ジルコニア」カテゴリーアーカイブ

歯を抜かずに残す×ジルコニアオールセラミック

硬いパンを食べたら歯が折れてしまった患者さん。

DSC_3410

グラグラの折れた歯の部分を麻酔して取り除きました。

歯の根まで折れてしまっています・・・。

DSC_3448通常歯の根が深くまで折れてしまった歯は抜歯適応となります。

このケースでは根の一部が歯茎より5ミリ近く深い位置まで折れてしまっていました。

最近の歯科業界の傾向ですと考えられる治療は抜歯して「即時インプラント」

「即時インプラント」とは歯を抜くのと同時にインプラントを埋め込む治療のことをいいます。

確かに抜いた周りの骨が痩せる前にインプラントを埋めれば長期的な予後は良いといえます。

当院でもインプラント治療をおこなっていますが、あらゆる治療の選択肢の中でインプラントが一番有効である場合におこなうと決めています。

もしくはこの歯を抜いて両隣の歯を削ってブリッジ。

でも両隣の歯は健康なキレイな歯なので、患者さんも私も削りたくありません。

今回は歯を抜かずに残して治療することにしました。

抜かないで、インプラントにもしないで、どうやって?

「エクストルージョン」という治療方法です。

折れた根のまま歯をかぶせても長持ちはしませんので、歯の寿命を延ばすために矯正治療を行い、歯の根っこの位置を変えます。

DSC_3446

根の折れた面を歯ぐきの高さまでゆっくり引っ張り上げる治療です。

根にフックをつけ、両隣の歯にバーを渡して矯正用のゴムで牽引します。およそ1~2か月かかります。

DSC_3466

前歯は見た目の問題もあるので、装置の上から薄い仮歯を装着して目立たないようにします。

DSC_3468

上から見るとこんな感じ。複雑な装置です。

DSC_3469

レントゲンではこう見えます。左側がスタート。右側が終了間際。

DSC_3517バーフックの距離が縮まっているのが分かりますか?この縮まった距離分、歯の根が移動したということです。*生物学的幅径biologic widthが確保された状態です。

ひと手間かけて、このように歯の根を位置を変えるだけで歯の寿命は確実に長くなります。

治療後:最終的にジルコニアオールセラミッククラウンの歯が入った状態です。

DSC_3672

10年前から仕事をお願いしている、いつもの歯科技工士さんに作って頂きました。自然な見た目ですね^^

*患歯の歯頸線の位置も術前と比較して反対側の側切歯と対称性が改善されています。クリーピングできるような歯根形態を付与していますので、これから歯肉レベルがもう少し揃ってくると思われます。

この治療は健康保険は適応しませんが、インプラントと比べると治療費もかなり抑えることもできます。

何より人工歯根であるインプラントではなく、ご自身の歯の根を生かす治療ですから体に優しい治療です^^

フルジルコニアクラウンのデメリット

このブログで何度かフルジルコニアクラウンについて書いてきました。

フルジルコニアクラウンについての過去のブログは↓

フルジルコニアの進化 https://www.sasayama-dc.com/blog/2404/

前歯のフルジルコニア審美治療 https://www.sasayama-dc.com/blog/2478/


今回はフルジルコニアクラウンのデメリットについてです。

まずは、一般的にいわれているフルジルコニアクラウンのメリットとデメリットを挙げてみます。

メリット

①セラミックよりも硬いので、欠けたり割れたりしにくい

②歯垢がつきにくく、虫歯や歯周病に強い

③金属アレルギーにならない

④見た目が歯の色に近い

デメリット

①硬すぎて咬みあわせる相手側の歯を傷める可能性がある

②セラミックと比べて白さが不自然

メリットについては上記の通りだと考えます。


それではデメリットについて解説しますね。

まず①の「硬すぎて咬みあわせる相手側の歯を傷める可能性がある」ですが

これは咬みあわせの調整方法や、ジルコニアの表面を滑沢に研磨することで防げることが研究により分かっています。

次に②の「セラミックと比べて白さが不自然」

フルジルコニアの材質は1種類ではありません。比較的硬い物から、相当硬い物まで何種類かあります。

当院ではケースによって、3種類の硬さのフルジルコニアを使い分けています。

硬さが少なめのフルジルコニアを選ぶと、歯の色を自然に近くできます。

熟練した歯科技工士が作ったセラミックには及びませんが、一般的なセラミックに色調に近いレベルまで再現できますので、自然な色調再現を求められる前歯にも適応します。

前歯のフルジルコニア審美治療の記事↓

https://www.sasayama-dc.com/blog/2478/

ちなみに硬さが少なめといっても、通常のセラミックの約8倍の硬さがあります。

逆に、硬いフルジルコニアの色調はやや不自然となります。

この硬いフルジルコニアは、見た目をそこまで追求しないけれど、金属の歯を入れたくない奥歯に用います。特に歯ぎしりや咬みあわせが強くて、従来のセラミックでは割れたり、欠けてしまう方に適応することが多いです。硬さは通常のセラミックの約15倍あります。

初期の頃は良く使っていましたが、最近はここまで硬くなくても良いのではないかということで、もう少し色調再現性が高く、硬さも約9倍のフルジルコニアを用いることが多くなっています。

当院ではセラミックやフルジルコニアについては、歯の状態に合わせて硬さと色調再現性のバランスを考慮して選択しご提案しています。


*2018年12月追記

この記事はアクセス数が多く、関心をもたれている方が多いようですので、その後のことを追記します。

その後、多くのフルジルコニアクラウンをセットしましたが、1例も割れていません。

ただ、ダツリ(外れてしまうこと)は数ケースありました。

そもそもフルジルコニアは、歯ぎしりなどの習癖がある方に適応させるので、歯ぎしりによってジルコニアを接着しているセメント層が破壊される場合があるのです。

対策として改めて接着の方法をアップデートし、チェアサイドにサンドブラスターを導入し更なる接着力の向上を計る事で対応しています。

 

 

 

デメリット

歯の色合わせ セラミック編

歯の色って結構複雑です。

歯の先は半透明、根元の方は若干オレンジがかった不透明。

エナメル質と象牙質が織りなすグラデーション。

拡大鏡(治療用のルーペ)を使って歯を見ると実に複雑な色合いをしていることに気づきます。そして天然の歯の美しさを再発見します。

歯の色はよく見ると人それぞれ結構異なります。

歯を作ってもらう歯科技工士さんには歯の色を指示しなければなりません。

「白い歯で」「ちょっと黄色い歯で」ではダメなんです。

被せ物の歯の色を合わせるにはシェードガイドというものを使います。↓

%ef%bd%96%ef%bd%89%ef%bd%94%ef%bd%81

美容室でいうカラーの色見本のようなものですね。

シェードガイドにピッタリあえば、その色のコードを歯を作る歯科技工士さんに伝えるだけ。

歯に合う色がない場合は・・

近い色のシェードガイドを入れて一緒に歯の写真を撮ります。(歯科仕様の一眼レフで)

20151027-2x1a8030

 

この画像データをメールまたはメディアに入れて技工所に預けます。(個人情報の管理は徹底しています。)

歯科技工士さんが仕事場のPCで画像を見ながら色を合わせます。

ところがPCのモニターは画質や解析度はそれぞれ違います。

同じ画像なのにこっちのモニターでは黄色に見えて、あっちのモニターはやオレンジに見えてしまうとか。

そんなことのないように、撮影時にシェードガイドにキャスマッチというものを加えて撮影します。

%e7%84%a1%e9%a1%8c

このテレビのカラーバーのようなものを入れることで、違うモニター間でも同じ色味を再現できます。

そこまですれば、シェードガイドに合わない特殊な色の歯でも大抵再現可能です。

審美歯科において、歯の色を周りの天然歯に合わせる場合は必須の治療工程です。

たとえば・・・

向かって左上の差し歯。一度完成しましたが、色が合わなかったので修正することに。天然歯がエイジングしており、色合わせの難しいケースです。キャスマッチとシェードガイドを入れて撮影(比色のため2つのシェードガイドを入れます) ↓

dsc_3099

 

修正後。シェードが合いました。装着したばかりなので差し歯の淵の歯肉が若干赤いですが、すぐに馴染みます。↓

dsc_3119

 

できるだけ多くの色見本から選べるようにシェードガイド(色見本)は十分に揃えています。(一般的な歯科医院では1種類もしくは2種類なので、ちょっと多すぎですが・・・(^_^;))↓↓

dsc_0394

以上「色合わせ」でした。

 

フルジルコニア審美治療

毎日暑いですね。

暑い中お越しいただいた患者さんに快適に診療を受けて頂けるようにタワー型の扇風機を1台追加しました。

小さな診療室にエアコン4台 扇風機4台 サーキュレーター1台となりました(^_^;)

 

さて、最新の被せ物材料についてです。

6月23日に「ジルコニアの進化」について書きました。

https://www.sasayama-dc.com/blog/2404/

今回は前歯のフルジルコニアケースを紹介します。

上の前歯6本をかぶせ直した治療です。治療前後を見て頂きます。

治療前 ↓  *左側上の前歯は仮歯を外している状態です DSC_0538

 

治療後↓  6本のうち4本はジルコニアオールセラミッククラウン、2本はフルジルコニアクラウンです。

DSC_2982

上の前歯6本を被せたうち、どれがフルジルコニアクラウンで、どれがジルコニアオールセラミッククラウンかお分かりでしょうか?

その前に、そもそもフルジルコニアクラウンとジルコニアオールセラミッククラウンとは何なのか・・説明しますね。

ジルコニアオールセラミッククラウンとはジルコニア(人工ダイヤモンド)の上にセラミックを焼き付けた被せ物です。つまり中はジルコニア、表層はセラミックという2重構造になっています。

下の画像はジルコニアオールセラミッククラウンです。被せ物を内側からみています。被せ物の内側が白くて、外側がやや黄色いのがお分かりでしょうか?白い部分がジルコニア、やや黄色い部分がセラミックです。

 

DSC_1602

 

審美的にかなり美しく仕上がりますが、ジルコニアの上に焼き付けたセラミックの強度にやや問題があり、歯ぎしりや噛み締めなどの習癖、または咬み合わせによってはセラミック部分が欠けてしまうことがあります。

一方、フルジルコニアクラウンとは読んで字のごとく、100%ジルコニアのみで出来た被せ物です。

焼き付けるセラミックに比べて10倍近く硬さがあるので、欠けたり割れる心配がほぼありません。

反面、セラミックのように自然な美しさを再現するのが難しく、これまで前歯など人目に触れる部位には使用されてきませんでした。

去年から今年にかけて、前歯に適応しても審美的に問題ないレベルのフルジルコニアクラウンが開発されましたので、治療に使用しました。(当院では新しい歯科材料や治療方法を導入する際、すぐに取り入れず一定の評価が定まってから慎重に導入しています。)

最初の話に戻ります。どれがフルジルコニアクラウンかという問題ですが、答えは上の前歯の真ん中の大きな歯2本です。左右となりの2本ずつはジルコニアオールセラミッククラウンです。

DSC_2982見た目ではほとんど区別できないと思います。それくらいフルジルコニアクラウンで自然観のある歯を作れるようになりました。

今回、前歯2本のみにフルジルコニアを適応させたのは理由があります。

フルジルコニアにした前歯は、噛み合わせが一部切端咬合というかみ合わせで、上下の前歯同士が強く噛み合わせる咬みあわせなのです。

そのため、術前の前歯の画像では歯の先端の一部がほんの少し欠けているのが分かると思います。

このような咬みあわせの患者さんに従来のジルコニアオールセラミックで被せると表層の焼き付けたセラミック部分が欠けてしまう可能性がありました。

被せるに当たって、前歯の先端同士が強く当たらないように咬みあわせも若干変えつつ被せ直しています。

前歯なのでジルコニアオールセラミックのような審美性も求めたいけれど、硬さもないと困るケース。

そんな時にフルジルコニアクラウンが適応されるんです。

今回、前歯にフルジルコニアクラウンを適応して、審美性もジルコニアオールセラミックに劣らず、強度を確保出来ましたので、今後も似たような咬みあわせケースがあれば適応していきたいと思います。

フルジルコニアの進化

ジルコニアってご存知ですか?

ジルコニア(二酸化ジルコニウム、化学式:ZrO2)は 、ジルコニウム酸化物である。常態では白色固体融点が2700℃と高いため、耐熱性セラミックス材料として利用されている。また、透明ダイヤモンドに近い高い屈折率を有することから模造ダイヤとも呼ばれ、宝飾品としても用いられている。限りなく本物に近い偽物とも呼ばれている。ウィキペディアより。

 

歯科でもここ数年でジルコニアを使った被せ物が増えてきています。↓

DSC_2442

 

ジルコニアのメリットは、とにかく硬い(セラミックのおよそ10倍)のでセラミックの歯のように欠けたり、割れたりすることがほぼありません。

一部で硬すぎてかみ合わせる相手側の歯を傷めるという説もありましたが、現在では否定されつつあります。

当院では去年から診療で実際に装着し始めました。

数年前までのジルコニアは色調再現性がセラミックに比べて著しく悪く、いかにも差し歯という色で周りの天然の歯の色との調和が図れないものでしたので奥歯の目立たない所にしか使用できないものでした。

何度かサンプルのジルコニアクラウンを見ましたが、自分の観点では奥歯に使用するのも躊躇するような色調でしたので、材料自体に魅力は感じていましたが、今まで使用していませんでした。

当院で去年から導入したジルコニアクラウンは 色調再現性が著しく改善された物です。奥歯に使用しても、通常のセラミックの被せ物に見た目は劣りません。歯ぎしりや噛みしめなどが理由で、奥歯のセラミックをあきらめた方にも十分に適用可能です。

今年になって更にセラミックに近い色調を再現できるジルコニアが出て来ました。歯の色の良し悪しが見た目に直接影響する前歯にも使えそうです。

前歯にジルコニアを応用したケースを近々アップできればと思います。