精密な型採り

先日の治療の一コマです。

セラミックブリッジを作るための歯型採りをおこないました。

まず被せ物と被せる歯の境目をピッタリ合わせるために歯肉圧排という作業をおこないます。

この境目(繋ぎ目ともいえます)を限りになくゼロにすることで、より歯にフィットし、外れにくくなり、隙間から内部の歯に菌が侵入することを防げますので大変重要です。

次に歯型をお口から外す時になるべく変形しないようにする処置を行います。

ブロックアウトといって全ての歯と歯の間とアンダーカットを一時期的に埋めます。

型採り材料が歯の間に入り込むと、型を外すときに余分な力を加えないと外れにくくなり、型が変形する可能性があります。

型が変形するということは、その型から出来た模型も変形してしまい、結果ミクロンの単位で作った歯が合わなくなるということです。

次に型を採る材料です。

セラミックなど自費診療の型採りに使う材料はシリコーン印象剤といって変形が少なく誤差が生じにくい材料を用います。

ここまで準備が出来たら、温度管理をおこなっていおいたシリコーン材料を用意します。

シリコーン材料は温度管理も大事です。室温で適当に管理してはいけません。

お口に入った型採り材料が固まるまで5分かかります。これは患者さんにとっては苦痛な時間です。

なるべく1回で型採り成功させることが大事です。

そこでまず診療補助についてくれるスタッフと型採りのシミュレーションを行います。

予行演習ですね。

どなたもお口の開き具合や状態は異なりますので、このシミュレーションをおこなうことで無駄な採り直しを防ぎます。

スタッフと声を掛け合いながら呼吸を合わせて最適なタイミングで歯の型を採ります。

型が固まって外したら、明るいライトの下で型に変形や異常がないかじっくり点検します。

採った歯型はこんな感じです。オレンジの部分と青い部分はそれぞれ役割が違います。

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当院では過度な圧排はおこないません。歯肉のダメージは最小限に抑えるべきです。

型採りが無事成功しましたら、かみ合わせの記録を採ります。

咬み合わせの記録も変形の少ないシリコーンで採ります。

あとは歯の色を色見本から選びます。必要に応じて一眼レフで写真撮影をおこないます。

その後仮歯を装着して終わりです。

ここまで約1時間かかります。

ここからは自費専門で製作を依頼している歯科技工士に歯型を預け製作をスタートします。

今はローコストで1日で機械が自動製作してくれるセラミックを提供する方法もありますが、当院ではすべてハンドメイドで製作してもらっています。

理由は私が自分の歯には入れたくないからです。

その理由は・・・。

お察しいただければと存じます(^_^;)

質が高く長期に安定する審美歯科治療をおこなうためには、良い材料を使う事はとても大事ですが、それよりも歯科医師の診断や手技、それを製作する歯科技工士の技術がもっと大切です。

ちなみに自費診療においては型採り、仮歯調整、装着に至るまですべての治療工程を私一人でおこなっています。

自分が自費診療を受けるのならそうしてもらいたいからです。

以上、精密な歯型取りについてでした^^

 

ジルコニアオールセラミック×審美歯科

宝塚市で審美歯科治療に力を入れている歯医者、笹山歯科医院 院長の笹山です。

ジルコニアオールセラミッククラウンのbefore&afterです。

before 古くなった上の前歯のセラミックの歯を2本をやり直しします

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after ジルコニアオールセラミッククラウンのセット後です

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上の前歯は歯の中で最も審美性が問われる部位ですので、

パッと見て人工の歯と分からないように仕上げることを心がけています^^

自然な歯を作るためにおこなっている仕事はこちらから↓

https://www.sasayama-dc.com/blog/2681/

 

 

 

オールセラミッククラウン e-max press

本日装着したオールセラミッククラウンのケースです。

e-max pressという材料で製作しています。

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従来のセラミッククラウンより硬さがあり、割れにくくなっています。

小臼歯といわれる小さい奥歯(前から4、5番目の歯)に適応されます。

噛む力が大きく加わる大臼歯の適応は限られます。

今回は小臼歯に装着します。向かって左上の歯です。

before

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after DSC_3810

自然観があります。

フルジルコニアと比べても色調再現性は良いですね。

当院では咬み合わせや歯の位置によってオールセラミッククラウンとフルジルコニアクラウンを使い分けています。

 

 

 

歯を抜かずに残す×ジルコニアオールセラミック

硬いパンを食べたら歯が折れてしまった患者さん。

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グラグラの折れた歯の部分を麻酔して取り除きました。

歯の根まで折れてしまっています・・・。

DSC_3448通常歯の根が深くまで折れてしまった歯は抜歯適応となります。

このケースでは根の一部が歯茎より5ミリ近く深い位置まで折れてしまっていました。

最近の歯科業界の傾向ですと考えられる治療は抜歯して「即時インプラント」

「即時インプラント」とは歯を抜くのと同時にインプラントを埋め込む治療のことをいいます。

確かに抜いた周りの骨が痩せる前にインプラントを埋めれば長期的な予後は良いといえます。

当院でもインプラント治療をおこなっていますが、あらゆる治療の選択肢の中でインプラントが一番有効である場合におこなうと決めています。

もしくはこの歯を抜いて両隣の歯を削ってブリッジ。

でも両隣の歯は健康なキレイな歯なので、患者さんも私も削りたくありません。

今回は歯を抜かずに残して治療することにしました。

抜かないで、インプラントにもしないで、どうやって?

「エクストルージョン」という治療方法です。

折れた根のまま歯をかぶせても長持ちはしませんので、歯の寿命を延ばすために矯正治療を行い、歯の根っこの位置を変えます。

DSC_3446

根の折れた面を歯ぐきの高さまでゆっくり引っ張り上げる治療です。

根にフックをつけ、両隣の歯にバーを渡して矯正用のゴムで牽引します。およそ1~2か月かかります。

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前歯は見た目の問題もあるので、装置の上から薄い仮歯を装着して目立たないようにします。

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上から見るとこんな感じ。複雑な装置です。

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レントゲンではこう見えます。左側がスタート。右側が終了間際。

DSC_3517バーフックの距離が縮まっているのが分かりますか?この縮まった距離分、歯の根が移動したということです。*生物学的幅径biologic widthが確保された状態です。

ひと手間かけて、このように歯の根を位置を変えるだけで歯の寿命は確実に長くなります。

治療後:最終的にジルコニアオールセラミッククラウンの歯が入った状態です。

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10年前から仕事をお願いしている、いつもの歯科技工士さんに作って頂きました。自然な見た目ですね^^

*患歯の歯頸線の位置も術前と比較して反対側の側切歯と対称性が改善されています。クリーピングできるような歯根形態を付与していますので、これから歯肉レベルがもう少し揃ってくると思われます。

この治療は健康保険は適応しませんが、インプラントと比べると治療費もかなり抑えることもできます。

何より人工歯根であるインプラントではなく、ご自身の歯の根を生かす治療ですから体に優しい治療です^^

歯の色合わせ セラミック編

歯の色って結構複雑です。

歯の先は半透明、根元の方は若干オレンジがかった不透明。

エナメル質と象牙質が織りなすグラデーション。

拡大鏡(治療用のルーペ)を使って歯を見ると実に複雑な色合いをしていることに気づきます。そして天然の歯の美しさを再発見します。

歯の色はよく見ると人それぞれ結構異なります。

歯を作ってもらう歯科技工士さんには歯の色を指示しなければなりません。

「白い歯で」「ちょっと黄色い歯で」ではダメなんです。

被せ物の歯の色を合わせるにはシェードガイドというものを使います。↓

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美容室でいうカラーの色見本のようなものですね。

シェードガイドにピッタリあえば、その色のコードを歯を作る歯科技工士さんに伝えるだけ。

歯に合う色がない場合は・・

近い色のシェードガイドを入れて一緒に歯の写真を撮ります。(歯科仕様の一眼レフで)

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この画像データをメールまたはメディアに入れて技工所に預けます。(個人情報の管理は徹底しています。)

歯科技工士さんが仕事場のPCで画像を見ながら色を合わせます。

ところがPCのモニターは画質や解析度はそれぞれ違います。

同じ画像なのにこっちのモニターでは黄色に見えて、あっちのモニターはやオレンジに見えてしまうとか。

そんなことのないように、撮影時にシェードガイドにキャスマッチというものを加えて撮影します。

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このテレビのカラーバーのようなものを入れることで、違うモニター間でも同じ色味を再現できます。

そこまですれば、シェードガイドに合わない特殊な色の歯でも大抵再現可能です。

審美歯科において、歯の色を周りの天然歯に合わせる場合は必須の治療工程です。

たとえば・・・

向かって左上の差し歯。一度完成しましたが、色が合わなかったので修正することに。天然歯がエイジングしており、色合わせの難しいケースです。キャスマッチとシェードガイドを入れて撮影(比色のため2つのシェードガイドを入れます) ↓

dsc_3099

 

修正後。シェードが合いました。装着したばかりなので差し歯の淵の歯肉が若干赤いですが、すぐに馴染みます。↓

dsc_3119

 

できるだけ多くの色見本から選べるようにシェードガイド(色見本)は十分に揃えています。(一般的な歯科医院では1種類もしくは2種類なので、ちょっと多すぎですが・・・(^_^;))↓↓

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以上「色合わせ」でした。