抜歯を防いだファイバーポスト

院長の笹山です。

先日の話です。

硬い物を前歯で噛んでしまって、前歯がグラグラになってしまった患者さんが来院されました。

その歯は神経のない前歯で、私が5年前に被せた差し歯です。

歯を拝見すると確かにグラグラになっていました。

硬い物を噛んで、神経の無い前歯がグラグラ→歯根破折→抜歯というのは結構な頻度で起こる現象です。

歯根破折についてはこちら↓

歯根破折

 

患者さんに残念ながらほぼ抜歯になることをお伝えし、抜歯した後の治療方法について、入れ歯やブリッジ・インプラントなどを説明しました。

そして後日、抜歯のために来院していただき、麻酔も終わり、歯を抜こうと、歯科用のペンチ(鉗子といいます。)で差し歯をグリップし、引っ張ったところ、こんな感じで差し歯が土台ごと外れました。

 

差し歯に付属した土台部分は「ファイバーポスト」という歯を補強する土台です。

そしてファイバーポストが途中で折れていました。”く”の字のなっている部分です。

ファイバーポストが折れることで、身代わりになり、歯の根が折れることを免れたのです。

車でいうバンパーやエアバックみたいなものですね。

もし従来からある金属製の土台をいれていたら、確実に歯の根が割れて、抜歯となっていたと思います。

従来の金属の土台で割れて抜歯になってしまった歯↓

今までに相当な本数のファイバーポストを入れてきました。多分1000本近く入れています。

中にはファイバーポストを入れていても残念ながら歯根破折を起こしたケースもありますが、金属製の土台で起こる数と比べれば、ほぼ皆無といっていいほど歯根破折が起こることが無くなりました。

それくらいファイバーポストは金属の土台と比べて、歯の根に優しい土台なのです。

ファイバーポストのケースはこちら↓

神経を抜いた前歯は被せないといけないのか?

今回、抜歯を免れましたので、歯の根を再度ファイバーポストにて補強しました。この上から樹脂製のカバーをして、この日は終了です。まずは、ここまでしておけば一安心です。

 

2回目の来院時 歯の形を整え直します。

 

折れたファイバーポストを取り除いて綺麗になったジルコニアセラミック冠

 

再装着しました。

もう一度、差し歯をかぶせて歯が復活できることになり、抜歯を覚悟していた患者さんにも大変喜んでいただきました。

神経の無い前歯で硬い物を噛むのは、なるべく控えることをお勧めします。

以上「抜歯を防いだファイバーポスト」でした。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

無症状だったのに抜歯寸前まで進んだ虫歯の話

院長の笹山です。

先日検診で発見された銀歯の隙間の虫歯。

 

銀歯を外しました。やや刺激が強い状態でしたのでモノクロにしています。

ほぼ抜歯になるような酷い虫歯があり、一部の歯が割れていました。過去に神経を抜いてある歯ですので、このような状態でも患者さんは全く痛みを感じません。

 

割れてしまった歯の破片と虫歯を全て取り除いた状態。強拡大のルーペを用いて徹底的に虫歯を取り去ります。

 

仮のプラスチック材料で埋めます。

このような状態にならないために大切なことが2つあります。

①まずは神経を失わないこと。

②神経を抜いた奥歯は被せること。

詰め物では歯が割れる可能性が高いです。

 

今回の歯もほとんど被せてはありましたが、一部噛み合わせの負荷が強くかかる肝心な部分を覆っていませんでした。

この厳しい状態の歯をどうやって保存するか、保存しない場合はどうするのか?様々な治療方法について次回患者さんに説明する予定です。

宝塚市の歯医者 笹山歯科医院

 

歯に魚の骨が刺さった?

院長の笹山です。

先日定期健診でいらした患者さんから

「奥歯の奥に魚の骨が刺さったかもしれない。」

と言われたので、お口の中を拝見したところ

こんな感じになっていました。

銀歯の根元(↑)部分に見えているのは、歯の根っこです。

どういうことかといいますと、銀歯の下で支えている歯の根っこが割れて、裂けてしまい、その断片が歯ぐき側に出てしまっているのです。

レントゲン写真を撮影して見ると、こんな感じです。

赤線の部分の銀歯と歯の根に段差が生じているのが分かりますでしょうか?

このように歯の根っこが被せ物の内部で割れてしまって、割れた根っこの一部が歯ぐきの外側には出てくることがあります。

患者さんはこれを舌で触って、異物感を感じて、魚の骨が刺さったままになったと思われたのです。

この患者さんは、噛む力が非常に強く、硬いものを好んで召し上がるので、この歯のように、過去に神経を抜いた歯は、割れてしまうリスクがあります。

神経の無い歯は、歯の中に水分がありませんので、神経を抜いてから月日が経つと「欠ける、割れる」のリスクが上がります。

この状態を歯根破折といいます。

歯根破折についてはこちらも参考にどうぞ↓

歯根破折

歯の神経を抜く治療になった時に、患者さんからよく質問されるのが、

「歯の神経抜いたら、弱くなりませんか?」

です。

その通りなんですが、やむを得ず神経を抜く場合になった時には他に手はありません。

日頃の丁寧な歯磨きと、定期健診と歯のクリーニングを受けることで、そういう事態はかなり防げますので、歯科医院を上手に利用して頂ければと思います。

以上「魚の骨が刺さった?」でした。

 

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お口のことでお悩みや気になることがある方は、ご利用して頂ければと思います。

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