削らないし、矯正装置もつけない、歯並び改善方法

前歯の見た目が気になるから直したいけど、歯を削ったり、矯正治療まではしたくない、しかも短期間で治したい。

そんな時にこんな方法もあります。

患者さんは上下前歯の隙間が広いのを気にされて来院されました。

近々結婚式に出席予定があり、それまでに何とか出来ませんかとのこと。

治療後↓

隙間が小さくなっています。

何をしたか?

歯を削らずに、歯型を採り、付け爪のような歯を作って、歯科用の接着剤で歯に貼り付けました。

製作したのがコチラ。厚さ約1ミリのネイルのような歯です↓

型取り、装着の2回で終了し、歯も一切削っていません。

リスクとしては、剥がれたり、欠けたりする可能性があります。

適応症例は限られますが、適応であれば有効な治療方法です。(保険適応外)

 

10年前の記事ですが、こちらも参考にどうぞ(こちらは少々削ったケースです。)↓

ラミネートベニアによる審美歯科治療

以上「削らないし、矯正装置もつけない、歯並び改善方法」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

インプラントにして良かった患者さんの話

歯を失った場合には、失った部分を補う治療方針として、

入れ歯、インプラント、ブリッジ、歯牙移植、矯正治療、何も入れない

などの選択肢があります。

ブリッジ・入れ歯・インプラントどれがいい?

 

失った歯の両隣に歯がある場合、現実的にはブリッジかインプラントの2択になると思います。

両隣の歯を削ってブリッジ↓

 

両隣の歯を削らずにインプラント↓

どちらがいいですか?

と、聞かれればインプラントなのですが、ブリッジを選ばれる場合もあります。

しかし、今からお伝えするケースはインプラントにした方がいいケースです。

当院では複数の選択肢がある場合、それぞれの治療方法のメリット・デメリットを説明し、患者さんに選んでいただくというのが基本方針ですので、「インプラントがいいですよ。」という説明はしませんが、このケースに限っては「インプラントの方がいいです。」と、ハッキリとお伝えしました。

なぜインプラントを薦めたのかを実際の治療経過で説明しますので、ご覧ください。

治療前の患者さんのレントゲンです。向かって右側の下の奥歯、右から2番目の白く映っている歯の根が割れてしまっています。

拡大画像です。

このブログで何度も書いてきた歯根破折(しこんはせつ)という状態で、治すことが出来ないので抜歯となります。

歯根破折

画像で見る歯根破折

患者さんは入れ歯は嫌だということで、選択肢から入れ歯は除外され、ブリッジとインプラントの説明をおこなうことにしました。

実は、この患者さんはブリッジを選ぶと大きなリスクがあります。

先程のレントゲン写真で割れてしまった歯を抜いて数か月後のお口の写真です。向かって右側の1本奥歯がないところが抜歯した歯です。

ブリッジにする場合、通常は①と②の歯を削りますが、この患者さんの②の歯は内側に倒れて生えています。

①も②も共に神経があり、一度も治療されたことのない、健康で綺麗な歯です。

ブリッジにする場合、①と②の生えている方向が同じであることが大事です。

ここではその理由は割愛します。

この場合は内側に倒れて生えている②を大きく削らないと、①に方向(平行性)を揃えられません。

②の歯をそこそこに削って接着ブリッジという方法もあるにはあるのですが、1歯欠損の割にスパンが長いことや咬合力を考慮して除外しました。(専門的な内容です。)

大きく削ると②の神経が露出するので、露出した神経を抜くことになります。

ここで大事な話があります。

神経を抜くと、歯は割れやすくなります。

今回、歯根破折で抜いた歯も過去の治療により神経が無い歯でした。

また、神経を抜いた歯を連結したブリッジの寿命は10年で60%程度といわれており、神経のない歯がまた割れて抜歯になる可能性が高いです。

失った1本の奥歯を補うために、もう1本の歯の神経を抜いてブリッジにして、10年後にその歯が残っている可能性は60%だとしたらどうでしょう。

①の歯が無くなると、元の歯も含めると2本連続で奥歯は無くなります。

これを両隣の歯でブリッジにすると、過重負担になり、更に歯を失うと可能性が高まるという悪循環に陥ります。

2歯連続欠損のブリッジはかなり寿命が短いです↓

 

そこでようやくインプラントにするにしても、2本のインプラントでは費用は単純に2倍になります。

ここまで書いたブログのような説明を患者さんにおこないました。

たしか説明だけで3回ぐらい通って頂いた記憶があります。

そんなにインプラント推すの?と思われるかもしれませんが、そうではありません。

それだけ説明してリスクも納得して頂いて、ブリッジを選ばれたのなら、歯科医としては少し不本意ですが、結果としては全然構わないのです。

一番大切なことは、

リスクを理解した上で、患者さん自身が治療を選んだという事実です。

逆に良くないのは、今のような説明がないまま、安易に歯の神経を抜いてブリッジを入れてしまうことです。

 

さて、治療の結果を見てみましょう。

患者さんは両隣の健康な歯を削ったり、ブリッジのために健康な歯の神経を抜くのを回避するためにインプラントを選ばれました。

インプラントを入れた後のレントゲン写真です。

両隣の歯を一切削らずに歯を失った所に、インプラントの被せ物が入っています。

治療前↓

患者さんは「何でもよく噛めてインプラントにして良かったです。」と言ってくださいました。

3か月に1度のメンテナンスも欠かさず通ってくださっています。

このケースに関しては、インプラントにして良かったなと本当に思います。

何より患者さんが説明に十分に納得されて、インプラントを選んでいただいたことが良かったです。

以上「インプラントにして良かった患者さんの話」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

歯が弱い人の歯医者選び。日本の歯医者がおこなう一番多い治療とは?

生まれつき歯が丈夫で、虫歯になったこともほとんどなく、歯周病を指摘されたこともなく、歯医者さんで歯磨きを褒められたことがある方。

そういう方の歯医者さん選びは、そう難しくありません。

定期的に検診を受けて、歯のクリーニングを受けていれば、ほぼ安泰ですので、どこの歯医者さんに行っても将来の結果はさほど変わらないと思います。

しかし、歯が弱くて今まで苦労をしている方の歯医者さん選びはとても大切です。

歯が弱い方が歯が悪くならないために、定期健診とクリーニングを受けることは重要ですが、その前にまず、お口の中に今ある歯がちゃんと治されているかはもっと重要なことです。

日本全国の歯医者さんで毎日おこなわれている治療で、一番多い治療は何かご存知でしょうか?

過去の治療のやり直しです。

やり直しというのは、一度治療した歯が悪くなって、またやり直しするということです。

永遠にもつ治療はどこにも存在しませんので、一度治療した歯は、いつかまた治療する時が来ます。

「詰め物が割れた、外れた、変色した。」

「被せ物の隙間から虫歯になった。」

「銀歯に穴が空いた。」

「歯の根の病気が再発した。」

やり直しにも色々な状態があります。

詰め物や被せ物は経年劣化することでやり直しになることはよくあります。

しかし、経年劣化が原因ではなく、治療の精度が低いことでやり直しになることがあるのも事実です。

患者さんが自分では気づけないレベルで、詰め物の隙間や段差などから虫歯菌が侵入して、歯が悪くなることはあります。

また、被せ物のセメントの付け方が良くなかったり、被せ物の嚙み合わせが良くなくてやり直しになる場合もあります。

やり直しの治療で注意しなければならないのは、

やり直しても、元通りになることは、ほとんどないということです。

歯を再治療する場合は、ほぼ歯を削りますので、歯の体積が減り、歯の寿命は短くなります。

同じ歯を4回治療すると抜歯になると言われているくらいです。

①小さな虫歯で銀歯を詰める。

②銀歯の隙間から虫歯になって、神経を抜く。

③神経を抜いた歯に膿が溜まって、根の治療をやり直す。

 

④根が薄くなった歯が割れて抜歯になる。歯根破折といいます。

画像で見る歯根破折

 

*上記画像は、それぞれ別の歯のケースです。

このようなパターンは結構あります。

つまりやり直すたびに歯は小さく弱くなり、歯の寿命が短くなるということです。

歯が弱いと思っている人は、

次のやり直しまでの期間が長くなる治療を選ぶこと

が重要になってくるのです。

段差のある詰め物や、根の治療がちゃんと出来ていない歯を抱えたまま、定期的に検診を受けて、クリーニングを受けても、虫歯や歯周病のリスクを下げることは難しいです。

これは日本の歯科に予防歯科が浸透した今でも変わらない普遍的な考え方ですが、歯を長持ちさせるには、

ちゃんと治してから、予防に移行することです。

当院には「今までの歯医者さんで、ずっと定期検診を受けているのに段々と歯が悪くなるので不安。」という患者さんが新規で来院されることが多いです。

そういう患者さんのお口を拝見した時に、共通するのが、

「ちゃんと治されていない、治っていない。」

です。

銀歯に隙間があったり、詰め物に段差があると、磨いているつもりでも、隙間や段差に歯垢が残ってしまっている歯はたくさんあります。

言い方が悪いのですが、ちゃんと治っていない歯は、穴が空いたバケツに水を入れているような状態です。

どんなに水を入れても、穴から水が漏れてしまう。

そういう状態で、正常な状態を維持することは出来ません。

予防歯科を受けていても、段々歯が悪くなる人は、歯が弱いからとあきらめないで、今の歯の状態が本当に治っているのか、日頃の歯磨きや予防歯科だけで悪化を防げるのか、セカンドオピニオンを受けることも必要かもしれません。

古い詰め物や被せ物、やり直しは必要?

不適合な銀歯の中身はどうなっていたか?

やり直しの少ない治療については、こちらも参考にどうぞ↓

長持ちするジルコニアクラウン

セラミック・ジルコニアの凄い点を実感しました。

以上「歯が弱い人の歯医者選び。日本の歯医者がおこなう一番多い治療とは?」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

噛むと痛い時

食事の時に噛むと痛い、噛めない。

辛い症状ですね。

見た目は何ともないし、レントゲンを見ても虫歯じゃないのに痛くて噛めない。

こちらの歯をご覧ください。嚙む面にプラスチックの詰め物をしていますが、隙間があるわけでもなく、レントゲンでも虫歯は見当たりません。

でも痛くて噛めないんです。

見た目が虫歯じゃない、レントゲンでも虫歯はない。

そんな時どうするか?

今回は詰め物を除去しました。

患者さんにお聞きしたところ、この歯に以前の歯医者さんでプラスチックを詰める治療をして随分年数が経っていることから、レントゲンでは映らない問題がある可能性が否定できないからです。

*レントゲン写真はあくまでも影絵のようなもので、全ての虫歯を検出できるものではありません。

 

除去した後はこんな感じです。

歯にヒビが入っているのが分かりますでしょうか?

良く見えるように乾燥させてみます。

分かりやすいように亀裂をなぞってみました。

歯ぎしりや噛みしめがあると、このように亀裂が入ることがあり、噛むとこの亀裂に沿って、神経まで刺激が届きますので、痛くて嚙めないんです。

レントゲンでは虫歯は無かったのですが、噛みしめをする人に特徴的な歯髄腔の狭小化が見られます。(専門的なことなので解説は控えます。)

では、どう治療したか?

この亀裂に沿って、歯を削ります。

虫歯菌に感染している可能性もあるので、染め出し液を亀裂に沿って塗布します。

今回は少し染まりましたので、亀裂に沿って、虫歯菌が内部まで入っている可能性がありました。

亀裂に沿って、削り進めると、神経ギリギリ手前で止まりましたので、削った部分を新たに樹脂で埋め直します。

これで噛めるようになるかをしばらく経過観察します。

これでも治らない場合は、上から覆うように被せ物を入れたり、痛みを無くすために歯の神経を抜くこともありますし、最悪抜歯に至ることもあります。

歯の亀裂や破折(割れてしまった状態)は、本当に厄介な状態です。

 

痛くて噛めない原因は他にもこんなにあります。

虫歯だったり、歯の根の病気だったり、歯周病だったり、歯根破折だったり、一時的な噛みしめによる歯根膜炎だったり、顎関節症だったり。

噛むと痛い時で3日以上程度様子を見ても、痛みが変わらない場合は歯医者さんで診てもらうことをお勧めします。

悪化してからですと、治療期間が長くなったり、より大きな治療を受けなければならなくなることもあります。

噛むと痛いという歯に対して、原因が分からないのに、とりあえず嚙み合わせを削るという治療は推奨しません↓

歯が痛いのに歯医者さんに「何ともありませんね。」と言われた時にしてはいけないこと。

こちらも参考にどうぞ↓

虫歯でも歯周病でもない歯の痛みの原因

以上「噛むと痛い時の治療。」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

昭和世代が虫歯になりやすい本当の理由 

昭和世代の患者さんとお話ししていると、

「昔から歯が弱くて、苦労しています。」

とおっしゃる方が多いです。

ご自身の歯が弱い理由としておっしゃるのが、

「甘い物ばかり食べていたから。」

「歯を1日3回も磨く習慣が無かったから。」

「歯医者で検診なんて無かった時代だから。」

という理由をあげられる方が多いです。

これらも確かに虫歯になる原因ではあるのですが、

本当の理由はそこにないといわれています。

昭和世代の方が虫歯になりやすい本当の理由としてあげられているのが、

歯磨き粉にフッ素が入っていない時代に子供時代を過ごした。

です。

ご存知のように、フッ素は虫歯予防に強力に作用します。

しかし1980年代までは、ほとんどの歯磨き粉にフッ素は入っていませんでした。

1990年代半ばになって、ようやく50%の歯磨き粉にフッ素が含まれるようになり、2000年代の現代では、特殊な歯磨き粉を除いて、ほぼ全ての歯磨き粉にフッ素が入っています。

こちらの図をご覧ください↓

*ライオン歯科衛生研究所HPより引用

1985年から2015年の30年間で12歳の子供の虫歯の本数は4分の1にまで激減しています。

私も毎年、保育園の歯科検診に行っていますが、虫歯がある子はほとんどいません。

乳歯、永久歯に限らず、歯は生えてからの数年は表面のエナメル質が未成熟でとても虫歯になりやすいです。

食べ物や水、お茶などに微量のフッ素が含まれているのですが、そのフッ素を日々の食事で歯に取り込みながら、エナメル質はゆっくりと成熟して硬くなります。

しかし、生えたばかりの歯をフッ素入りの歯磨き粉で磨いていると、エナメル質を早く硬くして、強化することができます。

昭和世代の方は、幼少期にフッ素入り歯磨き粉が普及していなかったため、エナメル質が自然に成熟する前に虫歯になってしまう人が多かったのです。

一度治療した歯は、詰め物や被せ物が古くなったり、隙間から虫歯になったりで、治療を繰り返すことになり、何度も治療しているうちに、歯が弱くなり、抜歯になる可能性が高くなります。

ですので、子どもにうちに生えてくる歯を歯磨き粉のフッ素で強くして、虫歯になりにくくすることは、とても重要なことなんです。

それでは、昭和世代の歯の弱さはもうどうしようもないのかといいますと、そうではありません。

フッ素入りの歯磨き粉を上手に活用することで虫歯は予防出来ます!

こちらを参考にどうぞ↓

フッ素入り歯磨き粉の効果的な使い方

すぐ効果の出る虫歯予防法

当院は先代から通い続けている昭和世代の患者さんがたくさんいらっしゃいますが、フッ素入りの歯磨き粉を効果的に使うことによって、虫歯が激減した患者さんが多くいらっしゃいます。

皆さまも是非効果的に虫歯を予防してください。

以上「昭和世代が虫歯になりやすい本当の理由 」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院