長持ちするジルコニアクラウン

10年以上前に歯科界にジルコニアという新たな材料が加わりました。

それまで被せ物で白い歯といえば、プラスティックかセラミックが主流でした。

ジルコニアの最大のメリットは、割れにくいということです。

従来のセラミックは、白く美しいのですが、欠けたり、割れたりするリスクがありました。

ジルコニアが導入された当初は、ジルコニアは硬すぎて、噛みあう相手側の歯を傷めるとか、擦り減らせてしまうという懸念がいわれていました。

6年前に書いた過去記事はこちら↓

フルジルコニアクラウンのデメリット

 

そして出始め当初のジルコニアは、ただ白いだけで、色調は天然の歯と程遠く、白が悪目立ちするので、目立たない奥歯にしか適応できませんでした。

あれから10年。

500ケース以上のジルコニアクラウンを入れてきました。

その経験から言えることは、

現代の歯科材料で一番良い被せ物はジルコニアということです。

一番良いというのは、材質、持ち、見た目などのトータルバランスで良いということです。

本当に天然の歯と全く見分けがつかない程の被せ物に関しては、今でもセラミックの方が勝ります。

私の治療でも、究極の審美性を求める場合は、セラミックを用いますが、

ほとんどがジルコニアで十分なケースが多いです。

現代のジルコニアは、最初に述べたような、硬すぎて歯を傷めることもなく、色調もかなり良くなり、普通に見れば天然の歯と見分けがつかないほどです。

近年の進化したジルコニアでおこなった治療例↓

フルジルコニアで審美歯科治療をおこないました。

 

ジルコニアは抗菌性が高いので、プラークが付きにくいため、隙間から虫歯になったり、周りの歯ぐきが歯周病になるリスクも低いです。

500ケース以上のジルコニア治療をおこなってきましたが、割れてしまったのは2例だけで、そのケースに関しては、割れるリスクを最初から把握していたケースでしたので、割れたのは想定範囲内であり、驚きはありませんでした。

また、ジルコニアが硬いせいで、噛みあう相手側の歯が極端に擦り減ったなどの経験もありません。

ジルコニアは保険外治療となり、決して安くはありませんが、適切におこなえば、金額に見合った価値を得られる治療と考えます。

適切におこなえばというのは、誰が治療しても同じ結果が出せるわけではないということです。

ジルコニアを被せるという行為は、歯の治療の最終的な段階であって、

➀術前の診断

➁歯の削り方

➂歯型の採り方

➃歯を作る歯科技工士さんの熟練度

➄歯の装着の仕方

⑥嚙み合わせの調整の仕方

など、すべてが揃って、ジルコニアのメリットを最大限発揮されます。

自費診療は歯医者さんによって、価格設定が異なりますが、相場より安いところは、何かしら省略されている可能性があります。

「それでも安い方がいい」と選択して、結局長持ちしないとなると、本末転倒です。

ジルコニアに限らず、自費診療で長持ちを期待されるのであれば、歯科医院選びが重要な要素になるといえるでしょう。

以上「長持ちするジルコニアクラウン」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

*当院への受診を検討されている方のメール相談はこちらから↓

https://www.sasayama-dc.com/information/index.html

フルジルコニアで審美歯科治療をおこないました。

院長の笹山です。

時々、患者さんから「先生のところは審美歯科をやってますか?」と聞かれることがあります。

答えは「やっています。」なんですが、なぜそのような質問を受けるのか考えてみました。

「単に聞いてみただけ。」というのもあると思うのですが、もう一つの理由として、どうも審美歯科というとハイセンスな外装・内装の歯科医院でおこなっているというイメージがあるようです。

当院は、赤ちゃんからご年配の方まで、あらゆる世代の人に対応する歯科医院ですので、医院の内外装はカジュアルにしています。

こんな外観の医院ですが、審美歯科もインプラントも普通におこなっています。

実際に患者さんに「普通にやっていますよ。」とお答えすると、患者さんから「あ~そうなんですか。」や「神戸とか大阪の歯医者さんに行かないと出来ない治療かと思ってました。」というお答えが返ってくることがあります。

 

私がおこなった実際の審美歯科治療です。

前歯3本の見た目を綺麗にしたい患者さんです。

before

問題点

①過去に神経抜いた歯が内部から変色している。

クリーニングでは綺麗にならない変色です。

②3本のうち1本は歯並び不正もある。

嚙み合わせが逆になっています。

③歯と歯の間の歯茎が痩せて、歯茎の隙間が黒く見える。

このケースは軽度ですが、もっと隙間が大きくなると不健康なイメージを与えてしまいます。

 

after

おこなった治療。

①治療する歯以外の歯のホワイトニング。

②上の前歯3本のフルジルコニアクラウン。

このケースの場合、更に美しさを追及されるのであれば、歯ぐきの高さのラインを揃える(クラウンレングスニング)、歯茎の黒ずみを取る(ガムピーリング)などオプション治療はありますが、どこまで受けられるかは患者さんと相談して決めています。

ホワイトニングをおこなったことで、お口全体が明るく白くなり、前歯のフルジルコニアも自然の形と色合いで仕上がりました。

また歯と歯の間の歯茎に見られた隙間も無くなりました。

 

審美歯科治療は保険適応外治療です。

治療のアポイントは毎回1時間取り、丁寧な説明と治療をおこなうことを心がけています。

 

単に白い歯を入れる美容歯科ではなく「お口全体に調和し、天然の歯のような自然観があり、長持ちする」審美歯科治療をおこないます。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

マスクを外す前にホワイトニング。

院長の笹山です。

段階的にマスク装着が緩和され始めました。

マスク無しになるにあたって、歯医者目線で気になる点を書きます。

コロナ過でマスク生活が数年も続いていることから

「マスクを外した相手の顔をちゃんと見たことがない。」

という人がいると思います。

または、

「見たことがあるけど、もうはっきりとは覚えていない。」

というのもあるでしょう。

マスクを外す生活が始まると、視線は自然と鼻や口元にいきます。

人は顔全体をみて、顔のイメージを固定するそうで、マスクをして目元しか見えていない状態では、その人の顔のイメージが不完全な状態になります。

すると本能的に相手の顔全体のイメージを完成させたいという気持ちになるそうです。

ですので、マスクが無くなった人に会うと、マスクの内側にある鼻や口元に自然と視線がいってしまうのは可能性は大いにあります。

「あ~。この人こんな顔だったな。」とか

「え~。こんな歯並びだったんだ。」とか

見ないようにしても、結構見てしまうかもしれません。

普段より口元に視線が集中してしまうので、

「歯が茶色い。」

「銀歯が多い。」

「歯並びが悪い。」

など目につく可能性が高いです。

”歯並び”は数年かかる矯正治療が必要ですので、すぐには治せませんが、

”銀歯”や”歯が茶色い”は、そこまで期間はかかりません。

先日も当院の患者さんで

「マスクを外すことになるって聞いたので、外す前に目立つ銀歯を白くして欲しい。」

という方がいらっしゃいました。

実際、この数年のコロナ過で「マスクをしている間に歯を治しておきたい。」という方が結構いらして、銀歯から白いセラミックやジルコニアに変える審美歯科治療を数多くおこないました。

完全マスク無しの生活にすぐになるとは思えませんが、今年から来年にかけて緩やかに移行するのかなというイメージです。

その間に気になる歯の治療を済ませておくのも、一つの考え方と思います。

銀歯のやり替えだけでなく、歯石や茶渋で歯が茶色くなっている場合は、歯のクリーニングを受けるだけでも歯が白くなり、相手に与える印象が違います。更にホワイトニングでより一層白くすることも可能です。

当院でおこなっているホームホワイトニングはおよそ2~4週間程度で歯が白くなります。

当院のホワイトニングについての過去の記事はこちら↓

ホワイトニングいいね

以上「マスクを外す前にホワイトニング」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

審美歯科…普通の歯医者と美容クリニックのどっちがいい?

院長の笹山です。

今回は審美歯科についてです。

今までに何度か患者さんから

「先生の医院は審美歯科をしていますか?」と聞かれたことがあります。

なぜ聞かれるかと自分なり解釈しますと、

多分、審美歯科=美容というイメージをお持ちになっていて、審美歯科治療は美容歯科クリニックで受ける治療を思われているのだと思います。

当院は審美歯科専門医院ではありませんが、日常的に審美歯科治療をおこなっています。

入れ歯もインプラントも子供の矯正も口腔外科も、普通の虫歯治療もおこなっています。

審美歯科治療を受ける場合、一般的な歯科医院と美容整形などをおこなう美容クリニックの歯科部門の2択になります。

美容クリニックの歯科部門といえば「YES!●●クリニック!」や「湘●美容外科~♪」

がそれに相当します。

一般的な歯科医院と美容クリニックでは治療方法に違いがあるのでしょうか?

美容クリニックの審美歯科治療の目的は、見た目を早く綺麗に整えることです。

歯並びを治したいけど、矯正治療をする時間がない場合や、矯正治療をしたくない場合は、差し歯で歯並びを綺麗にします。歯並びの凸凹が酷い場合は、歯を抜いてブリッジにして歯並びを整えます。

また、虫歯で前歯ボロボロになってしまった場合や、歯の大きさや形が気になる場合などで、早く治したい場合も差し歯をかぶせて綺麗にします。

歯並びや歯の形を変えるために、歯の向きや方向を変える場合、歯を削る量がかなり多くなりますので、後で痛みが出にくいようにあらかじめ歯の神経を抜きます。

美容歯科のゴールは見た目や歯並びを綺麗にすることですから、そのために歯を抜くことや、歯の神経を抜くことに躊躇はありません。

最短期間で歯並びや見た目を綺麗にすることを最優先にします。

また、差し歯の色も一般の歯科医院で被せる歯の色よりも、かなり白く明るい色で作る場合が多いです。

一般の人にとっては、やや不自然かなと思われる白さですが、美容を求める人は普通じゃない白さが喜ばれます。

一方で一般的な歯科医院で受ける審美歯科の場合、美しさと機能性の両方を追求しますので、見た目を最優先にしつつ、安易に歯や歯の神経を抜くことはありません。

神経を抜いたり、歯を抜かないと歯並びが綺麗に出来ないケースでは、まずは矯正治療をお勧めします。矯正治療で歯並びを治せれば、時間はかかりますが、歯を抜くことも歯の神経を抜くことも基本的にありません。

矯正治療をおこなわず、差し歯で見た目を治す場合でも極力歯の神経を抜かずに処置します。そのため、美容歯科よりも手順が増えますので、治療期間は長くかかりますが、結果的に歯を長持ちさせることにつながります。

また芸能人の歯の色を見て気づくかたもいらっしゃると思いますが、かなり白いです。あのような白さは芸能人の方には映えるのですが、一般の方があの白さの差し歯をすると結構目立ちます。

一般歯科でおこなう審美歯科治療では、患者さんの好みもありますが、基本的に極端に白くするようなことはせず、天然の歯と見分けがつかないような自然な差し歯をいれることを目的としています。

以上をまとめますと、

美容クリニックの歯科では、

歯並びや歯の色を綺麗にすることを最優先し、最短期間で治療をおこなう。そのために歯を抜いたり、歯の神経を抜くこと可能性がある。

早く綺麗にしたい人には向いているが、歯を抜いたり、神経を抜くと歯の寿命は短くなるので、長持ちという点では少し不安が残る。

差し歯の色はかなり白く明るめの歯が多い。

一般歯科の審美歯科では、

周りに調和した自然な歯の色の差し歯を、なるべく歯や神経を抜かずに入れる。治療の手順が多くなるので、症例によっては治療期間が長くなりますが、その分神経や歯を抜かないので、差し歯は長持ちします。

という感じになります。

*すべての美容歯科クリニックや一般歯科の審美歯科が、そうであるわけではありません。

どちらで治療を受けるにしても、歯は削ってしまうと元通りにはなりませんので、歯を何本も同時に綺麗にしたい場合は、慎重に病院選びをすることをお勧めします。

お勧めの医院選びの方法ですが、

審美歯科治療目的で歯科医院を受診する際には、医院の雰囲気などに惑わされないように、先生が手掛けた実際の症例を見せていただきましょう。

審美歯科に長けている先生は、自分で治療した類似ケースのびbefore&after写真を見せてくれるはずです。

当院は都心でもありませんし、審美歯科にだけ力を入れているわけではありませんが、審美歯科治療をおこなう際は、必ず私自身が治療した類似ケースの症例写真を見ていただきます。

その類似ケースの審美性(自然な美しさ)が、ご自身の望むレベルでは無ければ、別の医院でカウンセリングを受けられるのがいいと思います。

当院の審美歯科ケースの1例

向かって右側の大きな前歯の先が欠けています。

歯が一部欠けただけでしたので、欠けた部分だけ詰めて済ませる予定でしたが、術前の検査で歯の神経が既に壊死していることが判明しました。神経のない歯は噛み方により、詰めるだけでは歯が折れる可能性があります。そのため歯の根の治療をおこなってから、セラミック歯で被せることになりました。

歯の根の治療前にレントゲン写真。電気歯髄診断で神経が壊死していることが分かりましたので歯の神経の治療をしてから始めます。

 

歯の根の治療後

 

歯型取りの前のシェードテイキング。

シェードテイキングでは、セラミック歯の色調を周りの歯に自然に調和させるため、色見本を入れた状態で写真を撮影します。歯科技工士さんがPCでこの画像を見ながら、セラミック歯を周りの歯と調和させるために完全ハンドメイドで作ります。

 

セラミッククラウンの装着後。差し歯っぽく見えないように自然に調和した色調に被せ物を装着しました。↓

元々、歯ぎしりや噛みしめが強い患者さんでしたので、セラミックに強い負荷がかからないような、咬み合わせを付与しました。

当院では、このように周りの歯に自然に調和した歯を作ること審美歯科治療の目的としています。

以上「審美歯科…普通の歯医者と美容クリニックのどっちで受ける?」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

セラミックの5年後

院長の笹山です。

先日メンテナンスにお越しになった患者さんです。

5年前に装着したジルコニアセラミッククラウンの経過観察もおこないました。

5年前の装着時↓ 上の歯の真ん中の前歯2本です。

5年後↓

経過良好です。

詰め物や被せ物に関してセラミックやジルコニアは、保険診療のレジン前装冠やCADCAM冠に比べて長持ちという点で優位性があります。

レジンといわれるプラスチックは、材質の特性による変色や劣化、プラークの堆積による歯肉の炎症など避けられません。

「古くなったら何年かおきにやり替えて新しくすればいいのでは?」

たしかにそういう考え方もあります。

しかし被せ物を外す時には、削って壊して外すために、被せ物の中にあるご自身の歯も一定量削る必要がありますので、段々とご自身の歯が小さく弱くなっていきます。

そして保険診療というものは、病気に対して適応されるものですので、被せ物の隙間から虫歯なってしまった時の「虫歯」や、隙間が出来て合わなくなった時の「不適合」などの病名がついて治療が可能となりますので、厳密には「古くなった、変色した。」という理由ではやり直しできません。

お口の中は意外に過酷な環境です。

歯は唾液などの水分で常に濡れており、レジン前装冠やCADCAM冠に使用されるレジンといわれるプラスチックは吸水性があるので、経年的に表面の劣化が進みます。また、吸水して軟らかくなったプラスチックは、歯磨きなどでも細かい傷がついてしまいます。

プラスチック表面に傷や劣化が進むことで、微細な凸凹が出来、その段差にプラークが残りやすくなります。

そして被せ物や詰め物と、ご自身の歯の境目にプラークが残るようになると、歯肉が腫れて歯周病が進行したり、歯と被せ物の境目から虫歯になったりします。

レジンというプラスチックは、お台所でいうタッパーのような物性です。

タッパーは買った時は綺麗ですが年数が経つと、表面が劣化して、透明に近かった色が、曇ったように変色し、汚れもだんだん落ちにくくなり、ふやけて変形するので、蓋も閉まりにくくなります。

セラミックやジルコニアは吸水性もなく、表面も硬いので歯磨きで傷がつくこともほとんどありませんので、装着して年数が経っても劣化しません。

その結果、歯が長持ちします。

また材質的に変色もしませんので、装着当初のままの歯の色をキープすることが可能です。

費用はかかるけれど長持ちする歯、一方で費用は安く済むけれど長期的に不安定な歯。

出来るだけ長くご自身の歯を使うために一考する価値はあると思います。

こちらも参考にどうぞ↓

セラミックの10年後

以上「セラミックの5年後」でした。

皆様のお口の健康維持の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院