親知らずの下に、もう一本親知らず?

院長の笹山です。

先日、虫歯が酷くなった親知らずを抜歯する処置をおこないました。

下のレントゲン画像の向かって左端が虫歯の親知らずです。どこが虫歯か分かりますでしょうか?

 

図解します↓ 赤く縁取っているのが親知らず、その中の斜線部分が虫歯です。かなり大きい虫歯です。これくらいだと今まで痛みが無かったのが不思議なくらいです。(青い部分については後で説明します。)

虫歯で崩壊寸前の親知らずを抜くのは、ちょっと難しいです。

まず虫歯で歯がボロボロに溶けているので、抜きにくくなっています。例えるなら、腐って朽ちてしまった木の根っこを引っこ抜くようなイメージです。掴むとボロボロと壊れていくので、難易度が上がります。

何とか抜歯し終えて、抜き残した根っこがないか歯を抜いた穴をミラーで確認したところ、親知らずを抜き終わったはずの穴に、歯の根っこではない何かがはっきりと見えました。

その何かとは、親知らずを抜いた穴から見える過剰歯でした↓

*過剰歯とは? 

人間の歯は通常親知らずを除くと上下合わせて28本あります。その28本以外に歯が余分に出来てしまったものを過剰歯といい、病気等ではありません。通常の歯のように生えてくる場合もありますし、今回のように骨の中に埋まったままの場合もあります。歯の大きさは通常の歯より小さいサイズのものがほとんどです。

図解します↓青囲みが親知らずを抜いた後の穴、緑囲みが骨に埋まった過剰歯の一部が見えている状態、矢印は手前の奥歯の一部です。

ちなみに先ほどの2枚目のレントゲン写真の青囲みの部分が過剰歯です。

実はレントゲン写真を見た段階では、親知らずの大きな虫歯に気を取られて、過剰歯の存在に気づいていませんでした。何となく、親知らずの根っこの周囲のレントゲン像に違和感を感じてはいたのですが…。

この過剰歯は深い位置にありますので、このまま抜かなくても、傷口が塞がれば、埋もれて見えなくなります。埋まったままの歯であれば、虫歯になったりしませんし、問題はほとんど起きません。

ですが、見つけてしまったものをそのままにするのは、何となく違和感があるので、同時に抜いておきました。

ただし、この過剰歯は骨に埋もれていたのと、解剖学的に副鼻腔(上顎洞)と近接していたので、かなり慎重に抜歯をおこないました。

抜き終わった歯です↓ 左が過剰歯、右側が親知らず(虫歯でボロボロだったので、ほとんど根っこだけの状態です。)

患者さん、お疲れ様でした!

安全に抜歯をするために少し時間がかかってしまいましたが、無事両方抜けて良かったです。

以上「親知らずの下に、もう一本親知らず?」でした。

 

歯の根の手術をおこないました。

院長の笹山です。

以前こんなブログを書きました。

いつまでも治らない歯の根(神経)の治療

上のブログ記事の最後に書いた、

”では「これは通常の根の治療では治らないな。」と診断した場合、その次はどうするのでしょうか?

抜歯しかないのでしょうか?

これについてはまた別の機会にUP予定です。”

の続きが今回のブログです。

歯の根の治療をおこなっても、治りが悪い場合があります。

このケースは2度ほど歯の根の治療をおこなったのにも関わらず、完治しなかったケースです。

根っこの先に膿が溜まる病気が歯の根の治療だけでは治らない場合は、外科的に歯の根の先を少しカットするのと同時に、根の先に出来た膿の袋を取る場合があります。

根の先をカットすること歯根端切除術といい、

膿の袋を取ることを歯根嚢胞摘出術といいます。

また、再び膿の袋が出来ないように、根の先端をカットした断面に薬をつけることを逆根管充填といいます。

先日、その手術をおこないました。

CTで病巣の立体像を把握して、手術プランを決めます。

術前の状態

術中

縫合終了時

手術は局所麻酔で麻酔から縫合まで含めても1時間以内に終わります。

膿の袋の大きさなどによりますが、1週間程度は少し腫れます。

手術の痛みや術後の痛みはほとんどありません。

通常歯の根の治療は4回程度で終わります。回数や期間をかければ、治るものではないので、いたずらに長引かせず、治らない場合は外科治療も選択肢に入れて治療しています。

ただし、どんな歯でも出来る治療ではなく、大臼歯といわれる一部の奥歯や、太い神経や血管に近い歯は手術リスクが高いので、適応外です。

また手術中に骨の中の歯の根を直接観察した時に、歯の根に亀裂が見られる場合(歯根破折といいます。)があります。

歯根破折は治らないので、抜歯適応です。

こういう可能性もあるので、術前に歯根破折だった場合は抜歯までするか、それとも破折部分はそのままにして、手術を終了するか事前に患者さんに確認しておくことも必要です。

今回は幸い破折は確認されませんでしたので、順調に治っていくと思われます。

患者さん、大変お疲れさまでした。

以上「歯の根の手術をおこないました。」でした。

 

9番目の歯?過剰歯を抜歯しました。

先日、虫歯になっている親知らずの抜歯をおこないました。

親知らずは画像の右端の歯です。矢印の歯は過剰歯です。

大人の歯は親知らずを除くと通常上下で28本あります。それ以外の歯を過剰歯といいます。

顎の骨の中に埋まっているのがレントゲン写真で見つかったり、今回のように生えている場合もあります。

今回のような位置に生える過剰歯は、画像のように大きさは小さいです。このくらいでしたら、抜かずにそのままでも大きな影響はありません。

ただ今回は親知らずが虫歯になっていたので、今後この過剰歯も虫歯になる可能性があり、親知らずと一緒に抜きました。

親知らずは前歯から数えて8番目に位置しますので、私たち歯科医は「親知らず」とは言わずに「8番」といいます。(患者さんに説明する時は、親知らずといいます)

今回はその親知らずの近くにあった歯ですので、9番?ともいえるかもしれません。

抜いた親知らずと過剰歯です↓

親知らずの虫歯はかなり進行していました。もうしばらく放置していると夜も眠れないくらい痛くなった可能性がありましたね。

過剰歯はかなり小さかったです。長さは6mmくらいでした。

以上「9番目の歯?過剰歯を抜歯しました。」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

*当院への受診を検討されている方のメール相談はこちらから↓

https://www.sasayama-dc.com/information/index.html

 

歯科CTの活用 親知らず編

宝塚市の歯医者、笹山歯科医院 院長の笹山です。

本日は当院のレントゲン設備であるCTについてお話しします。

親知らずの抜歯手術を計画を立てる時に、CTを撮影することがあります。

撮影する理由は、親知らずとその近くにある神経や動脈との位置関係や距離を調べるためです。

その距離があまりに近い場合は、親知らずを抜く際に、神経や動脈を損傷するリスクがあります。

下の画像は親知らずのCT画像をソフトで解析した結果です。

このケースでは、親知らずと神経や動脈との距離が1ミリ程度しかない場所がありましたので、当院での抜歯はリスクが高いと診断し、近隣の病院口腔外科へ紹介することとなりました。

当院では親知らず抜歯や難治性の歯の根の治療、インプラント手術の際に安全で確実な診断をするために、必要に応じてCT撮影をおこなっています。

歯科CTで診断 安全な親知らずの抜歯

院長の笹山です。

下の親知らずを抜歯を計画した時、CT撮影すると安全に手術がおこなえます。

下のレントゲンは親知らずを横からみたレントゲンです。

横に生えている親知らずの下を通っている線が下顎管といって、動脈や大事な神経が入っている管です。ここを親知らずを抜歯する際に損傷すると、大出血や神経麻痺をおこします。

この従来のレントゲンでは親知らずと下顎管が重なっているように見えますが、それを立体的に撮影し診断できるのがCT画像です。

当院のCTで撮影した画像です。

赤い線が下顎管です。3次元のCT画像で見ると、親知らず(青い矢印部分)と重なっていないことがはっきりと分かります。

当院では下の親知らずも、ある程度のレベルまでは自院で抜歯可能です。

難易度が高いケースは、病院を紹介しております。

ちなみにこの親知らずは当院で抜歯しました。

当院のCTについてはこちらもどうぞ↓

https://www.sasayama-dc.com/blog/?p=6363&preview=true

以上「歯科CTで診断」についてでした。