精密入れ歯に必要な型取り方法

宝塚市で入れ歯治療に力を入れている歯医者、笹山歯科医院 院長の笹山です。

精密な入れ歯とは・・・

違和感が少なく、良くフィットし、痛くなく、良く噛める入れ歯と考えます。

精密な入れ歯をつくるために大切なことのひとつは、「正確に歯型を採れるか」ということです。

まずは型取りの道具(印象用トレーといいます)

これは既製品のサイズのものがあり、お口の大きさに合わせてS・M・Lなどサイズがあります。

この既製サイズの型採り道具では、どんなに頑張っても、そこそこの精度の歯型しか採れません。

しかし精密な入れ歯をつくるためには、既製服ではダメで、セミオーダーでもダメで、フルオーダーメイドでなければなりません。

そのために既製の型採り道具ではピッタリお口に合わないので、まず患者さん専用の型採り道具を作ることから始めます。

このトレーを歯科では各個トレーといったり、個人トレーといいます。

こちらが個人トレー↓

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この個人トレーを使って型を採ると再現性の高い型が取れます。

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このような型採りは、精密な入れ歯をつくるための1工程です。他にも大切なことは、いくつもあります。

そして、ひとつひとつのステップを確実にクリアすることで良い入れ歯が完成します。

 

ポリデント(入れ歯洗浄剤)の効果

宝塚市で入れ歯治療に力を入れている歯医者、笹山歯科医院 院長の笹山です。

ポリデント(入れ歯洗浄剤)は使った方がいいですか?

2年前に製作した入れ歯。2年前の状態です↓

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現在の状態です↓ 毎日義歯専用ブラシで磨いた後にポリデントを使用されています。

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まだ2年とはいえキレイです。

入れ歯はブラシで磨くだけでは、このような状態は維持できません。

入れ歯洗浄剤は一晩漬け置きする必要はなく、10分程度漬けるだけでも効果は十分あります。

正しい使い方はかかりつけの歯医者さんでお聞きになると良いと思います。

ポリデントで入れ歯ケア、おススメします。

ノンクラスプデンチャー 6年目

宝塚市でノンクラスプ入れ歯、バネのない入れ歯治療をおこなっている歯医者、笹山歯科医院 院長の笹山です。

ノンクラスプデンチャーの制作後6年目のケースです。

6年前の完成時↓  ピカピカですね

DSC_0502現在↓

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アームの部分は破損などで2回修理しています。(1回は患者さんの不注意による破損です(^_^;))

人工歯や床部分の着色など経年的な劣化もありますが、まだまだ使えます。

「ノンクラスプデンチャーは持たない、頻繁に壊れる」という意見もお聞きします。

私はノンクラスプデンチャーを診療に取り入れて10年近く経ちますが、 リペアしたり、リベースしてメンテナンスするとちゃんと使えますよ。

長持ちさせるのに大切なポイントは最初の設計とメンテナンスです。

すべての入れ歯において言えることでもありますが、特にノンクラスプの場合は設計が大事です。

これを誤ると「壊れる」「持たない」となります。

アームの適合や破損に関しては色々と対処法があり、最近はあまりトラブルもありません。

もうひとつ大切なことは作る技工士さんの技術ですね。同じ材質でも加工の仕方や設計で持ちが違います。

当院のノンクラスプデンチャーは義歯の中でもノンクラスプに古くから関わっている先駆者的な技工士さんが制作しています。

入れ歯洗浄剤は使った方がいいですか?

宝塚市でノンクラスプ入れ歯、バネのない入れ歯治療をおこなっている歯医者、笹山歯科医院 院長の笹山です。

「ポリデント(入れ歯洗浄剤)は使った方がいいですか?」

よくお受けするご質問です。

答えは・・・

「毎日使った方がいいです。」

3年前に作成したノンクラスプ入れ歯(バネのない入れ歯)↓ 画像は3年前の状態です。 患者さんは毎日ポリデントを使用されています。

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3年後↓ 当初の艶は無くなっていますが、黄ばみや変色もなくキレイです。(撮影後に艶出ししておきました)

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入れ歯洗浄剤を毎日使っていない方の入れ歯は、黄ばみや変色などの劣化が早いです。

入れ歯のお手入れ方法です。

歯磨き粉をつけずに入れ歯専用のブラシで汚れを落としてから、入れ歯洗浄剤に5~10分ほど漬けていただくのがおススメです。

ブラシで汚れを落とさずに洗浄剤に漬けるのはNGです。

まずブラシでしっかり汚れを落としてから漬けましょう!

ちなみにこの入れ歯はノンクラスプデンチャーという入れ歯です。

金属のバネが付いていないタイプの入れ歯で、入れ歯を入れているのを知られたくない、目立たない入れ歯にしたい方に好評です。

 

最後の入れ歯

先日のブログ「入れ歯の力」で登場した患者さんの入れ歯が出来上がるまでの経緯を綴ります。

「入れ歯の力」はこちら↓

https://www.sasayama-dc.com/blog/3557/

3年前に初めて拝見した患者さん。当時で御年90歳。

「入れ歯が痛くて咬めない。咬み合わせも悪くて上手く食べられない。」とのことです。

拝見すると上下共に顎の骨が極度に痩せていて、入れ歯が全く安定しない。

超難症例です。

正直言いますと、どうにか出来る自信は全くありませんでした。

しかし「噛めない、外れる、痛い」をそのままにすることは出来ません。

「出来る限りやってみます」とご家族の方にお伝えして入れ歯作りを始めました。

それが3年前です。

元々の入れ歯を改造して、治療義歯とし、治療義歯を用いて型採りを行い、新しく上下の入れ歯を作りました。

*治療義歯とは・・新しい義歯にスムーズに移行できるように、義歯を改造して形や咬み合わせを調整して最終的な義歯に近づけていくためのリハビリ義歯です。

左の上下が古い入れ歯↓          右の上下が新しい入れ歯↓

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長年合わない入れ歯を使っていると、咬む位置がズレて正しい位置で咬めなくなるため、咬みあわせが安定しなくなります。

長年の経緯により案の定咬みあわせも安定せず、やむ得ず歯並びと咬みあわせも不安定なまま完成しました。*右側の新しい入れ歯も歯並びがずれています。

最初の入れ歯に比べれば良くなったものの、納得のできる仕上がりではありませんでした。

それでも、その時点ではそれが限界でした。

それから1年半ぐらい、安定剤を張り替えたり、咬み合わせを調整したりして、何とか使用してもらっていましたが、何度も咬み合わせを削ったり足したりしたので入れ歯自体が段々と劣化し始めていました。

そろそろ新しく作り直さなけらばと思いながらも、現状より良いものが出来るのかという迷いがあり、躊躇していました。

そんな頃、患者さんのご家族の方に「最後にいい入れ歯を作ってあげたい」と言わました。

「最後の入れ歯」

患者さんは93歳ですので、そういうことになります。

食事がおいしく食べられることは高齢者にとって本当に楽しみであり、大切なことです。

覚悟を決めて、再度上下の入れ歯を作り直しを提案させていただきました。

今の入れ歯をさらに改造しながら、咬みあわせを安定させ、何とか良い噛みあわせで入れ歯を完成させることが出来ました。

完成後の数回の調整と咬みあわせの一部修正した後には、患者さんに「痛くなく食べられる」とおっしゃっていただき、ご家族の方にも喜んでいただけました。

新しい上下の入れ歯↓

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「入れ歯には入れ歯の形がある」「良い入れ歯は良い形をしている」

入れ歯の達人といわれる先人の先生方の言葉どおり、最初の入れ歯や2回目の入れ歯を違って形のバランスがよくなり左右がほぼ対称になりました。

足掛け3年かかってしまいましたが、良い結果が出せてホッとしました。

義歯という装具で咬めなかったものが咬めるようになる。そして感謝していただける。

入れ歯治療は本当にやりがいのある分野です。

このケースでは本当に多くのことを学ばせていただき、自分の限界を少し超えられました。

「患者さんが一番の先生」

これも尊敬する歯科医の先生の言葉です。

本当にそう思います。

患者さんに感謝です。