススメします。

以上「大人になって矯正って遅いですか?」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

*当院への受診を検討されている方のメール相談はこちらから↓

https://www.sasayama-dc.com/information/index.html