インプラントが合わない患者さん

インプラントが合わない患者さん。

①タバコを吸っている。

タバコはインプラントの寿命を短くします。

喫煙本数が多ければ多いほど、インプラントを短期間で喪失するリスクが上がります。

また、インプラントをおこなう際に、人工骨や歯茎を移植する付帯手術の結果も悪くなりがちです。人工骨や歯ぐきが定着しなかったり、感染してしまう可能性が高くなります。

煙草をやめるか、喫煙本数を減らすことが必要です。

②歯周病が進行している。

インプラントは骨に支えられており、天然の歯と同じように歯周病になると抜けてしまいます。

天然の歯はある程度ぐらつきがあっても、すぐには抜けません、治療により回復する場合もありますが、インプラントがぐらついた場合は100%に近い確率で抜けてしまいます。

インプラントをする前に、歯周病の進行を止めることが必要です。

③痛い時だけ歯医者さんに行く。

インプラントは治療後のメンテナンス受けないとと長持ちしません。

インプラントの被せ物が緩んだり、インプラントの周りの歯ぐきに炎症が起きた時に、早めに対処しないと喪失リスクが上がります。

上記の異常は自分では察知できません。自覚した際には手遅れということもあります。

インプラントをするなら、メンテナンスや定期検診は必須となります。

④抜けそうな歯や、治療済みの歯がたくさんある。

 

弱い歯がたくさんある場合、インプラントをしても、他の歯が数年後に抜けてしまった場合、またそこもインプラントにするか考えなければなりません。費用がかかる治療ですので、経済的負担が大きくなります。

治療済みの歯がたくさんある場合、歯を失った部分だけをどうするかだけでなく、全体的な治療計画や期間、概算費用を提案してくれる歯医者さんを選びましょう。

⑤歯ぎしりが酷い。

インプラントは歯ぎしりに対して、非常に弱いです。

酷い歯ぎしりのある方は、インプラントが歯ぎしりで抜けてしまう恐れがあります。

酷い歯ぎしりがあって、インプラントをする場合は、夜間のマウスピースが必須です。

 

いかがでしたでしょうか?

現在の歯科界において、歯を失った時の第一選択肢はインプラントです。

ブリッジ・入れ歯・インプラントどれがいい?

インプラント・ブリッジ どっち? 

第一選択肢である理由は、適切におこなえば、ブリッジや入れ歯と比べて、長持ちする治療だということです。

しかし、上記のような合わない条件下でおこなわれたインプラントは長持ちしません。

インプラントを検討されている方は、医院選びも含めて慎重に検討されることをお勧めします。

以上「インプラントが合わない患者さん 」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

インプラントにして良かった患者さんの話

歯を失った場合には、失った部分を補う治療方針として、

入れ歯、インプラント、ブリッジ、歯牙移植、矯正治療、何も入れない

などの選択肢があります。

ブリッジ・入れ歯・インプラントどれがいい?

 

失った歯の両隣に歯がある場合、現実的にはブリッジかインプラントの2択になると思います。

両隣の歯を削ってブリッジ↓

 

両隣の歯を削らずにインプラント↓

どちらがいいですか?

と、聞かれればインプラントなのですが、ブリッジを選ばれる場合もあります。

しかし、今からお伝えするケースはインプラントにした方がいいケースです。

当院では複数の選択肢がある場合、それぞれの治療方法のメリット・デメリットを説明し、患者さんに選んでいただくというのが基本方針ですので、「インプラントがいいですよ。」という説明はしませんが、このケースに限っては「インプラントの方がいいです。」と、ハッキリとお伝えしました。

なぜインプラントを薦めたのかを実際の治療経過で説明しますので、ご覧ください。

治療前の患者さんのレントゲンです。向かって右側の下の奥歯、右から2番目の白く映っている歯の根が割れてしまっています。

拡大画像です。

このブログで何度も書いてきた歯根破折(しこんはせつ)という状態で、治すことが出来ないので抜歯となります。

歯根破折

画像で見る歯根破折

患者さんは入れ歯は嫌だということで、選択肢から入れ歯は除外され、ブリッジとインプラントの説明をおこなうことにしました。

実は、この患者さんはブリッジを選ぶと大きなリスクがあります。

先程のレントゲン写真で割れてしまった歯を抜いて数か月後のお口の写真です。向かって右側の1本奥歯がないところが抜歯した歯です。

ブリッジにする場合、通常は①と②の歯を削りますが、この患者さんの②の歯は内側に倒れて生えています。

①も②も共に神経があり、一度も治療されたことのない、健康で綺麗な歯です。

ブリッジにする場合、①と②の生えている方向が同じであることが大事です。

ここではその理由は割愛します。

この場合は内側に倒れて生えている②を大きく削らないと、①に方向(平行性)を揃えられません。

②の歯をそこそこに削って接着ブリッジという方法もあるにはあるのですが、1歯欠損の割にスパンが長いことや咬合力を考慮して除外しました。(専門的な内容です。)

大きく削ると②の神経が露出するので、露出した神経を抜くことになります。

ここで大事な話があります。

神経を抜くと、歯は割れやすくなります。

今回、歯根破折で抜いた歯も過去の治療により神経が無い歯でした。

また、神経を抜いた歯を連結したブリッジの寿命は10年で60%程度といわれており、神経のない歯がまた割れて抜歯になる可能性が高いです。

失った1本の奥歯を補うために、もう1本の歯の神経を抜いてブリッジにして、10年後にその歯が残っている可能性は60%だとしたらどうでしょう。

①の歯が無くなると、元の歯も含めると2本連続で奥歯は無くなります。

これを両隣の歯でブリッジにすると、過重負担になり、更に歯を失うと可能性が高まるという悪循環に陥ります。

2歯連続欠損のブリッジはかなり寿命が短いです↓

 

そこでようやくインプラントにするにしても、2本のインプラントでは費用は単純に2倍になります。

ここまで書いたブログのような説明を患者さんにおこないました。

たしか説明だけで3回ぐらい通って頂いた記憶があります。

そんなにインプラント推すの?と思われるかもしれませんが、そうではありません。

それだけ説明してリスクも納得して頂いて、ブリッジを選ばれたのなら、歯科医としては少し不本意ですが、結果としては全然構わないのです。

一番大切なことは、

リスクを理解した上で、患者さん自身が治療を選んだという事実です。

逆に良くないのは、今のような説明がないまま、安易に歯の神経を抜いてブリッジを入れてしまうことです。

 

さて、治療の結果を見てみましょう。

患者さんは両隣の健康な歯を削ったり、ブリッジのために健康な歯の神経を抜くのを回避するためにインプラントを選ばれました。

インプラントを入れた後のレントゲン写真です。

両隣の歯を一切削らずに歯を失った所に、インプラントの被せ物が入っています。

治療前↓

患者さんは「何でもよく噛めてインプラントにして良かったです。」と言ってくださいました。

3か月に1度のメンテナンスも欠かさず通ってくださっています。

このケースに関しては、インプラントにして良かったなと本当に思います。

何より患者さんが説明に十分に納得されて、インプラントを選んでいただいたことが良かったです。

以上「インプラントにして良かった患者さんの話」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

入れ歯難民って何?

東京新聞に以下のような記事が掲載されました。

タイトルは

あなたも「入れ歯難民」になる恐れ つくり手の歯科技工士が不足する見通し 高齢化に後継者不足…その理由は

です。

ここからは私の記事です。

入れ歯を作っているのは歯科医師ではなく、国家資格を持った歯科技工士です。

*入れ歯を作る歯科医師も稀にいます。

その歯科技工士さんが年々減っています。

理由は低賃金、重労働など色々あります。

ここ10年くらいで技工士さん不足や労働環境確保のために、入れ歯を作る納期が長くなったり、入れ歯の制作料も随分と上がりましたので、技工士さんが減っていると身近に感じます。

技術の進歩により、被せ物や詰め物はハンドメイドじゃなくてもCADCAMという方法で機械でほぼ自動で作れるようになりましたが、入れ歯はまだまだハンドメイドでないと作れない部分が多いです。

ただ、最近は予防で歯医者さんに通う人が増え、歯を失う人が減ったことにより、入れ歯が必要な患者さんは減りつつあるので、技工士さんを養成する学校では、これから技工士さんになる人に、入れ歯の制作方法を積極的に教えなくなると思います。

なぜなら入れ歯の製作技術は非常に複雑で、そう簡単に習得出来ませんし、難しい入れ歯作りとなると、習得におそらく10年以上はかかると思います。

しかし、これから10年先には、先ほど書いた通り、入れ歯の患者さんがもっと減っていて、せっかく苦労して修得した入れ歯を作る技術を生かす機会が減っていきます。

ということで、これから減るニーズに時間をかけて教育するとは思えません。

問題は今後の20年です。

私の感覚ですと、今後20年はまだ入れ歯が必要な方が大勢いらっしゃると思います。

現在既に入れ歯を使っている方、これから入れ歯になる方。

そういう方々が入れ歯を必要な時に、技工士さん不足により、良い入れ歯が出来ないかもしれないのです。

入れ歯というものは、歯医者や技工士さんの技術力によって、結果に明確な差が出る治療です。

2本か3本歯がない場合の入れ歯に関しては、そこまで差は出ませんが、それ以上の無い本数を補う入れ歯ですと、差が出ます。

差と言うのは、装着感、快適性、痛み、違和感の有無などです。

特に難症例となる場合、その差が大きく出るのと、入れ歯の材質や製造工程において、保険適応の入れ歯では解決が難しい場合が多いです。

治療で小さな虫歯を治すのは、歯科医に技術で大きな差は出ませんが、快適で痛みの少ない入れ歯を使いたい方は、慎重に歯科医院選びをおこなって欲しいです。

当院には「入れ歯が合わないから、インプラントを考えている。」と相談に来られる患者さんがいらっしゃいますが、使っている入れ歯を見ると、入れ歯が合わないというよりも、その入れ歯だから合わないということもあります。

つまり入れ歯を作り直せば、インプラントにしなくても済むかもしれないということもあるということです。

宣伝ではありませんが、入れ歯でお困りの方に情報提供したいので書きます。

当院は長年入れ歯治療に力を入れてきました。

多くの難症例も経験してきました。

シリコン入れ歯、マグネット入れ歯、目立たない入れ歯、インプラントオーバーデンチャーなど、保険適応の入れ歯で痛くて噛めない、違和感が強く満足できない方に高度な入れ歯を提供することが可能です。

*上記は保険外診療となります。

入れ歯でお悩みの方はご相談下さい。

よろしければ、こちらも参考にどうぞ

入れ歯が痛くて使えない患者さん

入れ歯で悩んでいる患者さん

ノンクラスプデンチャー バネのない入れ歯

ノンクラスプデンチャー 6年目

以上「入れ歯難民って何?」でした。

皆さまのお口の健康の参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

 

 

 

 

 

 

インプラント入れ歯って何? インプラントオーバーデンチャーの話

歯を失った場合の選択肢として

ブリッジ、入れ歯、インプラント、自家歯牙移植などがあります。

・ブリッジ

・部分入れ歯

・インプラント

 

 

その中で今回ご紹介するのが、

インプラント入れ歯です。

インプラント単体でもないし、入れ歯単体でもない。

入れ歯とインプラントのハイブリット型の治療で、

インプラントオーバーデンチャー

といいます。

「インプラントの上(オーバー)に入れ歯(デンチャー)が乗っかっている」ということです。

分かりづらいかもしれません。

通常インプラントといえば、歯がない所に、人工歯根を埋めて、その上に被せ物をつけて、あたかも歯が生えたように治すことを示します↓

 

そして、いわゆる通常の入れ歯はこんな感じです。見辛くてスミマセン。拡大してご覧下さい↓

 

インプラントでサポートされたインプラントオーバーデンチャーは、こんな感じです↓

たとえば、

軟らかい土の上に、硬い板を敷いて、その板の上に、人が何人も乗ったら、板は、沈み込みます。

でも、

軟らかい土に、硬い支柱が何本も植えてあれば、

硬い板の上に人が乗っても、板は支柱に支えられ、沈み込みません。

つまり普通の入れ歯の弱点である、

⓵入れ歯が沈み込んで、歯ぐきに食い込んで痛い。

②入れ歯のバネをかけている歯に、負担がかかって抜けてしまう。

➂入れ歯が接する歯ぐきが、沈み込みの負担により、年々痩せて、入れ歯の安定が悪くなる。

などの弱点を軽減できる方法です。

また、食事をした時に入れ歯が沈みこまないので、しっかりと噛めるようになります。

更に、歯の無い本数が多く、大きな入れ歯を入れている人が、通常のインプラントのように固定性の被せ物を入れようとすると、かなりの本数とインプラントを入れなければならず、費用や手術の負担が大きくなります。

そんな時に、入れ歯にインプラントを併用した

インプラントオーバーデンチャー

が、とても有効な治療方法となります。

これなら、少ない費用と手術負担で、入れ歯の弱点をカバーできます。

 

インプラントオーバーデンチャーの実例をご覧下さい。

左側の金色の丸い2つの金属の下にインプラント埋まっており、金色の部分は、マグネットのアタッチメントです。

 

入れ歯を装着した状態↓

入れ歯を裏返すと、先ほどのお口のマグネットにくっ付くマグネットが装着されています。

このインプラントが2本あることによって、先程のイラスト図のように、入れ歯は、沈み込みにくくなり、マグネットの作用で浮き上がりにくくなります。

そして、入れ歯は安定し、痛みや不具合が出にくくなります。

入れ歯は慣れているので、入れ歯のままでも良いけれど、痛くなく、外れにくい入れ歯にしたい方に最適の治療方法です。

寝たきりになってもインプラントは大丈夫なの?どうなるの?

以上「インプラント入れ歯って何? インプラントオーバーデンチャーの話」でした。

皆様のお口の健康に参考になれば幸いです。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

 

歯医者ってどうやって手術の練習をしているの?

皆さん、意外にご存じないのですが、抜歯は歯を抜く手術です。

患者さん「抜歯って手術なんですか?」

私「麻酔をして、歯を抜いて、血が出ますし、場合によっては縫合もしますので、手術ですよ。」

患者さん「そういわれれば、そうですね。」

抜歯は歯医者さんで日常的におこなわれているので、難しい親知らず抜歯などを除けば、日々抜歯手術を続けているうち自然と上手くなります。

もう初めて抜歯した時の記憶はありませんが、勤務医の頃に、グラグラで指で引っ張っても抜けるくらいの簡単な抜歯からさせてもらった気がします。

しかし歯ぐきの手術(形成外科や歯周病の手術)やインプラント手術は、特別な歯科医院でない限り、日常的におこなっているものではありません。

やっているうちに上手くはなりますが、最初のハードルはかなり高いです。

簡単なインプラント手術というものは存在しないからです。

やったことがない手術をいきなり患者さんで実践するわけにもいきませんので、一般的には講習会に参加して、実習を通じて練習します。

実習といっても、練習で人間の歯ぐきや骨を削るわけにはいきません。

練習用模型で実習する場合もありますが、模型ではリアリティーに欠けます。

そんな時、よく使用されるのがこちらです。↓

ブタの下顎です。精肉店さんで購入可能です。

もちろん人間とは違いますが、同じ哺乳類ですので、基本的な構造は一緒です。

歯も歯ぐきも骨もちゃんとあります。

手術を学ぶセミナーでは、解凍されたブタを使って、本物のメスやハサミを使って、練習をすることがあります。

 

先日参加したセミナーの様子。

講師の先生がレクチャー動画を見ながら、手技を教えてくれます。

私も手術形式のセミナーでは、過去に何度もブタで何度も練習してきました。

ブタのおかげで手術が出来るようになった部分もありますので、ブタに感謝です。

勤務医の頃にも勤め先の院長先生が手術の勉強会を開くのに、ブタを揃えて実習させてくださったことがあります。

今考えると、凄く手間のかかることをやっていただいたことが分かるので、感謝です。

今回受けたセミナーでは、骨が少なくなってインプラントが出来ない場合に、人工の骨を補ってインプラントが出来るようになる手術方法を学んできました。

GBRという方法です。

当院では既に導入している方法で、過去に他の先生のセミナーも何度か受けていますが、色んな先生の方法や考え方を学んで、より安全で確実な手術が出来るようになるために受講しています。

大阪で受けたのですが、四国や九州からも参加者がいて、とても人気のあるセミナーでした。

こちらも参考にどうぞ↓

インプラント手術は痛いですか?

以上「歯医者ってどうやって手術の練習をしているの?」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院