咬むことの重要性

先日、「専門的口腔ケア」というタイトルの歯科医師会主催のセミナーに参加してきました。

介護を受けられる方でご自身で歯を上手く磨けない人のお口をキレイにしたり、上手く食べられるようにサポートしたりすることを口腔ケアといいます。

講義内容で印象的だったのは咬めなくなると全身の機能が低下していく可能性が高いという事です。

たとえば

低栄養のなりやすさ(良く咬めなくて消化が悪くなり栄養が行き届かない状態)

自分の歯で咬める人を1とすると

入れ歯で咬む人は1.7倍

自分の歯も入れ歯も咬めない人は3.2倍

低栄養になりやすいとの事です。

また、自分の歯でも入れ歯でも咬めない人が認知症になる可能性はそうでない人の2倍以上高くなり、咬めない事で踏ん張りが効かず転倒しやすくなる可能性もあるそうです。開眼片足立ちの時間も半分以下になります。

咬むことで唾液の分泌が促進されますが、咬めないと唾液は出にくくなり、口の中は唾液による殺菌作用も減るので不潔になりやすくなります。細菌が増殖し、虫歯や歯周病になりやすくなります。

また咬めない事で食塊を上手くすりつぶせないので、丸のみになって内臓に負担がかかったり、のどに詰まりやすくなります。

以上は咬めない事で起こり得る問題の一部です。

咬むことの大切さを再認識するデータでした。

咬めないことで始まる「オーラルフレイル」そして「フレイル」。この2つの聞きなれない言葉は今、高齢者医療でさかんに言われ始めているキーワードです。これについては、またの機会で説明します。

最後に高齢者の方からよくお受けする質問を2つあげます。

Q1.「歯を丈夫にするためにカルシウムを多く取った方がいいですか?」

A1. 残念ながら歯はカルシウムをとっても強くなりません。

Q2.「歯を丈夫にするために硬い物を食べた方がいいですか?」

A2. 残念ながら硬い物を食べても、歯は丈夫になりません。むしろ高齢者の歯は摩耗して薄くなったり、歯の水分が少なくなっているので割れたり、欠けやすくなっています。硬いおせんべいなどは控えた方がよいでしょう。

 

 

歯ブラシの細菌の数は・・・

いい天気が続いてますね。花粉がなければ最高なんですが・・(T_T)

筋トレ続いています。アラフォーともなると、なかなかは筋肉はつきませんが、夏までにもうちょっとバルクアップ(増量)したいです。

 

さて、毎日の歯磨きに使っている歯ブラシ。歯ブラシの細菌数の多さを知っていますか?

一度使うだけで細菌の数は『便器と同じくらいの細菌の数』と言われています。

某大学の調べによると3週間ほど使用した歯ブラシは、細菌が100万以上生息していたというのです。

ちなみに100万以上というのは、便器の中にある水の約80倍ほどの数だそうです(@_@;)

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歯ブラシが細菌の温床になってしまわないように注意すべきことがあります。

 歯磨きが終わったら、歯ブラシを濡れたままにしておかない

口腔内にあった細菌がくっついてしまった歯ブラシを濡れたままにしておくと、細菌が繁殖しやくすなってしまいます。使い終わったら乾燥させておくと良いでしょう。

おすすめは歯ブラシを良く振って水を切った後に洗面所のドライヤーで乾燥させてしまうことです。

これなら簡単にできますね。

これらを守っても、完璧には防ぐ事は出来ません。最低でも3ヶ月に1回は歯ブラシを交換することをおすすめします。

*明日は歯科衛生士国家試験の日です。 Mさん、頑張れ~。

 

多め?少なめ?歯磨き粉の量

歯磨き粉の量ってどれくらいがいいのでしょう。

一昔前に言われていたのは、多く盛ってしまうと泡立ちが多くなり、磨けていないのに磨けたつもりになるので「少なめ」がいいといわれていました。

しかし今は違います。最近の歯磨き粉は低発砲の物が増え、フッ素も適正量入っている物が多いので

多少多めの方がフッ素がお口に残ってよいとされています。

下の図をご覧ください。

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これが適正量です。

しかし歯磨きすると唾液などでフッ素は薄まりますから、この倍くらいでもいいと考えています。

そして磨いた後にあまりゆすがないようにすることもフッ素をお口の中に多く残すコツです。

なるべくゆすがないようにするのに有効な歯磨き粉は

①泡立ちが少ない → 泡立ちが少ないとすすぎが少なくて済みます。

②味が薄め → 味が濃い(ミント成分などが強い)としっかりゆすがないとピリピリします。

③研磨剤が少ない → 研磨剤の粒子が多いと口の中に残るのでゆすぐ回数が多くなります。

以上①~③を兼ね備えた歯磨き粉は歯科医院で扱っていることが多いです。

当院でも目的に合わせた予防グッズが各種取り揃えています。お試しも可能ですよ。

未来予想図

患者さんに虫歯で夜も眠れないくらい痛い歯があるとします。

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患者さん「痛みを早く取ってほしい」

歯科医師「歯を治療して痛みを取る」

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こんな場合はお互いに「して欲しい事」と「する事」が一致しているのですぐに治療が開始されます。

しかしこんな場合はどうでしょう?

患者さんに軽い歯周病が進行している歯があるとします。

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患者さん「今痛くない、特に気になってはいない」

歯科医師「今後の問題が予想出来るので治療したほうがいい」

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患者さん「今困っていないし、痛くないし、治療しなくても・・」

そんな時に試しに歯をグラグラにして、ちゃんと咬めない不自由さを1週間ぐらい味わっていただければ、治療の必要性が分かるかもしれません・・(T_T)

でも現実に、そんなことは出来ませんよね(^_^;)

私は歯科医師になって20年近く経ち、多くの経過を診てきたので、患者さんの歯がこの先どうなっていくのか予想がつくことが多くなりました。

ですので、こういう場合は今後起こり得る事を十分に説明させていただき、治療をするかしないかは患者さんに決めていただいています。

また、今すぐ治療はしないけれど、少し期間を置いてから治療をする場合もあります。

少し期間を置くとその歯に問題の兆候が表れ始め、患者さんも治療の必要性を身を持って理解できる場合があるのです。

ただでさえ行きたくない歯医者です。今悪くない、今痛くない事を治療するのは気が引けますね。

いずれにしても、今悪い所だけではなく、ご自身の歯がこの先どうなるのかの説明を受けられて、お口の状態を良く知ることはとても大切です。

当院でおこなうすべての治療は患者さんへの説明と理解と同意のもとでおこなっていますのでご安心ください。

 

 

 

 

 

エピペン

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アポーペン♪

ではなくエピペンです。

エピペンはアナフィラキシーショック状態に陥った場合の緊急薬です。

http://www.epipen.jp/top.html エピペンの専門サイト

アナフィラキシーショックとは重度のアレルギー反応のことです。

アナフィラキシーは、アナフィラキシー・ショックに至り、生命を脅かす危険な状態になることがあります

アナフィラキシーにはさまざまな症状がみられます。 さらに、症状が急激に変化し、場合によっては、初めの症状があらわれてから数分後に、「アナフィラキシー・ショック」とよばれる、血圧が低下し意識障害などのショック症状を引き起こし、生命を脅かす危険な状態になってしまうこともあるため十分な注意が必要です。

アナフィラキシーの主な症状

自覚症状 他覚症状
全身症状 不安感、無力感 冷汗
循環器症状 動悸、胸が苦しくなる 血圧低下、脈拍が弱くなる、チアノーゼ
呼吸器症状 鼻がつまる、 喉や胸がしめつけられる くしゃみ、咳発作、呼吸困難、 呼吸音がゼーゼー、ヒューヒューとなる
消化器症状 吐き気、腹痛、口の中に異和感を感じる、 便意や尿意をもよおす、お腹がゴロゴロする 嘔吐、下痢、糞便・尿失禁
粘膜・皮ふ症状 皮ふのかゆみ 皮ふが白あるいは赤くなる、じん麻疹、 まぶたの腫れ、口の中の腫れ
神経症状 くちびるのしびれ感、手足のしびれ感、 耳鳴り、めまい、目の前が暗くなる

 

歯科でアナフィラキシーショックを起こすことはほぼありませんが、ほぼないだけで「ない」とは言い切れません。

米国心臓協会認定BLSヘルスケアプロバイダーの認定講習を受けた時の講師の先生に「歯科でもあったほうがいいと思います。」と言われたので今回導入しました。

取引のある歯科のディーラーでは扱っていなかったので、医科のディーラーさんで手続きをして購入しました。

エピペンなど緊急時に使用する物は、歯科医院においては滅多にもしくは一度も使う機会がないかも知れないものです。

それでも患者さんの安全のために出来ることは備えるという考えの元、AEDや自動酸素吸入器等も常備しています。

そして何よりも大切なことは緊急事態を可能な限り未然に防ぐよう、普段から患者さんの体調に配慮した安全な治療を行うことですね。