令和4年歯科疾患実態調査の結果 昭和~平成~令和 虫歯増えた?減った?

院長の笹山です。

「歯科疾患実態調査」

聞きなれない言葉だと思います。

ざっくり言いますと、国民のお口の状態がどうなのかの統計をとるために国がおこなう調査です。

5年おきに調査されますので、過去と今では国民の歯の健康状態が、良くなっているのか?悪くなっているのか?分かります。

たとえば日本人の虫歯は減ったのか?とか、歯の残っている本数は増えたのか?などです。

先日その結果が、歯科医療従事者向けのサイトで要約されて掲載されました。

色々な項目で調査しているのですが、興味深い、皆様に知っていただくと良いかなと思った項目の結果をピックアップしてみました。

*表や結果はWHITE CROSS様のサイトから引用しています。

①虫歯は5〜34歳では減少傾向を示していたが、55歳以上では増加傾向にあった。

 

表3 5歳以上で永久歯にう歯をもつ者の割合の年次推移(%)(表は厚労省HPより引用)

私の感想

55歳以上で増加というのは高齢者人口が増えたことと、歯茎が痩せて、露出した歯根に出来る根面カリエスという歯の根の虫歯が関係していると考えます。歯の根は歯の表面のエナメル質と比べて、4分の1程度の硬さしかないので、虫歯になりやすいのです。

根面カリエスについてはこちら↓

大人の虫歯が出来る原因は●●が多かった。

②8020達成者の割合はほぼ横ばい

20歯以上の自分の歯を有する者は、55歳以上において、一部の年齢階級を除いて増加傾向であった(表6、図6)。

 

表6 20 本以上の歯を有する者の割合の年次推移(%)(表は厚労省HPより引用)

 

図6 20 本以上の歯を有する者の割合の年次推移(グラフは厚労省HPより引用)

 

80歳で20本以上の歯を有する8020達成者の割合については、75〜84歳の20本以上の歯を有する者の割合から51.6%と推計され、前回調査時の51.2%とほぼ横ばいの結果であった。

私の感想

平成5年では10.9%ですから、30年間で8020を達成した人がおよそ5倍に増えたことは凄いと思います。

私が歯医者になった平成11年でも15.3%です。

この頃はおじいちゃん、おばあちゃんと言えば、入れ歯をしているのが当たり前でした。

卒業したばかりで入れ歯治療の経験が浅かったので、全然上手く治療できなかったことを思い出します。

その経験から、入れ歯だけは絶対に上手くなろうと特に力を入れて、勉強しました。

ちなみに歯は親知らずを除くと、上下合わせて28本あります。

20本あれば、ぎりぎり噛めると言われています。

しかし、やはり28本ある方が断然よく咬めます。

人生100年時代といわれます。

80歳になった後も、人生はそこそこ続きそうです。

その時に平均値である20本でいいのか?

それとも28本の方がいいのか?

ご自身の健康について考えてみたいですね。

③国民のセルフケアへの意識は年々向上している

1歳以上において、毎日ブラッシングする者の割合は97.4%。毎日2回以上ブラッシングする者の割合は年々増加を続けており、今回は79.2%であった(表8、図8)。

表8 1歳以上の歯ブラシの使用状況の年次推移(表は厚労省HPより引用)

 

図8 1歳以上の歯ブラシの使用状況の年次推移(グラフは厚労省HPより引用)

 

また、デンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っている者は全体の50.9%、舌清掃を行っている者は21.1%であった。男女別に見ると、ほぼすべての年代で女性の方が歯間部清掃または舌清掃を行っている者の割合が高く、40〜70代の女性においては6割以上がデンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っているという結果であった(図9)。

 

図9 デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯間部清掃をしている者の割合、性・年齢階級別(グラフは厚労省HPより引用)

前回調査時においては、歯間部清掃を行っている者が全体の39.2%であったことから、以前よりも歯間部清掃の必要性についての認知が広がっていることが伺えた。

私の感想

舌清掃の割合が21.1%は良いことだと思います。

口臭対策に有効な舌清掃をお勧めします。

最近では20代くらいの患者さんでも普通にデンタルフロスなどを使って歯間ケアをしています。

まだ歯間ケアをしていない人は絶対した方がいいです。歯と歯の間は虫歯・歯周病の好発部位です。

こちらも参考にどうぞ↓

歯と歯の間の虫歯は気づくまで時間がかかる

 

歯間ブラシとフロスは両方やった方がいいんですか?

以上「令和4年歯科疾患実態調査の結果」でした。

皆様のお口の健康増進のために参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

令和4年歯科疾患実態調査の結果 その2

インプラントしない歯医者。

院長の笹山です。

インプラント治療の話です。

インプラント治療は、どこの歯医者さんでも受けられる治療ではありません。

なぜインプラントをする歯医者さんと、しない歯医者さんがあるのでしょう。

私が大学を卒業したのは20数年前ですが、インプラントはまだ一般的な治療ではなく、歯科医の間でも懐疑的な治療でした。

「あんな金属のネジを骨に埋め込むなんて、長持ちするわけがない。危険だ。」と言う先生が普通にいた時代です。

ですので、私より少し上の世代の先生は、インプラントをしない先生も結構いらっしゃいます。

当時は私自身もインプラントが本当に長持ちするのか判断できなかったので、実際にインプラント治療を始めたのは少し遅く、卒後10年過ぎた頃からでした。

そして現在ではインプラントは特別な治療ではなく、普通におこなわれる時代になりました。

失った歯を補う治療方法として、インプラントとブリッジと入れ歯を比較すると、インプラントが一番経過良好(長持ちする)であるというデータが数多く出ています。

私自身もインプラントの症例数を重ね、その後の経過を診るようになってから、インプラントは適切に診断し、適切に行えば、患者さんのためになる良い治療だと今は確信しています。

歯医者がインプラントを出来たほうがいいのか、出来なくてもいいのかに関しては、出来た方がいいと思います。

インプラントだけ他の先生に紹介して手術してもらうという先生もいらっしゃいますが、やはり自分の患者さんには、自ら手術を出来る方がいいと思いますし、患者さんも安心されると思います。

インプラントは治療後のメンテナンスも非常に大切ですので、他の先生にしてもらったインプラントを、インプラントの知識がない先生がフォローするのは、やや難しいかと思います。

ではなぜインプラントをしない先生がいらっしゃるのか?

私が考える理由は5つあります。

①インプラント治療は、大学で習っただけでは出来るようにならない。

今の歯学部の学生はインプラントの講義も普通にあるようですが、それはあくまでも触りの部分だけで、その授業を受けたからといって、手術が出来るわけではありません。

私が学生の頃は、そもそもインプラントの授業はほぼ皆無でした。

ですのでインプラント治療を身につけるには、大学を卒業後、仕事をしながら休みの日に何度も講習会に参加して学ぶ必要がありました。

1回講習会に出ただけで、出来るようになる治療ではありませんし、するべきではない治療です。

インプラント治療は、歯ぐきを切る、骨に穴を開ける、骨にインプラントを入れる、切った歯ぐきを縫う、歯型を採る、歯を被せる。

文章で書くとこれだけなのですが、解剖学的な知識や手術手技の知識を考えると相当な量の勉強をしないと、安全確実に出来るようにはなりません。

ちなみに私の場合は、勤務医時代にインプラント治療をおこなっている歯科医院に勤務し、その後勤めた歯科医院で日本口腔インプラント学会専門医の先生に直接指導していただき、初めての手術から3回ほどは、その先生にオペ介助についていただいて、やっと1人で簡単なケースから取り組めるようになったぐらいです。

ですので、そこまでの時間と費用をかけてまで学ぶ価値がないと考える先生もいらっしゃると思います。

② そもそも外科手術が好きではない。

歯医者だから抜歯くらいはするけれど「そもそも血を見るのが嫌い。」「外科処置はしたくない。」という歯医者さんは意外に多くいます。特に男性の歯科医です。

実はインプラント治療は抜歯に比べて、出血も少ないので、私自身は難しい親知らずの抜歯をするのと比べれば、インプラント治療の方が楽だと感じているのですが、骨に穴を開けて、金属製のインプラントを埋めて置いてくるという行為は、歯を削ったりするのとは違う感覚ですので、心理的なハードルが高いと感じる歯科医の先生もいらっしゃると思います。

私は特に外科手術が好きというわけではありませんが、インプラント治療を出来ないというのは、自分の医院の患者さんにとって不利益だと考えて、インプラント治療を取り入れました。

③ インプラント治療に必要な器具の導入にはかなりの費用がかかる。

インプラントに使用する器具を導入するだけで、軽自動車1台分くらいの費用がかかります。

今の時代は術前のCT撮影は必須です。パノラマレントゲンやデンタルレントゲンといわれる2次元のレントゲン写真だけで手術するのは危険です。ですのでCTを撮影できるレントゲン装置がない歯科医院で手術を受けるべきではありません。

CTの値段もここ10年くらいでだいぶ下がりましたので、最近の若い先生方は開業時からCT撮影出来るレントゲン装置を導入するのが普通になっています。

値段が下がったといっても、今でも高級外車が1台購入できるほどの値段はしますが…。

そして技術を身につけるには、前述のような講習会に何度も参加しなければなりません。これも総額で軽自動車1台分くらいかかります。

それだけの投資をしても、実際にインプラント治療をしなければ、投資した分は回収出来ないと考えて、導入しない先生もいらっしゃいます。

④ インプラントは準備が大変。

インプラントは通常の治療と違って、手術器具の準備や、手術する環境、スタッフへの手術介助の教育などのインプラントをおこなうためだけに新たなシステムを作ることが必要で多くの時間と労力を必要とします。

当院でも手術器具の専用準備リストを使用し、2重チェックをかけで準備をしています。

手術に使う外科器具の量が多いので、一度に滅菌出来ません。日々の治療に使う器具も毎日滅菌していますので、その合間を縫って、手術日の3日以上前から、滅菌器で滅菌をしています。

手術日の前日からは、手術をするユニットも手術仕様に変更します。

ちなみに手術後の片付けも細かい器具が多くて、なかなか大変です。

こういうことを手間を考えると、インプラントは煩わしいなと思う先生もいらっしゃるかもしれません。

⑤インプラント治療をおこなわない経営方針。

最近では小児歯科専門や予防歯科専門で開業されている歯医者さんもあり、外科処置は極力おこなわない経営方針も歯医者さんもあります。

 

以上の①~⑤がインプラント治療をしない先生の理由ではないかと思っています。

インプラント治療は正しくおこなえば、本当に良い治療です。

ちなみに当院はインプラント治療専門医院ではないので、すべてのケースに対応しているわけではありません。

以下の4つには対応しておりません。

①骨が弱い、またはほとんど無いケース。

②前歯のインプラント治療。

③歯がほとんど無い、もしくは1本も無い方へのインプラント治療。

④他院でおこなったインプラント治療のリカバリー。

この4つはインプラント専門医レベルでないと良い結果が出せないと考えておりますので、当院ではおこなっておりません。

当院は普通に骨がある部位に、基本に忠実に丁寧に手術することをメインにインプラント治療をおこなっています。

当院での一例↓

以上「インプラントしない歯医者。」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

痛いのに「様子をみましょう。」と言われた話

院長の笹山です。

痛くて歯医者に行ったのに「様子をみましょう。」と言われて困った経験はありませんか?

この場合「様子をみましょう。」の内容が大切です。

たとえばどこかの歯医者さんで痛みを伝えた時に、先生から以下のように言われたとします。

①「しばらく様子を見ましょう。」とだけ言われた。

②「AとBの可能性があるけれど、今ははっきりしないので、今回の症状が〇週間以上続くようなら電話を下さい。」と言われた。

①の場合ですと、いつまで何を様子を見ればいいのか分かりません。「このまま放置しておいてもっと悪くなってしまったら…。」など不安になると思います。①の場合は、別の歯科医院でセカンドオピニオンを求めることも必要かもしれません。

②のように先生の中では「Aかもしれないし、Bかもしれないが、今の段階では、はっきり診断がつかないので、〇週間以上続くならAの可能性を疑う」など一定の診断がついている可能性があれば、患者さんも安心出来ます。

 

当院に新規で来られた患者さんでよくある話ですと

①「歯が凍みるのに様子をみましょうと言われた。」

②「子どもの歯並びを相談したら、小学生になるまで様子をみましょうと言われた。」

などです。

当院でも「様子を見ましょう。」とお伝えすることはありますが、

①の場合、現在処置が不要であっても、凍みる原因になる虫歯や知覚過敏、歯ぎしりや噛みしめなどについとその治療法や、日頃の生活で気をつけることなど具体的に説明します。

②の場合、なぜ今は矯正をしないで、小学生まで様子を見るのか? 今の時点で何かした方がいいことがあるのか? 今出来ることは何もないのか? 小学生になったらどんな治療をして、期間や費用はどれくらいかかるのかまでを説明します。

そんな感じで、特に説明もなく「様子をみましょう。」ということは、基本おこないません。

また、痛みがあるのに全く診断がつかないも極まれにあります。

そんな時は、全く診断がつかないことを率直にお伝えしますが、患者さんは不安に感じると思いますので、専門機関を紹介するなど、出来るだけ患者さんに安心して頂ける対応を心がけています。

以上「痛いのに「様子をみましょう。」と言われた話」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

歯科拡大鏡(ルーペ)選び。サージテル、カールツァイス、ハイネどれがいい?*歯科医向け お得な情報も?

院長の笹山です。

日々の治療で常にルーペを着用して治療しているのですが、先日新たなルーペを導入しました。

ハイネというドイツのメーカーのルーペで倍率は6倍です

現在、ハイネ1台(2.5倍)(今回の6倍で2台目)とカールツァイス1台(8倍)、サージテル2台(3倍と6倍)を所有していますので、歯科医の方でルーペ選びで迷っている方に、少し参考なるかと思いブログ記事にしました。

それでは3社の良い点と気になる点をそれぞれ示します。(感想は個人の主観です。画像はデモ機も含みます。)

①サージテル (オークリーフレームタイプ)

良い点

1)フレームが樹脂製のため、軽く、装着感が一番良い。倍率が上がって重くなっても、フレームで耳や鼻が痛くなりにくい。

2)見た目が洗練されていてカッコいい(結構大事な要素です)

3)販売代理店が日本にあり、修理など対応は比較的早いと思われます。

気になる点

1)サージテルは低倍率2.5か3倍なら、正直他の安いメーカーとそれほどの違いを感じられない。

2)アジア人は、鼻の眉間より下の部分が低いので、欧米人用に作られたオークリーフレームではノーズパッドを別途購入しないと、覗き込む姿勢(上顎臼歯を見る時など)鼻からずり落ちやすい。

3)倍率の基準が独自。倍率についてはメーカ統一の規格性がありません。例えばサージテルの6倍だと数字上は高倍率に感じるのですが、カールツァイスに換算すると3.6倍くらいに相当します。

サージテルの10倍は使ったことがないのですが、多分ハイネの6倍より少し大きく見える程度だと思います。

4)値段がややお高い…。

5)私はTTLタイプ(上記のサージテル画像)を所有しているのですが、現在、サージテルはフリップアップタイプしか販売していません。

サージテルフリップアップタイプ↓

フリップアップタイプは、目からレンズまで距離があるため、実際の倍率より低く見えることと、視野が狭くなります。

やはりメガネにレンズに直接埋められたTTLタイプの方が視野も広く見やすいです。

ただし、TTLはゴーグルに接着剤でレンズを固定していますので、いつかは接着剤が劣化してレンズが外れてしまいます。

サージテルでは、それを付け直す修理サービスをおこなっていましたが、TTLの販売終了と共にそのサービスは終了となりました。

ですので、私の所有するTTLはレンズが取れてしまったら、使えなくなるのです( ;∀;)

サージテルのTTLはもうないのですが、他のメーカーならTTLの販売はあります。レンズとゴーグルがくっ付いていることで、見やすく、視野が広いことがメリットとお伝えしましたが、実はそれが欠点でもあります。

なぜなら、ゴーグルに致命的な傷が入ると、ルーペ全体を預けての修理になるからです。

フリップアップタイプはゴーグルとレンズが分離出来ますので、ゴーグルだけを買い替えれば、預けることもなく、修理費用よりもゴーグル購入の方が安く済む可能性があります。

 

②カールツァイス

フレームタイプ1 (3.6倍)

ヘッドバンドタイプ (4.5倍)

フレームタイプ2 (8倍 現在は販売終了)

良い点 

1)他の2社と比べて明らかに視野が広い。視野が広いと、隣在歯もよく見えるので、周りの歯とのバランスを見る時に非常に分かりやすい。

2)レンズが他の2社より明るい。また、2社と比べて視野が広い分、レンズの外枠が視界に入りにくいので使用中に気にならない。

気になる点

1)ヘッドバンドタイプは、上顎前歯舌側や上顎臼歯口蓋側を覗き込んだ時に、少し安定が悪く、ルーペがずれることがあります。

バンドをきつく締めても起こるので、こまめにズレを元に戻さなければならないことがあります。

ミラーテクニックを使えば覗き込まなくてもいいのですが、どうしても覗き込んで直視で確認したい時ってありますよね?

マイクロスコープに比べて、ルーペの良い所は、機動性と直視出来る範囲が広いことです。

2)フレームタイプの場合、レンズがケプラー式で重いので、長時間(私は30分)装着すると、鼻のノーズパッド部分が痛くなります。

フレームタイプの総重量は約150gあり、これはゆでたまご3個分に相当しますので、結構な重さであることが、ご理解いただけると思います。

ルーペの実際に重さの多くを占めるのが、レンズ部分ですので、ルーペの前後の重さのバランスが悪いです。

また、本体が重いので、装着しない時は首にぶら下げておくのですが、ユニット間を移動する時など、ルーペの重さで胸の前で揺れるので少し気になります。

サージテルは軽いので、首からぶら下げて移動しても気になりません。

ぶら下げたまま移動する時は、メガネ用コードを首の下辺りまで短くすると、揺れが気にならなくなります。(上のカールツァイスの画像のフレーム2に付けたような別売りメガネコードです。)

 

③ハイネ(ヘッドバンドタイプ)

良い点

1)ヘッドバンドの安定性が抜群によい。顔を傾けても、覗き込んでも、ずれない。(カールツァイスのヘッドバンドより、確実に安定します。)

2)ライトが明るく、ライトを照らす範囲や明るさもヘッドバンドで調整できる。

3)倍率が6倍まである。サージテルの8倍程度に相当すると思いますが、サージテルは、基本的にゴーグルタイプ(ヘッドバンドも一応あります。)になるので、レンズの重みで前後バランスが悪くなり、鼻や耳が痛くなりそうです。

ハイネのヘッドバンドタイプは、後頭部にあるライト用のバッテリーと、前のレンズ部の前後の重量バランスを考えて設計されているので、そのようなことがありません。

4)専用のスタンドタイプの充電スタンドを使うと、スタンドに置くと同時にライトも充電されるのでとても便利。

ただし置き場所をとるので、勤務医の先生にはちょっとハードルが高いかもしれません。勤務先のクリニックに、場所を取るハイネのヘッドバンドを置くのは、ちょっと気を遣いそうですね。

気になる点

1)最初のセッティングが難しいです。

動かせる調整用の関節が多いので、細かく調整出来、自分仕様に合わせることが出来るのですが、どこを調整したらちょうど良いのかコツが掴めるまで非常に時間がかかります。

この調整が上手くいっていなくて「どうもよく見えないな。」と誤解されている先生もいるかもしれません。ちなみに私は1時間半くらいかかりました…。

2)ヘッドバンドタイプは重量があり、ゴツいので、常時頭に着けたまま、使用するには向かないと思います。

これを装着したままユニット間を移動したりするのは、ちょっと邪魔になります。

今回ハイネの6倍を購入した理由としては、

「姿勢を変えて覗き込んでも、ルーペがズレずに安定性がある高倍率のルーペが欲しかったから。」という理由が一番です。

 

3社の中でバランスが良くてビギナーにも向いているのは?

3社の中での初めてのルーペを選ぶとしたら、お勧めはカールツァイスのフレームタイプの3.6倍×350㎜または3.5倍×400㎜です。

ちなみに3.5と3.6は、倍率が0.1倍しか変わらないのですが、作業距離が50㎜違うので、3.6倍の方が数値上よりも歯が大きく見えます。

ただしその分、患者さんとの距離は近くなり、覗き込むような姿勢になるので、首の負担は350mmの方があります。

50mmは5㎝ですから(当たり前ですみません)5㎝違うとだいぶ姿勢が変わります。

ユニットを上げれば距離は縮まるのですが、患者さんの地上高が高くなると、アシスタントが口腔内を見づらくなります。これはアシスタントが可愛そうですし、アシストの精度も落ちるので、良くないかもしれません。

ユニットが高すぎたり、低すぎたりはアシスタントに負担をかけます。

話が逸れたので、戻します。

次は視野に関してです。

私が見え方を比較して確認する時は、視野に自分の指が何本見えるかを記録して確認しています。

ルーペ越しに、閉じた状態の指の本数を数えます。

私の場合、3.6倍だと指4本、3.5だと指4本半と違いは指半本ですが、見え方はだいぶ違います。(ちなみに私の所有する8倍は指1本)

ツァイスの3.6や3.5はデモ機を借りただけですが、レンズの明るさ、本体の重さ(少し難ありですが)、装着感の全てのバランスが良くとても使いやすかったです。

ツァイス純正のコード付きのライトもありますが、他社のコードレスライトをつける方が使いやすいと思います。マイクロテック社のバタフライ2など。

*コードレスはバッテリーが含まれているので、その分全体の重さが重くなるデメリットがあります。コード有りは、コードが煩わしい分、バッテリーが別になる分(胸ポケットなど)、重さは楽になります。

ツァイスの価格は決して安くはないですが、後悔はないと思います。

デメリットで述べた、重さについては、私の個人感覚ですので、デモ機を借りて体感してみてください。

そこまで費用を出せないのであれば、後で紹介するCiメディカルのルーペをお勧めします。

いきなり買わないでデモ機を借りましょう

3社ともデモ機の貸し出しが可能ですので、色々借りて試してから決めるのがいいと思います。

カールツァイスは、材料屋さん経由で無料で借りられます。

ハイネも材料屋さん経由で5,000円程度で1か月近く借りられるので良心的です。

サージテルは1週間で16,500円です。メーカー直販ですので、オーラルケア社のHPから貸し出し依頼が可能です。

*貸し出し価格は2022年8月13日 調べ

その他のルーペ

3倍以下の倍率なら3社から選ばずに、Ciメディカルのルーペで十分だと思います。

私も普段はCiメディカルの3倍ルーペがメインです。

高倍率のルーペを常時使用すると目を消耗します。目は消耗品ですので、大切にしなければなりません。低倍率と高倍率を上手く使い分ける方がいいと思います。

普段使いの低価格の色々なルーペを試してきましたが、このCiのルーペは本当にコストパフォーマンスがいいです。

軽いし、視野も広いし、明るいです。

そのためサージテルやハイネの低倍率はお蔵入りになりました。

ただし、ノーマルではフレームやノーズパッドの当たりがやや強いので、デリケートな人は、気になるかもしれません。

ノーズパッドとフレーム部分が少し硬いので、市販の眼鏡用アクセサリーを追加して当たりを弱めると更に使いやすくなります。

また、倍率はメーカー独自の基準で定めていますので、カールツァイスの3.5倍と、Ciの3倍では、数値だけで見ると0.5倍しか変わりませんが、実際の見え方は全然違います。カールツァイスの方が、圧倒的に大きく見えます。

ただ、重さはカールツァイスの半分近く(80g)ですので、機動性、装着感ななどは圧倒的にCiに分があります。

Ciメディカルのお勧めルーペ↓

クリアビュールーペ TTLタイプ 3.0倍(ウエリントン) 

こちらもデモ機の貸し出しが出来ます。

TTLタイプ(スルーザレンズ)は瞳孔間距離を合わせなければならないのですが、52ミリ~62ミリまでの6種全サイズをまとめて3日間程度無料で貸し出してくれるので、自分にあった瞳孔間距離を選べるというありがたいサービスがあります。

最後までお読みいただきありがとうございます。

少しだけお得な情報です。

お得な買い方

ハイネのルーペはCiメディカルが何処よりも安く販売しています。

年3回くらい、セール価格になるので更に安く購入できます。

Ciメディカルさんのハイネルーペセールの一例↓

 

以上「ルーペの選び方、サージテル、カールツァイス、ハイネどれにする?歯科医向け」でした。

ルーペ選びの参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

今すぐ口臭を消す方法 

院長の笹山です。

コロナ過でマスク着用が当たり前になりましたので、他人から口臭を感じる機会はあまりないと思います。

それでも大切な人と会う時に口臭がふと気になったけれど、もう外に出ていて、今更歯磨きも出来ないし、ガムを買う時間もない。

口臭のイラスト「口の臭いおじさん」

そんな時に即効性のある対策があります。

それは…

舌を上顎(うわあご)に押し付けて前後に擦りつけることです。

舌の位置としては、舌を上顎につけて「ポンっ」と鳴らす時(ポッピングといいます。)と同じ要領です。前後にスライドさせます。

緑矢印から黄色矢印の位置で上顎に舌の表面を擦り付けながら前後にスライドさせます。

特に緑矢印に付近は上顎の表面の歯茎が凸凹していますので、舌苔が剝がれ落ちやすくなります。

こうすると、口臭の原因といわれる舌の上に乗った汚れ(舌苔といいます。)が、剥がれ落ちます。

そして舌を動かすことで、唾液腺という唾液が出る出口が刺激され、唾液がたくさん出てきます。口臭の原因は口の中の乾燥でもありますので、口の中が潤うことで匂いが軽減されます。

上顎だけでなく、歯の表裏全体を舌で舐め回すように動かすのも効果ありです。この動きはマスクをしていない状態でやったら、変な人になってしまいますが、マスクをしていればコッソリ出来るので目立ちません。

簡単に出来て、即効性がありますので、是非お試しください。

皆様の歯の健康に少しでもお役に立てば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院