銀歯が取れやすい5つの原因

以前に銀歯が取れる理由について銀歯の材質の問題について触れました。↓

銀歯が取れる・外れる理由 ガム食べちゃダメ?

しかし、銀歯が取れやすい原因は、金属の材質だけの問題ではありません。

実は他に理由があるんです。

一つ一つ解説していきますね。

①歯の高さが低い。

歯の高さが低い場合、被せるにしても、詰めるにしても、被せ方が浅くなりがちで、外れやすくなります。

高さが低いというのは、嚙み合わせが低いのではなく、歯が歯ぐきが見えている量が少ないということです。

この場合は、元々高さが低い歯のではなく、本来は歯ぐきから出ている歯の部分が、歯ぐきに覆われている状態です。

また、元々はそこそこの高さがあったけれど、歯ぎしりで擦り減って、歯の高さが昔より低くなってしまうこともあります。

詰めたり、被せたりする場合は、歯ぐきから出ている歯の高さが高い方が、しっかり詰め込んだり、被せられるので取れにくくなります。

たとえば、下の図では、④の方が⑦より高さがあるので、銀歯は取れにくいです。

②歯ぎしりをしている。

歯ぎしりをしていると、銀歯をつけているセメントが壊れて、銀歯が取れやすくなります。

③銀歯の大きさが合っていない。

①や②のように銀歯が取れやすいと思われる場合は、普通なら詰め物で済む場合でも、被せ物にした方が取れにくくなる場合があります。

また、良くないことなのですが、そもそも削った歯に対して、隙間がある状態で銀歯を入れてしまっているケースも稀にあります。

患者さんが目で確認することは難しいのですが、0.5mmでも銀歯と歯に隙間がれば、その隙間から接着剤が溶けだして、銀歯が外れてしまうことはあります。

④歯の削り方や装着方法が良くない。

歯の削り方や、歯の装着の仕方が良くない場合でも、外れやすくなってしまうことがあります。

銀歯を入れる場合は、最低でも1~1.5mmの深さ(赤矢印部分)を削る必要があります。

しかし、取れやすい銀歯が入っていた歯を見ると、最低限必要な深さまで歯が削られていないことがあります。

 

⑤銀歯をくっ付けるセメント(接着剤)が合っていない。

歯の形やかみ合わせに合わせて、セメントを変えることで、取れにくくなります。

当院では銀歯は3種類のセメントから歯に適したものを使うようにしています。そして、銀歯では取れやすいと思われる場合は、事前にその可能性を説明して、患者さんに理解いただいてから、治療を始めるようにしています。

また、接着剤はいつか緩むものですので、何年も経ってから、銀歯が外れてしまうのは、ごく普通のことです。

すぐ取れるというのは、私の感覚では半年以内です。

装着して、半年以内に銀歯が取れるのは、何かしら改善が必要と思われます。

単につけ直しをしただけでは、また外れてしまう可能性があります。

こちらも参考にどうぞ↓

銀歯が虫歯になる理由 

以上「銀歯が取れやすい5つの原因」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

長く通っているのに歯が悪くなってしまう時

歯医者さんで損をしている人がいます。

中でも一番損をしている人は、真面目にずっと定期検診に通っているのに段々歯が悪くなる人です。

歯もきちんと磨けていて、定期的にクリーニングを受けているのに、歯が段々悪くなることはあります。

1番多い理由は、元々治療済みの歯が多かったり、重い歯周病があったり、既に抜けた歯があり、入れ歯やブリッジを入れている場合です。

既に歯や歯ぐきが弱っている場合、特に神経を抜いた歯が多かったり、歯周病で骨が痩せてしまっている場合は、頑張って磨いたり、定期的にクリーニングを受けるだけでは、歯は段々と悪くなってしまうことがあります。

なぜそうなるかというと

「既に弱くなっている歯や歯ぐきに対して、適切な治療がなされていないから。」

という理由が考えられます。

歯の治療の良し悪しを患者さんが判断するのは、とても難しいです。

「痛くなかった。」

「すぐに治った。」

「よく噛める。」

といった判断基準が多いのではないでしょうか?

しかし、歯の治療の本当の結果が分かるには、実は結構時間がかかります。

たとえば、歯と同じ色の樹脂、コンポジットレジンで白く歯を治したとします。

前のブログでも書きましたが、コンポジットレジンは詰めた時が一番きれいで、少々ラフに詰めてあっても、違和感を感じることはありません。

1回で治せる白い詰め物 *治療画像あり

 

また、歯が痛くて、歯の神経を抜いた場合でも、神経を抜いて、痛みが治まった後に、神経を抜いた歯の根の治療をきちんとやっておかないと、数年後に歯の根の病気になる可能性があります。

しかし、神経を抜く治療が少々ラフでも患者さんは治療後の数年間は、無症状で過ごすことが多いです。

いつまでも治らない歯の根(神経)の治療

他には、被せ物に小さな隙間があると、その隙間からセメントが漏れ出して、隙間から虫歯になる可能性がありますが、これも患者さんは余程の隙間でなければ、自覚することは難しく、数年後に隙間から虫歯になったとしても、それくらい年月が過ぎていると、過去の治療の善し悪しだとは思わないでしょう。

不適合な銀歯の中身はどうなっていたか?

このような治療を受け続けると、歯磨きをきちんとやっても、定期的にクリーニングを受けても、歯は悪くなる一方です。

最後に、これはとても大事な理由なのですが、

「お口全体を考えた治療を受けていない。」

ことが考えられます。

悪くなった時に、悪くなった歯だけを治す治療を受けていると、お口全体の嚙み合わせのバランスが崩れる可能性があります。

今痛いとか、歯が外れたとか、困っていない歯でも、状態によっては、歯科医側は「治療が必要な歯」と診断することがあります。

もちろん、小さな虫歯を治すのに、お口全体のバランスを考えることはありませんが、治療の個所が多い場合や、入れ歯やブリッジを入れる場合は、お口全体の嚙み合わせのバランスを考えて治療する必要があります。

嚙み合わせのバランスが崩れると、無意識に噛みやすい歯ばかり使うようになり、その歯が過重負担で欠けたり、割れたり、グラグラになってしまうことがあります。

また、顎関節症や肩こりや頭痛の原因になることもあります。

残念なことに、この嚙み合わせのバランスの崩れも、余程でなければ、すぐに患者さんが自覚することは難しいです。

 

当院には、今までの治療に疑問や不安を感じて、お口全体の治療を希望され、来院される方が多いです。

まずは、今までの経緯をじっくりお聞きし、必要な検査をおこなってから、

①現在のお口の状態の説明。

②歯が悪くなってしまった原因の説明。

③数種類の治療方法の説明。

④治療期間の説明。

⑤治療費の説明。

*自費診療が含まれる場合は、治療内容と治療費を明記した文書を必ずお渡ししています。

⑥患者さんの1人1人の虫歯や歯周病のリスクにあった予防方法の説明。

以上について、丁寧に説明すること心がけています。

そうすると、

「こんな話は聞いたことがなかった。」

「そういう治療があるとは、知らなかった。」

「自分の歯の状態が良く分かった。」

とおっしゃる方が多いです。

ちゃんと通っているのに段々と悪くなってしまう方は、担当の先生に、

ご自身のお口の将来の見通し

についてお聞きしたほうがいいかもしれません。

日々診療しながら、来院される患者さん1人1人が何を望まれているかを把握するのは、なかなか難しいです。

私の医院でも、すべての患者さんに将来の見通しについて、説明しているわけではありません。

ですので、時には患者さん側からアクションを起こして頂くことも必要かと思います。

以上「長く通っているのに歯が悪くなってしまう時」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院